映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回もキネマ旬報10位に輝いた冨永昌敬監督と三浦貴大主演の異色作「ローリング」です。
本作は、水戸を舞台に製作されています。水戸と言うと一般的には納豆のイメージが強いと思いますが、アートに携わる者にとっては、水戸芸術館があり近年注目を浴びている芸術都市です。
今回の作品も、NPO法人シネマパンチの誘いにより短編映画から始まり今回の長編作品へと進んだのものだそうで、作品全体に水戸の底知れぬ芸術パワーに感嘆しました。
水戸のおしぼり業者で働く三浦貴大演じる貫一が、盗撮事件を起こして行方をくらましていた元高校教師の権藤と再会。貫一は、権藤が連れてきた元キャバクラ嬢のみはりに一目ぼれして奪ってしまったことから、権藤や貫一の悪友たちも加わって、転落の道へ突き進むローリングストーンムービーです。
盗撮ビデオをきっかけに人生が変わる元教師も含めた仲間たちの末路が、シリアスなユーモアを交えながら進む様は痛快で、三浦貴大も含め等身大の生き様が共感を生みます。また、ローリングの言葉と鳥の巣となった権藤の語りから始まり、起承転結の運び方の中に輪廻転生の仏教観がうまく重なっているように感じました。