なんとなく囲碁夜話

私は囲碁が好きだ。初めはなんとなく、ニアミスを繰り返し、深みに嵌ってしまった。

ひかれものの小唄

2010-08-18 05:05:22 | Weblog
 終局後に見直す場合・・・今より棋力が低かった時代の話です・・・なるべく対局後直ぐでなくては並べ直すのが難しい。
 従って一局が終わって直ぐに次の対局を始める事は出来ない。
  対局を「打ちっぱなし」にしてはいけないと信じていたし・・・
 碁会所においても、当然相手も同じように考えるものと思っていた・・・
  マア、それでも勝った時は、それを何度も並べ直すのは、相手によっては嫌がるかもしれないので勝碁の場合は相手が並べ直す気配がない場合は遠慮するくらいの”つつしみ”はありました。
 但し、負けた場合はそういう遠慮は余り考慮しなくても良いみたいなところはあった。
  しかも、負け碁を「何処で負けたのか」「何が悪かったのか」を自分なりに考えるのは大切な事の筈だし、相手も向こうが勝った碁の場合はある程度は気持ちよく付き合ってくれる。
 そして勝った方の勝因より、負けた方の敗因を探ると言うような視点でも、マア割合に嫌がらないものです。
 
 ところが、当時愕然とするような事が・・・
  今で「も心の傷」みたいに残る記憶が有ります。
 その時の(今ではその方は引退していますが・・・)席亭から「いつまで”死んだ子の年を数えている”、早く次を打ちなさい」と言う言葉に耳を疑った。
 今なら多少は冷静に「客商売なので、誰か手空きの人と打たせたかったのか」あるいは「私の態度が女々しい行為のように見えたのか」くらいは思いますが、当時は大げさ聞こえるかもしれませんが、頭から冷や水を浴びせられたくらいのショックは有りました。
  「振り返り」無しで、次々と打たせようとしている・・・。

 局後の検討と言うより愚痴の連続で敗戦の心を癒しているに過ぎないと映ったのか、、、「死んだ子の年を数える」ってそういうことですよネ。
 でも開き直って言えば「それだってやらないよりは好い」
  問題は相手が付き合ってくれるかどうか。
 仮にリアルの場合、このへんの呼吸が相手と合わないと出来ないから、もしかしたらどうしてもやりたければ一人でやるしかない。
  この場合相手は,直ぐに次の対局をしたい場合対局相手を探す事にはなる。

 時は流れて・・・現在はネットで打っていますが、この場合ネットでの検討ソフトも有るらしいけれど利用したことはなくて」、専ら一人で自分の棋譜倉庫に移って対局を再現することになります。
 一日に1局あるいは2局程度ですから、こういペースと言うかローテーションで打つ。
  しかも、手空きの人が待っているわけではないし、そういう遠慮なども無用。

 但し勝った時は「プロ野球ニュースを何度も見て、翌日スポーツ新聞まで勝ったりする心境」と自嘲気味。
 負けた時は昔の「死んだ子の年を数える」を思い出します(マアそのくらい心に刻まれている)。
  それでも当時のその言葉を発した人の年令くらいにはなっているので、良し悪しはともかく開き直りは出来ていて、「ひかれものの小唄を聞いて下さい」くらいは言い返せそうな気はしています。
  「ひかれもの」:処刑前に市中引き回しの”ひかれもの”、運命は変わらないのにいつまでも「あの時に・・・」「ああすれば・・・」とこぼすのを「小唄」と言うのですネ。
  
 プロの先生でも局後の検討でいろいろ有るらしい。
 「あの時にこうしていれば・・・」と負けた先生が言えば「その場合は、こういう手があります」と言う風に全て対応するので、実戦と検討で二度負けるような感じがするとか。
 あるいは、相手の反省の言葉に「そうそう、そう来られれば難しかったですネ・・・」と暖簾に腕押しタイプの先生とか。
 私など「横好き」なザルですから、本来検討は似合わないかも知れませんが、少なくとも誰にも迷惑がかからないところで「ひかれものの小唄」を気の済むまで歌いたいですネ。
 「模範的な検討」とは違い、それで棋力が向上するとも思いませんが、少なくとも自分に「癒し」「心の糧」みたいな活力源にはなりそうです。
  マア「小唄」が心からの「反省」と違うのが「のど元過ぎれば熱さ忘れる」的な・・・
   それでもアマなんだから『好いか?』

 ところで昨夜の一局。
  中盤の折衝を終ったところで有利になったと思っていた・・・が、その次の一手が酷かった。
 「そこは後手でも自分の大石に手入れが必要な所」
   そこまでが一連の流れでの区切りになる筈が、、、勘違いの「後手嫌い」な一手で石が明後日の方に跳んだので相手にとどめを刺されてしまいました。
 棋譜倉庫で、その場面に戻って「手入れ」でシュミレーションすると。なんと私が20目以上残る・・・それなのに「死んだ子は帰ってこない」「覆水盆に帰らず」、、、「ひかれものの小唄」。