65オヤジのスタイルブック

映画 はるヲうるひと

画像43

佐藤二朗監督&山田孝之主演の映画「はるヲうるひと」を鑑賞しました。

今回の作品は、コロナで公開が先延ばしになりようやく公開となったもので、佐藤さんが主宰する演劇ユニットで2009年に上演、絶賛された舞台を映画化したもので、新たなキャスティングと脚本で5年の歳月をかけた力作だそうです。

舞台はある島にある売春宿を営む兄弟妹とそこで働く娼婦の日常を描いていますが、兄役の佐藤演じる哲雄の妾の子として生まれた山田演じる得太への容赦なき憎悪の暴力に対して妹の仲里依紗演じる病弱ないぶきを庇いながら、絶望感にさいなめながらも生き続ける得太を中心に進みます。そんな重苦しさが漂い続ける中で、それぞれに事情を抱えながら春を売る女たちの熱情が生き生きと描かれていて、作品の良い味付けとなっています。

主題は、本妻の子の哲雄と妾の子の得太といぶきの間にある確執が過去を出来事を日常の中に溶けこませ、徐々に明らかになっていきますが予想だにしない真実がラストで露呈します。哲雄を演じた佐藤二朗も得太を演じた山田孝之も見たことのない二人の演技に魅了されることと思います。

余談ですが、山田孝之がテレビの初耳学でのインタビューを観ていたことで改めて俳優山田孝之の凄さを感じていました。今回の作品のオファーを佐藤から受けた際に脚本が関西弁だったことで得太に入り込むことが出来ないとの理由で断ったそうです。今回の舞台のような島が実際、三重県に存在することを耳にしていた僕は当初佐藤が関西弁にこだわっていたことに合点がいきました。

しかし、山田の出演を熱望していた佐藤は、脚本を標準語に書き直し本作の映画を作り上げました。まさにこの映画は山田孝之なしに語ることが出来ない傑作となったのです。インタビューでは、このエピソードと共に主人公の得太に寄り添うあまり、撮影中うつ状態だったそうです。俳優山田孝之の凄みを感じます。

島の置屋を舞台に人間の業があふれ出す情念を、ぜひ感じてほしい映画です。


映画レビューランキング


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「【映画・ドラマ・演劇】」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事