福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

パーヴォ・ヤルヴィのマーラー8番 今宵は語らず

2016-09-08 23:52:22 | コンサート

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のマーラー8番を聴いた。

演奏についての批評は、今日のところは控えたい。

というのも、今宵の自分の座席では音響のバランスが悪く、真っ当な評価を下せそうにないからである。

NHKホールで聴くときは、朝比奈のブルックナー8番以来、極力1階席の前方を選ぶことにしている。木管、金管の姿は見えずとも、弦の響きが生々しく聴こえるからである。

まあ、マタチッチを聴いたときは、2階席でもバンバン響いてきたのだが、あの凄絶な音響は例外のひとつだろう。

ところが、今日は、その頼みの弦の音がもうひとつ響いてこない。

大編成のため前方の座席をつぶしてのステージのため、弦楽セクションが反響板の外に置かれたことも一因であろう。

もうひとつは、ソリスト陣の存在である。

マーラー8番には、女声5人、男声3人もの独唱が必要なのであるが、そのうち栄光の聖母を除く7名はステージ上に置かれる。

今回は、指揮台の向かって左、即ち第1ヴァイオリンの前に女声4名、向かって右の第2ヴァイオリンの前に男声3名が配されたのだが、彼らが立ち上がると大きな壁となってしまうのである。

ちょうどわたしの眼前には4名の女声ソリストが立ちはだかったわけだが、彼女たちの声をダイレクトに浴びることの出来るのは良いとして、オーケストラの音は完全に遮られてしまっていた。

これは、大きな誤算で、演奏が始まってみるまで気が付かなかった・・・。

というわけで、ソリスト陣が立ち通しの第1部よりも、着席する時間の長い第2部の方が愉しむことが出来た。

ただ、コーラスについては、自分の座席から聴く限り、母音が浅かったり、ハーモニーに倍音が少なかったりと物足りなさはあった。ホールの音響の悪さも手伝っているかもしれない。

というわけで、全体としては素晴らしい演奏であろうと想像しつつも、心の底からの感動に至らないというもどかしさの残る一夜であった。

いずれ、録音を聴くときに改めて判断したい。生演奏で演奏が判断できないなんて、NHKホールは罪な会場だ。

追記

NHKホール。今宵のような大編成のときのベストの座席はどの辺りだろう?

二階サイドの前方かなあ? 次の機会には、試してみよう。なかなかその辺りは取れないんだれど・・。

 

 

 

 

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