映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ロッテルダム映画祭で物議をかもし、その内容で、上映が危ぶまれた昨年一番の問題作「アジアの純真」です。
先ずは、この映画の内容が、北朝鮮の拉致問題をベースに描かれているので、政治的な意識を持つ人には偏見の目で見られる可能性があります。映画を純粋に愛するものには、この作品の本意は理解できるので、そうした批判にさらされることで表現の自由を侵害されることを危惧します。
物語は、受験生の少年が、恐喝にあいそれを助けた少女にほのかな恋を抱き、彼女を探しているところ、チマチョゴリの彼女がチンピラに絡まれ、殺されてしまいます。
死んだ彼女には、双子の妹がいて、姉の復讐のために、旧日本軍の毒薬を入手してテロを企て実行します。
不慮の死を遂げた彼女を助けることが出来ず、罪の意識を抱えた少年は、妹ともに逃亡生活を送っていきます。二人の結末には、ファンタジックな世界に変わり、むしろこの映画のテーマは、家族愛や人類愛にあると感じました。
その愛にいたる過程が、差別や偏見に満ちた不条理な世界や大義のもとに自らの暴力と言う欲望の世界を描いているので衝撃的に感じると思います。
全編モノクロの映像や叙情的なメロディーと躍動するパンクミュージック。古いようで新しい映像美も新鮮な作品でした。