映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は矢口史靖監督の最新作「サバイバルファミリー」です。
ウォーターボーイズに始まり、矢口監督の作品は好きです。この人の作品は笑いの中に人間味あふれる部分が随所にあって、世代を超えて愛される作品だと思います。今回の作品は、そうした要素がふんだんに込められた家族劇です。
突然起こる、停電パニック。東京に暮らす鈴木家は、日常生活が送れない東京を出て妻の実家の鹿児島を目指します。しかも自転車で。サバイバル術を身に付けながら少しづつ困難を乗り越えて行く中での家族愛がテーマですが、鈴木家を演じる家族の配役がが、実にいいです。
父に小日向文世、口だけは達者で何かとうまくいかない。母は深津絵里、そんな父に愛想をつかしながら、家族のために、したたかに生きる。長男の泉澤祐希は、無口でおとなしいが、意外と知恵を発揮して順応する。長女の葵わかなは、現在放映中の朝ドラのイメージとは、真逆の今どきの女子高生。この普通の家族の肖像に誰もが共感し、応援したくなります。
そして、サバイバルの術を伝えるような伝道者たちには、時任三郎、藤原紀香、渡辺えり、大地康雄など、個性豊かな面々が家族に影響を与えていきます。
どんな時代にも、パニック映画を通じて必ず生まれる文明発達への警鐘。今回の作品は、笑いと家族愛を通じて、より現実的に迫る作品でした。
