パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルを聴くのは、横浜に於ける「フィデリオ」以来。
今回は、会場をオペラシティ・タケミツ メモリアルに移してのブラームス・チクルス。交響曲とコンチェルトを組み合わせての4公演。その初日を聴く。
前半は、フォークト独奏によるピアノ協奏曲第1番。しかし、不覚にも睡魔に襲われたため、演奏について語る資格なし。百日咳を退治するため服用している薬のせいか、いつ眠たくなるか分からず、演奏中にやられてしまった(それゆえ車の運転も出来ず不便で仕方ない)。
ただ、ひとつ言えるのは、ピアノがドカンと舞台中央に置かれると、わたしの位置(2階センター)からは、チェロ、ヴィオラ、木管群が遮られ、ただでさえ、フルオケよりも音量の小さな室内オーケストラが、十分に聴こえなかった。バランス的には録音の方が良いかも知れない。
さて、後半はメインの交響曲第1番。
休憩時間の珈琲とハーゲンダッツで眠気を吹き飛ばし、気合い十分で臨む。
しかし、酔えなかった。
パーヴォが振れば、巨匠タイプの演奏とはならないことは分かっていたが、たとえば第1楽章での、突然の超レガートや木管の浮き上がらせ方や歌い回しが恣意的に感じられて、集中できないのだ。
また、アマチュアの如く、常に全力でひたむきな奏法も良いけれど、もっと大編成で余裕をもって鳴らした響きの方がブラームスには相応しい気もする。
速いテンポによる中間の二つの楽章は、このスタイルも悪くないのだが、終楽章には、もっと太い柱が欲しいと思った。
終演後は、万雷の拍手に、飛び交うブラヴォーの声。
これには異を唱えない。
こういうブラームスがあっても良いだろう。でも、わたしの胸に鳴るブラームスはこんなもなではないぞ! と思いながら、「こりゃ、ブルックナーだけでなく、ブラームス・プロジェクトもしなくてはならないか?」などと妄想したりした。
アンコールは、ハンガリア舞曲の第10番と第1番。
これは良かった!
交響曲ではマイナスだった、大芝居や仕掛けが、こういう小品ではモノを言う。それでいて、ピアニシモの哀歓に人生を思わせるのだから堪らない。
さて、残る3公演のうち、仕事の都合で聴けるのは明日のみ。どんなヴァイオリン協奏曲と交響曲第2番となるか、楽しみにしよう。
以上、帰りの電車に揺られながらの走り書きにて、乱文失礼。