人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

パラリンピック

2008-09-13 03:11:33 | 出来事
2008年9月のメインイベントのひとつとも言える北京パラリンピックを7日目にして初めて見ました。恥ずかしながら名前とオリンピックの障害者限定版であることしか知らず、競技も井上雄彦作「リアル」で有名になった車椅子バスケがあるだろうとしかわかっていませんでした。

そして今回、知らない世界を一つ知った気がしました。

パラリンピックは運動機能障害、脳性麻痺、視覚障害、切断等といった4種類の障害が対象となるようですが、「切断等」以外の競泳種目を見ることができました。

運動機能障害者の決勝では「どこが障害してるの?」と思わせられ、ハンパない努力をしてきたのだろうと思わされました。

そして視覚障害者のレースでは、私の現役時代の自己記録より早いタイムで泳いでいる人がいて驚きました(注:筆者は2歳のときから高校3年までほぼ競泳一筋でした)。プール外からのヘルプは、自由形のときにターン前に棒で壁が近いことが知らされることのみだったように見えました。失明して間もない人もいるのでしょうが、何年間も目が見えずして孤独な練習をしてきた人も多いに違いません(注:競泳は目が見えても孤独なスポーツです)。

視覚障害者の走り幅跳びも見ました。なぜファールせず飛べるのかが今でも不思議です。蛇足ですが、車椅子ラグビーたるものまで種目として存在するようです。さらに視覚障害者の自転車競技もあります。

最後に脳性麻痺のショットプットを見ました。私としては、そもそも「脳性麻痺」という障害分類があることが意外でした。なんとなく運動機能障害に含まれているのかも、と思っていたからです。

そもそも脳性麻痺というものが何かわからない人も多いと思います。アメリカでは「Cerebral palsy」といえば大体の人がなんととなく理解している障害です。脳性麻痺は定義上、生まれつきの(正確には、受精から生後4週までに生じた)脳障害です。脳の色んな部位が損傷される可能性があるので色んなタイプがあるのですが、片麻痺や四肢麻痺が生じるケースが多いと思います。たとえば記憶があるときから両足が麻痺している選手もいるわけですが、彼らは一定レベルの健常者以上の結果を出しているわけです。

身体障害者を「助けたい」と思ったことは何度もありますが、それは傲慢なことであり、差別ですらあったのかもしれません。ならば背が低い人も助けたいか?茶髪も助けたいか?契約社員も助けたいか?その程度の考えだったのかもしれません。

人がそれぞれ強みと弱みを持っているのなら、むしろ身体障害者に教わり、助けてほしいと思います。フリーターを、政治家を、お坊さんを、お坊ちゃんを、そして私を助けてほしい。人は誰にでも手を貸すことができ、誰にでも手を借りることができる。そんな世の中は、意外と近いところにあるのかもしれません。

・・・心が熱くなってしまったので、明日にでも泳いでこようかと思います。