たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『エリザベート』五度目の観劇_美しい舞台でした

2015年08月07日 23時52分37秒 | ミュージカル・舞台・映画
8月4日(火)、夜の部観劇。18時30分開演。満員御礼。

エリザベート:花總まり
トート:城田優
フランツ:田代万里生
ルドルフ:京本大我
ゾフィー:剣幸
ルキーニ:尾上松也
少年ルドルフ:大内天

あらためて書き切る前に六度目の観劇を迎えそうです。
どれだけ観るのっていう感じですが、このドリームキャストは今回かぎりかも、と思うと
自分へのご褒美として観ないではいられません。

思い出すままに。

城田さんトート初でした。
低音が響いていました。
シシィとの身長さがあるので、より少女時代のシシィがお人形のようにみえました。
舞踏会で、トートダンサーに踊らされている場面もシシィはより体重がないような、
表情も動かない人形のような感じでした。
井上さんトートがすごく動いて目つきや手つきにも神経が行き渡っているのに対して、
城田さんはルドルフとシシィを見つめる時も表情はあまり表情を動かしません。
より冷たい、生身の人間から遠いトート。
それだけに、カーテンコールでの笑顔がより印象的でした。
(投げキスをされると客席からは悲鳴が・・・。)
マントさばきもよりダイナミックでした。
シシィとの顔の距離がより近いでしょうか。ぐんぐん迫っていく感じで、あなたなんか必要ないと跳ね返す、シシィのパワーもまたすごかったと思います。
最後に腕の中で崩れおれて動きが止まったシシィを棺に乗せて髪を優しくなでるときに、
ようやくシシィへの愛を素直に表現したかな。トートとシシィはつかの間出会って、また別れるんですね。シシィは一人で天に召されていきます。

京本さんルドルフを誘惑する場面、「子供の頃のあの約束を、君は思い出す♪」でルドルフにふっと息を吹きかけると、ルドルフは思い出した、旧友と再会した、という表情をします。

京本さん、より美しく、儚いルドルフ。『うたかたの恋』も似会いそうです。
ダンスがきれいだし、歌も前回観た時よりよくなっていたと思います。

田代さんフランツ、悪夢の場面で、エリザベートを「助けなければ」と渾身の力で叫んでいる声がはっきりときこえました。声も動きも、若い人が演じているフランツだなあとあらためて思いました。
シシィと幸せに暮らせる物語をもうひとつ作ってほしいぐらい、若い時の二人の出会いと、晩年の「夜のボート」の場面への時の移ろいは切ないです。

剣さんゾフィ。香寿さんが冷徹な表情の下に本当は温かい感情を持っている感を感じさせるのに対して、より母親的なゾフィ。本当はシシィにも愛情があったのかもしれません。でも大帝国の礎を守っていくためには仕方なかったですね。
フランツに、「二人を引き裂くことはできない」と言われた時の、「引き裂く・・・」という言葉に愛情がこもっていたと感じました。二人を引き裂くつもりなどなかったですね。
フランツに、「もうあなたの意見をうかがうことはない」と言われた時の表情が悲しかったです。「義務を忘れたものは滅びてしまうのよ」「その時あなたの国は滅んでしまうのよ」
史実がフランツ没後二年で帝国が滅亡したことを考えると、ゾフィは本当にわかっていたのかもしれません。息子と国の行く末を案じながら、旅立っていかなければなりませんでした。

尾上さんルキーニ。山崎さんが声色も表情も仕草も歌い方も場面ごとにすごく変わるのに対して、感情をみせることなく、物語の進行役に徹していました。高嶋さんルキーニの流れで、狂言回し的なルキーニ像だったかなと思いますが、少し物足りなさ感が残りました。
トートからナイフを受け取った時の表情、声、仕草に、役者さんなんだと感じました。
(20年ぐらい前歌舞伎をよく観ていた時期があったので、子供だった尾上さんをたぶん何度か観ていると思います。)
まだまだ変化していきそうな、伸びしろを感じさせるルキーニでした。

演じている人たちの若さを感じました。
エネルギーがあるし、観るたびに変化していきます。
シシィは不思議なことに、観るたびに少女時代はより少女に、その後の時の移ろいがよりはっきりとわかるようになってきています。ほんとに不思議です。

舞台に風の音が吹くような、トートダンサーのダンスはより美しかったです。

気がついたらチケットもあと二枚となりました。
なんだかさみしいです。
またエネルギーもらって、予想もしなかったことが起こっている事態をもう少しこのまま進んでみようと思います。
花ちゃんの舞台を何度も観ながら、自分の流れも変化して行っているのが、『レディ・ベス』の時と同じで不思議な感じです。

駆け足で振り返ってみました。