65オヤジのスタイルブック

DVD モリのいる場所

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、山崎努、樹木希林共演の「モリのいる場所」です。

美術界で異彩を放ち、その独得の世界観で人気が高かった故・熊谷守一の生活を描いた本作。熊谷自身を山崎努が、その妻を樹木希林が演じ、異色の人間像を描く作品を世に送り出している沖田修一が監督を務めています。

舞台は昭和49年の東京。30年間自宅を出ることなく庭の木々や草花、生き物たちを観察しながら、その姿を描く画家、守一。94歳の彼に寄り添い身の回りの世話をする76歳の妻、秀子。そんな暮らしの中で、常に来客が絶えない生活を送り、御手伝いの女性共に忙しい毎日を過ごしてます。そんな中で、隣にマンション建設の計画が、二人が慈しむ庭に建設により光が失われる危機が。二人は、その危機をどう乗り越えるかを日常の生活を織り交ぜながら進みます。

山崎努と樹木希林の円熟の演技には、熊谷夫婦が乗り移ったかのような空気があり、どこかドキュメンタリー作品を見ているかのような錯覚を覚えます。

岐阜県付知町出身の熊谷は、僕の住む東海地方の人にとっても馴染み深い画家です。仙人のような風貌と97歳で亡くなる数ヶ月前まで筆をとり、墨絵や書を描いていました。また、自宅の庭から生まれ出た生物を描いた油彩画はその独得な筆致で美術ファンを魅了しました。

僕も長年、守一のファンの一人ですが、生き物を描いた作品はもとより、彼の初期の名作で電車に轢かれた女性の死体を描いた「轢死」は衝撃的でした。また、富裕層の家柄でありながら、芸術気質で貧乏生活を送ったことで二人の子供を亡くしています。そんな子供達の死も絵として残し、僕は生と死を真正面からとらえた、稀有の芸術家だと思っています。

今回の映画は、そうした熊谷の芸術家としての姿勢や彼の死生観が垣間見れる作品としても意義のあるもので、守一を影日向で支えた妻、秀子の存在を再認識しました。

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