映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、全盲のピアニストの実話に基づく作品で自ら主演を務めた「光にふれる」です。
香港映画界に革命を起こし、今や押しも押されぬ巨匠監督となったウォン・カーウェイが制作総指揮を務め台湾の全盲の天才ピアニスト、ユイシアンが主演、音楽を担当している本作は、30代半ばの若手監督のチャン・ロンジーが卒業制作で発表した短編映画が今回の作品の元となっています。その作品に感銘を受けたウォン・カーウェイにより監督初の長編作品として発表されました。
生まれながらに光を知らないユイシアンが、幼い頃にコンクールでのある出来事がトラウマになり表舞台に立てない状態に。母親は、そんな彼に自立できるようにと台北の音楽大学に通わせることに。不安な毎日の中で、サークルの仲間や不遇な生活を送るダンサー志望の女性と出会うことで自信を取り戻していくもの。
今回の作品の鍵となる、ユイシアンのピアノの音色とダンサーを夢見る女性を演じるサンドリーナ・ピンナのダンス。その研ぎ澄まされた音楽と国際的な巨匠ダンサーのファン・イー・シュウの指導のもとで、しなやかな動きが重なりに、スクリーンに美しい光のシルエットを描いていました。
盲目のピアニストにふりそそぐ優しい光。彼とふれあう仲間たちは、彼の美しい旋律に勇気をもらいながら幸せな時間を共にしていきます。どのシーンも、眩い光と暖かい愛にあふれ深い感動に満たされる素敵な作品です。
