見出し画像

65オヤジのスタイルブック

画家たちと戦争展・名古屋市美術館

終戦から70年。先日、戦争の時代を生きた画家たちの作品が並ぶ展覧会「画家たちと戦争展」を鑑賞に名古屋市美術館を訪れました。

横山大観、藤田嗣治、松本竣介、香月泰男など日本を代表する画家たちの14名の作品を戦前、戦中、戦後の代表作を並べ、それぞれの画家が、いかにして戦争の時代を生き抜いたかを紐解いた、意義ある内容となっています。

たとえば横山大観は、水戸藩の士族の血をひく尊王攘夷派の思想による国粋主義者として戦前、戦後縫に日本の象徴としての富士を描いたことで、戦後、作品がその思想からはなれ富士の大観となっていったこと。

今回の展覧会の表紙を飾った松本竣介の立てる像は、当時の戦意高揚の状況下でサンダル姿で凛々しく立つ自画像を描き、静かなる抵抗を示しています。

戦前、戦後に美しい女性象を描いた、宮本三郎や藤田嗣治は、従軍画家として戦争画の傑作を描き、戦争の時代を生きた画家たちは、その表現が国体に反するものとされ自らの表現を封印せざる得ず、その反動が戦後の表現に影響していたことを作品から読み解くことができました。

彼らの戦争を生き抜いた画家たちは、考えや行動は違っても、戦争の時代をしたたかに生き抜き、戦後、画壇に大きな影響力を与えてきました。

戦地に赴いき命を賭し、軍部弾圧により筆を折った、思想、信条により画家としての道を断たれた人々。自己の思想、表現を奥にしまい生き抜いた人々。二つの選択には、戦争の時代が作った重く苦しい芸術への空白の時間を感じます。

今回の展覧会は、過去の戦争を見つめ、不戦の誓いを新たにする意義深い展覧会だと思います。戦争の時代を生き抜いた画家たちの作品を通して戦争について考えてみてはどうでしょう。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「【美術鑑賞・イベント】」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事