たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2014年『CELEBRATION100!TAKARAZUKA』‗思い出し日記(3)

2020年05月09日 18時26分46秒 | 宝塚
2020年5月5日;2014年『CELEBRATION100!TAKARAZUKA』‗思い出し日記(2)

https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/913df02cbc13379493e5cd54c7ddcc91






(公演プログラムより、杜けあきさん、麻路さきさん、高嶺ふぶきさん、稔幸さん、三木章雄先生の対談)

「三木:今年は宝塚にとって大変おめでたい年ということで、先日、宝塚大劇場で盛大なお祭りも開催されました。この公演では、そのお祭りをもっと広げた形で、東京、大阪、愛知、島根の多くのお客様に楽しんでいただこうと思います。それぞれ組を背負った懐かしい人たちが集まり、懐かしい歌をお届けする。この再会を通じて、お客様の中にさまざまな想い出が甦り、宝塚に出会えてよかった、いい人生だったと感じていただけたらいいなと。

宝塚を代表するさまざまな作品の出演経験者がそろったので、それぞれの作品にオマージュを捧げるコーナーを設けたほか、そのほかあらゆる作品の中から膨大な量を集め、並べるということをしていて。ダンサーとシンガーさんは皆さんでずっぱりで大変なことになっています。
ノル(稔幸さん)は『花の業平』から「忍ぶの乱れ」、それに今回、マリコ(麻路さきさん)とユリちゃん(星奈優里さん)、当時のキャストが揃ったので、『ダル・レークの恋』の「月下の蘭」の場面を新しい振付で再現しようと。高い音もある、ものすごく難しい歌なんだけど、朗々と歌ってくれています。

稔;稽古場に入ると現役時代と全然変わらない感覚ですね。違うのは、当時近寄れなかった大先輩方(と杜を見て)を身近に感じられることかな。

杜;そんな~。

稔;それがOG公演の面白さでもあり、参加できて幸せです。一公演歌い続けてきたナンバーを、こうしてまた公演の中で再現できるというのは、その当時の自分とリンクしてしまう部分もあって、自分の中で不思議な感覚がありますね。宝塚を退団して、全然違う形で生きてきた私を応援し続けてくださった方々にとっては、曲を聞いただけでもいろいろな想いがこみ上げ、重なると思うんです。その期待を裏切らないよう歌っていきたいですね。
 トップ時代、三木先生には『グレート・センチュリー』と『美麗猫』でご縁があって。この間、先生ともお話していたんですが、当時はとにかく必死で精いっぱいだったところがあったんです。辞めていろいろな経験をした今、もう一回宝塚に入ったら、もっと上手くできるんじゃないかと思ったりして。経験を重ねた今だからこそ、歌にしても踊りにしても、もっと深いものを表現できるんじゃないかと思っています。

🌹ファンの方との大切な想い出

三木:ユキちゃん(高嶺ふぶきさん)の退団公演の『ゴールデン・デイズ』は僕の担当で、今回その主題歌を歌ってもらすんですが、懐かしくてね。僕の書いたこの歌詞、ベタで単刀直入なんです。それはね、ユキちゃんって、繊細で影のある表現ができる役者であるのと同時に、根は単刀直入でまっすぐで、どっかーんとした体育会系の魅力があったからなんだけど。

高嶺;すごくありがたかったです。想い出を大切に、さよなら・・・みたいな悲しい感じじゃなくて、今がスタート、これからがゴールデン・デイズ!という歌をプロローグから歌うことができて、とても気持ちよくショーを始められ、気持ちよく終われて、気持ちよく退団できました。

三木:それと、僕が大好きだった『仮面のロマネスク』の歌も。女性たちをどんどん誘惑して落としていく、ちょっとエッチな作品で。ラクロの「危険な関係」を原作にした作品をやるって最初に聞いた時、大丈夫かなって思ったけど、すごくかっこよかった。

高嶺;あの作品は、作・演出の柴田侑宏先生が、「すみれコードギリギリなんだけど、最後にやってもらっていいかな」とおっしゃって、「やりたい!」と思いました。ありとあらゆる女性を手籠めにしてねえ、しかも全然悪びれない。同じ屋敷の中で二人の部屋を移動したりして。

杜;かわいらしい部分のあるユキちゃんが演じると、オブラートに包めるところもあって、よかったんじゃないかな。根がイヤラシイからピッタリだし。

高嶺;あと、自分にとってとりわけ想い出深い歌が、阪神・淡路大震災が起こって、バウホール公演が3日で中止になってしまった『グッバイ・メリーゴーランド』の主題歌「ThisMoment」なんです。もうその歌詞が、予言か!?というくらい、何かを予見した感じで。
 シアター・ドラマシティで公演を再演できた時、震災で家も何もかも失って、一家心中まで考えていたという方が観にいらして、主題歌を聞いて頑張る気になったとおっしゃってくださって。その時、私、この仕事をやっていてよかったと初めて思ったんですね。自分としても大切に歌っていきたい曲なので、今回三木先生が選んでくださったことがとてもうれしいです。

三木:ユキちゃんと同期のマリコも、震災が起きて、その後、宝塚大劇場での公演が再開できた作品が、トップお披露目の『国境のない地図』だったから、大変だったと思う。今回その中から主題歌「風になりたい」を歌ってもらいます。それに、『風と共に去りぬ』のあの名ダンス・ナンバーも。

麻路;そのナンバー、こないだお稽古した時、ユウコちゃん(風花舞さん)にリードされまくって。ユウコちゃんは自分のサヨナラショーで踊って以来、15年ぶりだから、その時完璧に覚えたのが、身体にまだ残っていて。私がやったのは20ウン年前で、しかも特別出演の役替わりで1週間ぐらいしかやっていないから、さすがに身体に残っていないんです。それで今回、さあ稽古しよう!となった瞬間、手は右!そこは左!って、彼女の完全なリードが。
 最初の英語の歌詞も、何度も聞いてはいるんだけれども、自分では1回も歌ってなくて、新人公演で歌ったズンコちゃん(姿月あさとさん)に教えてもあった。

三木:踊りもいくつかバージョン違いがあるのを映像を見つつ、ユウコがマリコに説明して。自分がやったのはこれこれこうで、他のバージョンはこうです、とか。

麻路;私は今から覚えるからどっちでもいいのよって。本当に大好きなナンバーなので、今回踊ることができてすごくうれしいんです。私、初めて劇場で観た宝塚作品が、榛名由梨さん主演の『風と共に去りぬ』だったんですが、それがもう衝撃的で。役替わり公演の時も多分、興奮しながら踊っていたんだろうと思いますね。喜多弘先生の独特の振りが本当に好きてなナンバーなんですが、深めて踊っていきたいです。」


 こうして書きながらプログラムを読み返していたら、10数年前の観劇の断片がさまざまに思い出されてたまらなく懐かしい気持ちになってきました。

『ダル・レークの恋』、東京宝塚劇場が建て替えに入った時で、帝国劇場にて録音演奏で上演されたのを観劇しました。星奈優里さん演じるヒロインのカマラが麻路さきさん演じるラッチマンに「はずかしいことをなさい」という台詞を毅然と言い放ったことをわたしの心の引き出しが今も鮮やかに記憶しています。トップコンビを組んだ二人がOG公演で再びコンビを組んだ場面に心が躍りました。

マリコさん(麻路さきさん)、まだ星組の三番手時代に当時の文芸座のすぐ隣だったかな?にあった映画館を出るとファンクラブの代表さん?と一緒に東京宝塚劇場のすぐ近くを歩いているところに遭遇。目があったかな。背が高くてコート姿がとてつもなくかっこよかった記憶があります。歌が得意ではないと言われながら、麻路さきさんにしか歌えない歌があると言わしめた説得力。同世代ですが憧れの男役さんでした。OG公演でお会いできたのすごく嬉しかったです。トップお披露目、『国境のない地図』も観劇しているので懐かしかったです。

ゆきちゃん(高嶺ふぶきさん)、先日の妹さんのインスタライブで、ポジティブに考えんかったらわたしなんかもう終わりやって話していて、どんな状況になろうとも前向きに考えようとできる精神力、すごいなと思いました。手術は27日予定とのこと。無事をお祈りしています。
『グッバイ・メリーゴーランド』は観劇していないのですが、舞台写真と主題歌「ThisMoment」は映像を通してなんども聴いているので懐かしい感。ゆきちゃんにとって大切な作品、大切な歌。どこかで映像をフルで観ることができたらいいな。この頃の作品をこの世にいる間にもう一度観たいと思うこの頃。『仮面のロマネスク』のことは別に語っているのでここではやめておきます。ゆきちゃんのヴァルモン子爵の美しさは永遠とだけ。懐かしさが蘇ってくるときりがないですね。

一回一回の観劇、劇場で過ごした時間がすべて二度と戻ることのない、宝石のような時間でした。




演劇キック「宝塚ジャーナル」のサイトであらたに名作の掘り起こしレビューが始まりました。
今から35年前、若かりし日の正塚晴彦先生の大劇場デビュー作品は、2020年の今わたしたちが直面している問題をすでにストレートに見つめ、理想の世界を若さで描き切ったという話。その後の正塚作品の原点はここにあったのかと唸ります。

「新コンテンツスタート!《橘涼香の名作レビュー館》その1 『テンダー・グリーン』」

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