人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

守る側

2008-09-16 01:32:32 | 人生論・閃き
「先手必勝」というように、攻めるより守る方が難しいことが多いと思います。壊すより作ったり育てたりする方がよっぽど難しい。ケガをさせるより、ケガを阻止したり治療したりする方が何倍も難しい。「守る側」の人は不利な状況におかれているケースが多いということです。

だからこそ、元々「守る側」の職業の方が多かったのではないかと思います。医師や弁護士、消防士などから住宅の建築士、ボイラー管理士、ボディガード、保険会社、政治家まで。そして、親。

そして不思議なことに「守る側」ではない職業というのが、サラリーマンだと思います。マーケティングやっても営業やっても経理やっても戦略やっても守る側といえるほどではないと思います。もちろん、それが悪いわけではありません。

ある国の「サラリーマン率」を見たら、その国の裕福度がわかるような気すらします。マズローをはじめとする色んな人が言っているとおり、まずは保身、それから贅沢するのが人間ですから。

絶対なくならない職業は何か?という話題で「パチンコ業界」と真面目に答えられたことがありますが、それだけ平和な国に住んでいるのだと喜ぶべきかもしれません。

私は守る側に昔から憧れがありました。悩みには解決策を考える頭脳を、危機には判断力を、困難には勇気を、暴力に対抗する腕力と武術を、貧困を脱する行動力と就職能力を、外傷・疾病時には治療の知識を手技をもって対応できる人になりたいと今でも思います。

しかし、実際は守る側になったことがあまりありません。守る側の職に就いたことは一度もないし、妻も子供もいません。人の相談に乗ったり、少額の寄付をしたりすることしかできていません。

結局、守る側の能力を身につけてもいざというときにしか使い道がないし、そのときに実際発揮できるかもわかりません。そういう意味でも最近では、守る側のみが持ちうる特有な強さや優しさに欠けているのではないかと思うようになりました。

守る側に立ってみたい。しかし、攻める側の可能性は無限にあることに対し、守る側の目標は「ゼロ」や「現状維持」の場合が多いので、わかりやすい結果や達成感が伴わない場合が多いと思います。それをうまく調整して、無限の可能性を持つ「守る側」の仕事ができないかと考えているところです。

子育てや小児科医療はそれにあたるのかもしれませんが、他にアイディアをお持ちの方には是非お知恵を拝借したいところです。