事前通報制度は海洋法に関する中日の立場に影響せず(和文、人民日報)
http://j.people.com.cn/2007/02/09/jp20070209_67702.html外交部の定例会見で8日、姜瑜報道官が質問に答えた。
――中国の海洋科学調査船による調査活動についてだが、中国は事前通報制度の適用範囲に、どの海域が含まれると認識しているか。中日両国は適用海域の認識で相違があるのか。近く開催される中日外相会談で、日本側とこの問題を話し合うつもりか。
相互事前通報制度は両国関係の大局に着眼し、双方の相互信頼を増進するために定められた自主的措置であり、海洋法の諸問題に関する双方の立場に影響するものではない。
海洋調査問題に関しては、われわれはすでにその立場を明らかにしている。中国側船舶が釣魚島(日本名・尖閣諸島魚釣島)近海で実施した通常の科学調査活動は、中国の正当な主権の行使であり、通報制度とは関係がない。
中日外相会談でどのような問題を話し合うかについてだが、わたしは双方は両国関係および共通関心事に関わる問題について意見交換することになると思う。(編集NA)
たとえ『国際海洋法条約』に準拠したとしても、日中間のEEZについては中国:大陸棚、日本:中間線、と双方の主張に隔たりがある為、不測の事態を避ける意味で海洋調査をする場合はそれぞれが事前に連絡するようにしましょう、というのが「事前通報制度」の主旨。不測の事態を避けましょう、お互いに問題は話し合いで解決しましょう、という相手を信頼する精神が根本にはある。
今回、中国政府はそれを「自主的措置」であり「双方の立場に影響するものではない」と言い切ったので、日本政府としても日中間のEEZに関する姿勢を見直す必要が出てきたといえる。
それにしても、外相会談が目先にぶら下がっているにも関わらず、これまでの交渉の枠組みそのものを変えようとする動きをとるという事は、外交部も昨年同様日本に対してアグレッシブな態度をとるつもりとみえる。
別件
・潜水艦情報持ち出しの元技官、謎の中国人と北京で接触(和文、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070206it06.htm
上記の報道に対して、環球時報の反応。
・中国潜水艦技術スパイ事件を日本メディアがでっちあげ(中文、環球時報)
http://news.xinhuanet.com/mil/2007-02/09/content_5717159.htm
でっち上げだとする論拠
1.中国の潜水艦建造のレベルは既に一定のレベルにあり、特殊鋼の要求はない。
2.中国政府は近海防御戦略を採用し、防衛範囲は浅海域に集中しており、深海艇の必要はない。
近海防御戦略を採用しているのなら、高張力鋼どころか潜水艦の要求もないだろうと思うのは筆者だけだろうか。
ともあれ、この記事は、実に貴重な示唆をあたえてくれた。読売の記事を読んでもらうと分かるのだが、読売はどこにも【深海艇】などと書いていない、であるのに突然「防衛範囲が浅海域に集中しているので、深海艇の必要」を云々している。つまり今回持ち出された高張力鋼に関する論文は、潜水艦に使われたのではなく深海艇に使われたのだ。
・7千メートル級有人潜水艇の開発が進行中(和文、人民日報)
http://www.people.ne.jp/2007/02/01/jp20070201_67461.html
>深海潜水艇を見れば、その国の総合的な技術力がわかるといわれる。
確かに、諜報も総合的な技術の一つといえる。日本も「総合的な技術」が向上するよう、さっさと防諜関係の法整備を進めてもらいたい。今回の書類送検が「コピー用紙の窃盗」というのは国民として情けなさ過ぎる。