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黒野清宇遺墨展〜かなの美 古川美術館

先日僕のお気入りの個人美術館、古川美術館(爲三郎別館)で開催中の「黒田清宇遺墨展~かなの美」を観賞しました。

再び注目を浴びつつある書の世界、相田みつをや篠田桃江などにより、書の世界が広く認識されるようになったと思います。しかしながら、その弊害もあり、にわか文字作家が、にょきにょきと出現し小銭を稼ぐように現れています。これらの人々には、書の基本を学ぶことなく、たんなる文字の面白さだけの表面的な表現に終始している場合が多く、生業にしていることに嘆かわしさを持ちます。

僕も、間違いだらけの絵画選びで閉鎖的で封建的な世界の書道界を批判していますが、その文字の世界に魅了される個々の書道家はいます。僕の住んでいる江南出身の書道家には、故青山杉雨先生がおられ、また、女流書家の町春草先生は好きな書道家の一人です。日比野五鳳、手島右卿、西川寧、金子鷗亭など今は亡き、日展の重鎮書道家の作品には文字の芸術を感じます。

今回の黒野清宇氏は、愛知県豊田市に生まれ日展、日本書芸院展で活躍、かな書の世界を代表する書道家でした。今回、古川財団と深い縁があり、今回の遺作展が実現されましたが、愛知教育大学教授でもあった氏が晩年研究した万葉集の「貧窮問答歌」の古典から現代詩、ドラゴンズの応援歌まで、多種彩々な、かな文字の世界が広がっています。その優美で繊細な文字は、読みやすく、その線描に氏の優しさを感じます。

文字に込められた思いを深め、基礎を学び修練を重ねられたからこそ現れる深い味わい。一般に機会の少ない本物の文字の世界を観賞してほしいです。



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