明日にも「マタイ受難曲」公演プライヴェートCDへのラフな編集盤が届くという。
長岡のレッスンに向かう前に届くと良いのだが、間に合わなくても、11日には通して聴くことが出来そうだ。
トーマス教会よりトータルの時間の問い合わせがあったので、録音をお願いしたOFFICE ENZOさんに訊ねたところ、「3時間6分09秒=186分09秒」とのお返事があったところ。
何となく3時間25分くらいかな? と想像していたが、それより19分ほど短い演奏だったわけだ。
おそらくカーテンコール等を含めた時間が3時間25分という体感時間だったのだろう。
とはいえ、古楽器オーケストラによる演奏としては異例の長さであることに変わりはない。
以下は、ナクソス・ミュージック・ライブラリ(レオンハルト盤を除く)による演奏時間一覧である。
ヘルマン・マックス盤: 152分26秒 コープマン盤: 153分37秒 クイケン盤: 157分27秒 ヤーコプス盤: 158分14秒 ヘレヴェッヘ盤(新録音): 161分23秒 鈴木雅明(BCJ)盤: 162分51秒 レオンハルト盤: 175分26秒
最速のマックスとは34分以上も違うというのだから、我ながら驚いてしまう。かなりスローのレオンハルト盤とですら10分以上の開きがある。
もちろん、遅ければ良いというものでもないが、今回、我が国トップクラスの古楽器奏者たちと共に、ゆったりしたテンポの「マタイ」の演奏できた意義は大きい。
モダン・オーケストラによるベートーヴェンやブラームスだって、テンポひとつとっても、若手から巨匠まで様々。
古楽器オーケストラにだって、そうした多様性はあってよいのでは? とずっと思っていたからだ。
速いから良いとか遅いからダメとかでなく、なぜこのテンポなのか? という必然性を音にすることが出来ればよいではないか?
そして、それが今回は達成されたように自負しているのである。
因みに、モダン・オーケストラによる演奏時間(ナクソス・ミュージック・ライブラリによる)は以下だ。
リリング盤: 174分51秒 マウエルスベルガー盤: 186分06秒 リヒター盤(旧録音):195分55秒 クレンペラー盤: 222分30秒
クレンペラーはやはり別格。
我が演奏時間は、リヒターよりは速く、マウエルスベルガーとほぼ同タイムというのは、マウエルスベルガー盤を最も愛するがゆえであろうか?
録音を聴くのは楽しみのようでもあり、怖くもある。
果たして、想定通りの演奏が展開されているだろうか?
客観的に向き合い、自らを批評し、正すべきは正し、聖トーマス教会公演に臨みたいと思う。
聖トーマス教会の「マタイ」も、ゲオルク・クリストフ・ビラーの時代になって随分と軽量化されてしまった。
現在、代理として指揮しているゴットホルト・シュヴァルツもバロック畑の人だから、その軽さは継承されていることだろう。
そこへ、異邦人であるわたしが、ギュンター・ラミン、クルト・トーマス、マウエルスベルガー兄弟、ハンス・ヨアヒム・ロッチュなどを思い出させるテンポで指揮するわけである。
ザクセン・バロックオーケストラやベルリン古楽アカデミーの人たちは受け入れてくれるものと期待しているが、聖堂に集うライプツィヒの聴衆がどう反応してくれるのか、いまから楽しみでならない。