映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ゼロ・グラビティのアルフォンソ・キュアロン監督2008年作品「トゥモロー・ワールド」です。
過去の観れなかった作品などをBSプレミアムシネマで録画観賞するのですが、今回もそこからの紹介です。
舞台は、2027年のイギリス。18年間にわたりまったく子供が生まれない状態に落ち入り各国が崩壊。軍事力の徹底抑圧により秩序をたもっていたイギリスには、世界中から不法移民が押し寄せ治安は悪化していきます。
英国エネルギー省に勤務するセオは、元妻をリーダーとするテロリストにより拉致。グループの要求は、不法入国者である妊婦の少女の通行証入手だった。
今回の作品の醍醐味は、内線やテロにより崩壊した社会が徹底してリアルに描かれている点。さらに戦闘シーンやテロシーンなど物語の重要な部分が、長回しの技法で撮影されているところです。冒頭の爆破シーンから、本物と見間違うほどのリアルな出産シーン、ラストでの戦闘シーンなど、緊張感がスクリーン全体にあふれるようです。
セオ役のクライブ・コーエンに元妻には、アリスのままでのジュリアン・ムーアが熱こもる演技に加え、ディープパープル、ジョンレノン、キングクリムゾン、ドノバンなどロックの名曲がカバーも加えて、荒廃する世界に哀愁を漂わせています。原作は女流ミステリー作家P・D・ジェイムズのSF作品。脚本、演出、撮影とすべてにおいて1級の作品です。
