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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【中山知子の取材備忘録・12.29】:「解散あるある」発言の石破首相、真の「手の内」とは?熟慮の年末年始に

2025-02-17 07:45:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【中山知子の取材備忘録・12.29】:「解散あるある」発言の石破首相、真の「手の内」とは?熟慮の年末年始に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・12.29】:「解散あるある」発言の石破首相、真の「手の内」とは?熟慮の年末年始に 

 2024年も残りわずか。永田町からもめっきり人の姿が減った年末になって、石破茂首相から来年の衆院解散に関する発言が相次いだ。10月の衆院選で56議席減と大敗し少数野党に陥った状況で、参院選や東京都議選など重要選挙が控える来年も与野党による大決戦となるが、そうしたタイミングを前に「解散あるある」の可能性に言及し続けている。

 12月27日に東京都内で行われた内外情勢調査会で講演した際、来年の通常国会で25年度予算案や重要法案が、野党の数が一気に増えた衆議院で否決された場合には「衆院の意思と内閣の意思と、どちらが正しいかを国民に決めていただくことは、当然あり得べきことだ」と述べた。野党に不信任決議案が可決された場合でも、国民に信を問う可能性は「あり得べき」と述べた。

 「今、それ(解散)をやるとか、物騒なことを言っているわけではない」とも述べたが、28日に日本テレビ系「ウェークアップ」に生出演した際にも、来年夏に参院選に衆院選を重ねるダブル選に踏み切る可能性を問われて「これはありますよね。ありますよねと言うと、みんなビクッとしちゃうんだけど、同時に(衆参選挙を)やっちゃいけない決まりはないですから」と述べた。

 解散権は首相の専権事項といわれ、解散のタイミングはもちろん首相の判断次第。ただ、この石破首相の発言を聞いた野党関係者は「こんなにさらっと『手の内』を明かすものなのか」と、受け止めていた。自民党の関係者からも「今は、解散するかしないかより、どうやって通常国会を乗り切るかを考えておられるはず」としつつ「来年衆院選といわれても。国民のみなさんの支持が党に戻っている実感はない」と、口にした。

 1カ月あまりの臨時国会はなんとか乗り切った石破首相だが、半年近い会期がある来年の通常国会は、少数与党に対する野党の攻めも本格化し、臨時国会以上に野党ペースで進む可能性が高い。石破首相の連日の「解散あるある」発言は、野党へのけん制もあるかもしれないが、「解散カード発言乱発が過ぎると、逆に野党を勢いづかせる可能性もある」と話す人もいた。

自民党の森山裕幹事長と言葉を交わす石破茂首相(2024年9月撮影)
自民党の森山裕幹事長と言葉を交わす石破茂首相(2024年9月撮影)

 ただ、石破首相は臨時国会を乗り切ったことで「妙な自信を深めている」ともいわれている。もともと政界きっての論客で知られるが、臨時国会の予算委員会では「最初はいいことを言っているようで、全部聞いたら何も答えていない」と評された「石破構文」が話題になった。1カ月あまりの会期だった臨時国会は論戦の機会も限られていた。通常国会はそうはいかず、野党との激突が激しくなるのは避けられない。

 「解散あるある」は、時に首相の求心力を下げかねない。石破首相の前任で、政局好きといわれた岸田文雄前首相は、衆院解散の可能性をちらつかせながら踏み切らない「寸止め」が続いた。2021年衆院選と2022年参院選で大勝し、「黄金の3年」を手にした岸田氏には、戦略的に解散に踏み切るチャンスも手にしたが、自ら解散風を吹かせながら自ら火消しに走り、結局、首相就任直後に初めて臨んだ21年衆院選の後は解散に踏み切らないまま、今年8月、自民党総裁選不出馬を表明し、退陣に追い込まれた。

 国会を長く知る関係者は「解散風は、吹かせて、いかに絶妙な緊張感を保たせるかが大事」とした上で、石破首相の発言について「毎日解散、解散という総理も珍しい。野党をけん制しようとして、足元を見られなければいいのですが」。

 来年、石破首相には、まだ解決していない国民民主党との「年収103万円の壁」引き上げをめぐる交渉や、日本維新の会などほかの野党との距離感、予算案を通すための「数の力」の足し算、引き算の計算に頭を悩ませることになる。本当に来年、衆院解散するとなれば、1年の間に2度も衆院選が行われることになる可能性もある。また、過去に2度行われ、いずれも自民党が勝利した衆参同日選挙が最後に行われたのは1986年(昭61)で、40年近く前。その時からは選挙制度も変わり当時を知る当事者はほとんどいない。

 10月の衆院選で自民党が少数与党になったことで、先の読めない場面が続くようになった2024年の日本政界。「熟慮」をアピールする石破首相にとって、先の展開を熟慮する年末年始になりそうだ。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。 

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年12月29日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.17】:国会改革 政策の中身を論じ合う場に

2025-02-17 05:01:00 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・02.17】:国会改革 政策の中身を論じ合う場に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.17】:国会改革 政策の中身を論じ合う場に

 政府、与野党いずれも「熟議」を掲げている以上、旧態依然とした国会の仕組みを改め、政策や予算の中身を具体的に論じ合うべきだ。

 与野党が「国会改革に関する協議会」(座長・浜田靖一衆院議院運営委員長)を設置した。今後、議員立法の審議の促進や少数会派の質疑時間の確保のほか、質問通告の迅速化を検討するという。

 議員立法の活性化や少数会派への配慮は、立憲民主党など野党が要求していたものだ。どちらもそれ自体は必要なことだが、問題はその中身である。

 立民など野党3党は2019年、集団的自衛権の限定的な行使を認めた安全保障関連法の廃止法案を提出した。22年には、立民など野党4党が消費税率を時限的に引き下げる法案を提出した。

 厳しさを増した安保環境を考えれば、集団的自衛権の限定行使は防衛政策上、欠かせない。消費税は社会保障の重要な財源であり、その減税は非現実的だ。与党が野党の議員立法の審議に応じようとしなかったのも無理はない。

 今国会では、衆院予算委員会で初の試みとなる省庁別審査が行われた。各省庁の予算にムダや非効率がないか点検するためだ。

 野党は昨年の予算委で、自民党の「政治とカネ」の問題に多くの審議時間を割いた。それに比べれば、政策論争を挑もうという姿勢には一定の改善がみられる。

 ただ、立民は審査の結果、各省庁の基金に多額のムダがあると主張し、政府・与党に総額4兆円近い予算案の修正を求めている。

 例えば、防衛装備品の輸出を支援するための基金については「ほとんど執行されておらず、不要ではないか」と指摘した。

 予算執行はメーカーとの契約や、装備品の生産など、手順を踏んで行われるものだ。基金の残高が多いのは、運用に問題があるためかどうかを確かめることが重要だ。そうした調査がないままにムダだというのは無理がある。

 立民は、予算案の中身より、修正そのものを自らの成果として誇示することに狙いがあるようだ。それでは熟議とはなり得ない。

 与野党は23年にも、「速やかな質問通告に努める」ことで合意していたが、いまだに通告が遅く、未明まで国会答弁の作成に追われている官僚は多い。こうした長時間労働が若者の「官僚離れ」を招いているのではないか。

 与野党の党首が大所高所から議論する党首討論を活性化することも重要な課題だろう。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.17】:拘禁刑の導入 立ち直りの支援で再犯を防げ

2025-02-17 05:00:55 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説②・02.17】:拘禁刑の導入 立ち直りの支援で再犯を防げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.17】:拘禁刑の導入 立ち直りの支援で再犯を防げ

 明治期から続いてきた刑罰の形が大きく変わろうとしている。刑務所の体制を強化し、受刑者たちの更生を支援できるようにする必要がある。

 現行の懲役刑と禁錮刑を廃止して、「拘禁刑」に一元化する新しい刑罰が導入される。6月以降に発生する犯罪に適用される。

 受刑者は現在、罪の重さや犯歴に応じた刑務所に振り分けられ、刑務作業を中心とする生活を送っている。新しい拘禁刑制度では、作業は義務ではなくなり、一人ひとりの特性に合わせた矯正プログラムを受けることになる。

 受刑者に対する「懲らしめ」を目的としてきた刑罰が、社会復帰に向けた「立ち直り」に軸足を移すことになる。

 薬物依存や性犯罪の受刑者には医学や心理学のプログラムが強化される。若者には教育や職業訓練を受けさせ、また、身体機能が低下した高齢者にはリハビリを重視するなどの処遇が想定される。

 背景には、刑務所の入所者に占める再犯者の比率の高さがある。2023年に刑務所に入った1万4000人のうち、入所が2回目以上という人は5割を超え、5回目以上が2割に達している。

 出所しても住居や仕事が見つからず、生活に困って罪を犯し、刑務所に戻ってくる人が目立つ。刑務所にいる間から、社会復帰に備えて対人スキルを身につけさせ、出所後の受け入れ先を探しておくなどの支援が不可欠だ。

 懸念されるのは、刑務所職員の負担の重さだ。どの受刑者に、どういったサポートが必要か、職員が見極めるのは容易ではない。

 各刑務所は、職員の増員や適正配置に加え、福祉サービスに精通した社会福祉士や自治体と連携することが重要になる。

 一方、刑務所が受刑者の立ち直りを重んじるあまり、受刑者が自分の犯した罪の重さに向き合わなくなるようでは本末転倒だ。

 国は、刑務所職員らが受刑者と個別に面会し、自分の起こした犯罪や被害者らの気持ちについて、どのように感じているか対話する取り組みをすでに始めている。

 刑務所や少年院の職員が、被害者や遺族の心情を聞き取り、受刑者たちに伝える「心情等伝達制度」も23年12月に始まった。遺族らの申し込みを受け、これまで110件余りの伝達が行われた。

 自分が起こした事件で心身を傷つけられた被害者の言葉は、重く響くはずだ。職員は、被害者や遺族の心情を丁寧に聞き取り、受刑者の内省を深めさせてほしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.16】:能動的サイバー 重大な被害を未然に防止せよ

2025-02-17 05:00:50 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・敵基地攻撃能力・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説①・02.16】:能動的サイバー 重大な被害を未然に防止せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.16】:能動的サイバー 重大な被害を未然に防止せよ

 サイバー攻撃によって国民生活や経済活動がまひ状態に陥る、という心配が現実のものとなってきた。大規模な被害の発生を未然に防ぐことが欠かせない。 

 政府がサイバー攻撃への対処能力を強化するため、「能動的サイバー防御」の導入を柱とした関連法案を衆院に提出した。今国会での成立を目指し、1年半以内に体制を整えるという。

 既に昨年末から年始にかけて、重要なインフラへのサイバー攻撃が相次いだ。日本航空では便の遅れや欠航が多発し、三菱UFJ銀行はインターネットバンキングに接続しにくくなった。

 手を 拱 こまぬ いていたら、サイバー攻撃によって社会が混乱するリスクは高まる一方だ。

 米国は、日本のサイバー防衛体制が 脆弱 ぜいじゃく だとして対策の強化を繰り返し求めている。同盟国や友好国と共有している防衛機密などが日本から流出したら、日本の信頼は失墜してしまうだろう。

 対策を強化するにはまず、国が常時サイバー空間を監視して、攻撃の兆候を探知することが重要だ。そのためには通信事業者が情報を国に提供する必要があるが、憲法には「通信の秘密」の定めがあり、現状では提供が難しい。

 関連法案では、制度全体の運用を監視する、独立性の高い第三者機関を設け、この組織の承認を条件として事業者が国に情報を提供する、という仕組みを設けた。

 通信の秘密は尊重されなければならないが、「公共の福祉」を守るためには一定の制約を受けることも容認される、という解釈に基づいている。

 また、プライバシーが侵害されるのではないか、といった懸念を 払拭 ふっしょく するため、政府には毎年、国会に運用状況を報告することを義務づけた。政府職員が情報を 漏洩 ろうえい したり、悪用したりした場合は罰則を科すことも定めた。

 政府は法案審議を通じ、サイバー防衛の重要性を丁寧に説明し、理解を広げていくべきだ。

 重大な攻撃を探知した場合、攻撃元のサーバーに侵入して無害化する措置は、警察と自衛隊が協力して行う。このほか航空、金融、通信など基幹インフラ15業種の事業者には、サイバー攻撃を受けた際の国への報告を義務づけた。

 いくら 緻密 ちみつ に法体系を整えても、現実に攻撃を防ぐ技術的な裏付けがなければ、民間の協力を得るのは難しいだろう。サイバー人材の育成や、警察と自衛隊の技術力の向上も重要な課題となる。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.16】:迫る万博開幕 入場券の販売見直しが急務だ

2025-02-17 05:00:45 | 【偽政者の愚策、国民にバラマキ・官民ファンド、マイナカード、大阪・関西万博】

【社説②・02.16】:迫る万博開幕 入場券の販売見直しが急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.16】:迫る万博開幕 入場券の販売見直しが急務だ

 巨大イベントの開幕まで2か月を切ったが、前売り券の売り上げが思うように伸びていない。来場者を呼び込めるよう、魅力の発信と販売方法の改善を急がねばならない。 

 4月13日に開幕する大阪・関西万博の前売り券は、運営主体の日本国際博覧会協会が1400万枚の販売を目標に掲げているが、まだ半分程度しか売れていない。すでに売れた券の多くは、経済界への割り当て分とみられている。

 2005年の愛・地球博(愛知万博)は、開幕の半年前には目標の800万枚をほぼ達成していた。大阪・関西万博の出足の鈍さが目立つ結果となっている。今後は、個人による購入をどう増やしていくかが課題だ。

 前売り券の販売促進には、会場のパビリオンやイベントの魅力発信が欠かせない。日本からは、iPS細胞で作った「心臓」や火星の石、人気のアニメやゲームを活用した出展が予定されている。

 しかし、万博の公式サイトを見ても、抽象的な理念の説明に終始し、展示の内容などを明らかにしていない国が少なくない。

 協会は、価値観が多様化する中、「万博の目玉は絞れない」としているが、それでは来場者は何を楽しみにすればいいのか。参加国と連携し、より具体的な展示物や体験内容の紹介に努めるべきだ。

 販売の不振は、前売り券にあたる電子チケットの購入方法が複雑なことも一因だとされる。最初に公式サイトで「万博ID」を取得し、前売り券を購入する。

 そのうえで来場日時を指定し、さらに抽選や先着順となるパビリオンやイベントについては、別途予約の申し込みを要する。

 会場の混雑を避け、並ばずに済むよう採用された方式だが、予約を徹底するあまり、煩雑さが増し、敬遠された面は否めない。

 協会はこれまで前売り券のみの販売を想定していたが、大阪府の吉村洋文知事らは5日、協会を監督する国のトップである石破首相に会い、会場で予約なしで買える「当日券」の新設を要望した。

 チケットの販売数を伸ばすためには、会場で簡単に買える仕組みが必要だと判断したのだろう。協会は、首相の指示を受け、当日券販売の検討を始めた。

 実現すれば「並ばない万博」は看板倒れになりそうだ。また、当日券を買っても、予約で埋まった人気パビリオンには入れない可能性があるなど、不透明な点も残る。現場が混乱しないよう、適切な運用方法も重要な検討課題だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.15】:デジタル教科書 紙との選択制は教育格差生む

2025-02-17 05:00:40 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・02.15】:デジタル教科書 紙との選択制は教育格差生む

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.15】:デジタル教科書 紙との選択制は教育格差生む

 教科書は紙とデジタルのどちらを使うのか。現在の紙中心をやめ、自治体に選択を委ねるのは義務教育の地方への丸投げに他ならない。国の責任放棄は容認できない。 

 文部科学省の中央教育審議会の作業部会が、現在は「代替教材」とされるデジタル教科書を、検定や無償配布の対象となる「正式な教科書」にすることを柱とする中間報告書をまとめた。

 2026年度までに制度を改正し、30年度からの使用を目指す。紙のみ、デジタルのみ、その両者を組み合わせたタイプを導入し、どれを使うかを自治体に選ばせる「選択制」を想定している。

 義務教育はこれまで、国が全国一律に一定水準の教育を受けられる環境を維持してきた。選択制の導入は、その大転換である。

 審議会の下部組織である一作業部会で決める問題ではない。政治の場を含め、義務教育はどうあるべきか、幅広く議論すべきだ。

 デジタルは動画や音声を活用できる利点があるが、深い思考や記憶の定着には紙の方が優れているという研究報告が相次いでいる。地域によって使う教科書のタイプが異なれば、学力の格差を始め、様々な混乱が生じかねない。

 デジタル先進国のスウェーデンは最近、紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に転換した。デジタルだけでは子供の集中力が続かず、考えが深まらないなどの弊害が確認されたためだ。

 問題のある政策に、日本が今から突き進むべきではない。

 文科省は、子供一人ひとりの学力や学習の進度、特性などに応じた「個別最適な学び」を充実させるには端末の活用が重要だ、としている。部会では「教員も変わらなければ」という意見も出た。

 しかし、学校現場には依然として、過度のデジタル化を懸念する声が根強い。教員への十分な研修もせずに、道具にすぎない端末に合わせて指導法を変えろと言うのであれば、本末転倒である。

 そもそも高校入試は大半が紙と鉛筆で行われる。大学入試では、50万人近い受験生の学力を一律に測るテストが実施され、生徒はそれに向けた勉強をしている。

 デジタルを使って個別最適な教育を目指す、という作業部会の目標は、こうした現実とかけ離れているのではないか。

 今後も補助教材としてデジタルの有用性を生かすことが先決だろう。理念先行で現場に浸透せず、学力低下を招いた「ゆとり教育」の教訓を忘れてはならない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.15】:米関税策の拡大 各国は粘り強く自制を促せ

2025-02-17 05:00:35 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説②・02.15】:米関税策の拡大 各国は粘り強く自制を促せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.15】:米関税策の拡大 各国は粘り強く自制を促せ

 トランプ米大統領が、高関税策を矢継ぎ早に具体化させている。発動の範囲を広げれば、世界経済に深刻な打撃を与えるだけでなく、米国にとっての弊害も大きい。 

 日本は各国とともに、米国と粘り強く交渉して、自制を促していかなければならない。

 トランプ政権は4日、中国からの輸入品に10%の追加関税を実施した。次いで10日には、鉄鋼とアルミニウム製品に25%の関税を課す方針を発表した。来月12日に発動する予定で、日本を含む全ての国や地域の製品が対象となる。

 貿易戦争を、さらに深刻化させる懸念が強いのが、13日に導入を指示した「相互関税」と呼ばれる大規模な措置である。

 相手国が米国よりも高い関税を課している場合、同じ水準まで米国の関税を引き上げ、負担を「対等」にしようとする戦略だ。

 米国の単純平均実行税率は3%台だが、新興・途上国は高くインドやブラジルは10%を超える。

 世界貿易機関(WTO)を核とする自由貿易体制では、経済の発展段階ごとに異なる関税を許容し、互恵的な関係を築いてきた。米国が一方的に関税を上げれば、信頼関係は根底から揺らぐ。憂慮せざるを得ない事態だ。

 米国は今後、数週間から数か月かけて国ごとに調査し、適用すべき関税率を決めるという。各国は、高関税政策が貿易の縮小を招き、誰の得にもならないことを繰り返し伝えていくべきだ。

 トランプ氏には、貿易赤字を削減する狙いがあろう。だが、海外に展開している米製造業が国内に回帰するには時間がかかる。

 むしろ、すぐ影響が出るのは物価高の加速という形ではないか。米産業界ではコスト増を心配する声が強まっている。トランプ氏は 真摯 しんし に耳を傾ける必要がある。

 日本も警戒せねばなるまい。日米貿易協定で関税は低いが、米政府は、規制や消費税などの税制、補助金を非関税障壁として、高関税を課す可能性があるためだ。

 米政府内に「日本の関税は比較的低いが、高い構造的障壁がある」と、日本を名指しする意見があり、検討対象になる見通しだ。

 基幹産業の自動車で、関連企業に高関税が課されれば、収益が悪化して賃上げ機運がしぼみ、日本経済の成長を阻みかねない。

 石破首相はトランプ氏との会談で、対米投資額を大幅に引き上げると伝えた。米経済への日本の貢献度の高さを訴え、高関税を回避する努力を尽くしてほしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2025年02月15日 今日は?】:米ペンシルベニア大で世界初のコンピューター完成、全長30メートル、重量30トン

2025-02-17 00:00:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2025年02月15日 今日は?】:米ペンシルベニア大で世界初のコンピューター完成、全長30メートル、重量30トン

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2025年02月15日 今日は?】:米ペンシルベニア大で世界初のコンピューター完成、全長30メートル、重量30トン

 ◆02月15日=今日はどんな日

  秋田・横手のかまくら

 ◆出来事

  ▼イタリアの物理・天文学者ガリレオ・ガリレイが誕生(1564)▼米ペンシルベニア大で世界初のコンピューターが完成。全長30メートル、重量30トン(1946)▼黒柳徹子が日本人初のユニセフ親善大使に(1984)

ガリレオ・ガリレイ
(Galileo Galilei)
1636年の肖像画(ユストゥス・スステルマンス 画)

 ガリレオ・ガリレイの肖像がデザインされている2000リラ紙幣

プログラミングされるENIAC
2人のプログラマがENIACの制御パネルを操作しているところ

 ◆誕生日

  ▼立川志の輔(54年=落語家)▼堀ちえみ(67年=女優)▼月亭方正(68年=落語家)▼斎藤司(79年=トレンディエンジェル)▼西脇綾香(89年=Perfume)▼齋藤冬優花(98年=櫻坂46)▼丹生明里(01年=元日向坂46)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2025年02月15日 00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2025年02月14日 今日は?】:雑誌「主婦之友」創刊 43年には発行部数163万部

2025-02-17 00:00:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2025年02月14日 今日は?】:雑誌「主婦之友」創刊 43年には発行部数163万部

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2025年02月14日 今日は?】:雑誌「主婦之友」創刊 43年には発行部数163万部

 ◆02月14日=今日はどんな日

  聖バレンタインデー

 ◆出来事

  ▼雑誌「主婦之友」創刊。43年には発行部数163万部(1917)▼第1回箱根駅伝がこの日から2日間開催。早大、慶大、明大、東京高等師範(現筑波大)が参加。東京高師が総合優勝(1920)▼将棋の王将戦で谷川浩司王将に羽生善治名人が勝ち、名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王、王将の全7タイトルを初めて独占(1996)

 第1回箱根駅伝優勝メンバー(東京高等師範学校)最前列で学生服を着た人物が箱根駅伝考案者の金栗四三

箱根駅伝について

第1回箱根駅伝(1920年2月14日〜15日)
東京高等師範学校優勝

 ◆誕生日

  ▼酒井法子(71年=歌手)▼平子理沙(71年=モデル)▼ヒロシ(72年=芸人)▼JUJU(76年=シンガー・ソングライター)▼もう中学生(83年=芸人)▼田原可南子(94年=タレント)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2025年02月14日 00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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