森田剛主演、古谷実のコミック原作の映画化作品「ヒメアノ~ル 」を観賞
40代からあまりコミックを読まなくなった僕でも、古谷実氏の存在は、あのギャグ漫画の傑作、稲中卓球部で知ってましたが、その後の作品には触れることなく、映画ヒミズの原作者として、そのあ名を確認、そして今回、そのあまりに暴力的な描写から実写化不可能(この表現もいい加減やめてほしい)と言われた作品が、今回、リアルな青春群像劇で定評のある吉田恵輔監督のフィルターを通して、どのように作られるか興味深く鑑賞しました。
映画のヒメアノ~ルは、前半では、ごく普通の濱田岳演じるフリ―ターの岡田とムロツヨシ演じるオタク風の職場の先輩安藤との間のカフェで働くユカとの恋愛事情が描かれ、後半では岡田の同級生でかつてイジメられ子で、今は殺人鬼となった森田剛演じる森田の凶悪さと最後に岡田の殺害実行にいたる結末の二つのストーリーが前後半に区切られて描かれてます。
原作の中で描かれている岡田、安藤、ユカ、森田、森田の同級生の関係に絞って描かれることで、仕事、恋愛、友情のリアルな青春とイジメにより精神を破壊された森田の凶暴性とその行動が圧倒的なリアリティで濃密に描かれて笑いと暴力が同居する不思議な時間が展開されていました。
濱田とムロの等身大の存在感に、森田の圧倒的な暴力の中に隠された悲しみが、監督の描く新しいヒメアノ~ルとして完結し、その描写とは正反対に森田剛の哀しい存在感が心打つ作品です。
先日の64とは違う、かなりの衝撃と感動を味わえる秀作だと思います。