路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説②》:日大理事長逮捕 自浄能力をどう取り戻す/12.02

2021-12-10 06:39:10 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

《社説②》:日大理事長逮捕 自浄能力をどう取り戻す/12.02

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:日大理事長逮捕 自浄能力をどう取り戻す/12.02 

 国内最大規模のマンモス大学が統治不全に陥っている。

 日本大学の田中英寿理事長が脱税の疑いで東京地検特捜部に逮捕され、辞任した。

 16の学部を備え、付属の高校や病院を全国に展開する学校法人トップの逮捕だ。大学の学生数は6万6千人、卒業生は120万人を超える。

 組織が大きい分、運営に関わる取引の規模も大きい。幹部らがこの一部を私物化して業者からリベートを受け取り、私腹を肥やしてきた構図が浮かんでいる。

 日大には昨年度、全国の大学で2番目に多い90億円の私学助成金が交付されている。学生や社会に対して説明責任を負っているのは言うまでもない。

 幹部らの背任事件で強制捜査が始まったのは今年9月。以降、日大は、記者会見など公の場での説明機会を設けてこなかった。

 トップ逮捕という事態に際しても、公式ホームページで「誠に遺憾。捜査に全面協力する」との形式的なコメントを載せただけだ。日大は事件に関する調査を早急に進め、公表すべきだ。

 事件は医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の工事や機器納入を巡って起きた。日大の元理事と医療法人の元理事長の2人が、背任罪で起訴された。取引を利用して計4億2千万円を流出させ、日大に損害を与えたとされる。

 田中容疑者の脱税容疑は2人の捜査に関連して浮上した。計1億2千万円を受け取っていたのに申告せず、計5300万円の所得税を免れた疑いが出ている。

 田中容疑者はトップに13年間君臨し「日大のドン」と呼ばれた人物だ。大学施設の工事代金の還流など、過去にもさまざまな疑惑が取り沙汰されてきた。

 特捜部は今回、2人との共謀を裏付けられず、背任罪での立件は見送っている。だが流出させた金が田中容疑者に渡っていたとすれば、責任は免れない。

 本人は現金の受領を否定しているという。特捜部には利権構造の徹底的な解明を望みたい。

 日大の関係者から聞かれる田中容疑者の人物像は強権的な独裁者と言えるものだ。相撲部監督の立場で体育会を中心に学内での地位を固め、2008年に理事長に就任。人事権を使って反対意見を封じ込めていったとされる。

 大学が組織として説明責任を果たせない背景にも、長年続いたワンマン体質があるのだろう。自浄能力をどう取り戻すか。日大は重い課題と向き合うほかない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月02日  09:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:日大理事長逮捕 大学の自浄能力発揮を/12.02

2021-12-10 06:39:00 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説】:日大理事長逮捕 大学の自浄能力発揮を/12.02

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日大理事長逮捕 大学の自浄能力発揮を/12.02

 東京地検特捜部は、所得税約5300万円を脱税したとして、日本大学理事長だった田中英寿容疑者を所得税法違反の疑いで逮捕した。背任罪で起訴された日大元理事や医療法人前理事長がそれぞれ田中容疑者に数千万円を提供したと供述。都内の田中容疑者の自宅から現金1億円超が見つかった。

 大学は学生が支払う学費や国の私学助成金で運営され、公共性が高い。一部幹部が私物化していたとすれば学生の信頼を裏切り、社会的責任を踏みにじる行為と言うほかない。日大は第三者委員会を組織して独自調査を行い、人事刷新や組織改革を進めるなど、自浄能力を発揮しなければならない。

 田中容疑者の逮捕容疑は、元理事の井ノ口忠男被告や大阪市の医療法人の前理事長籔本雅巳被告から受領したリベート収入計約1億2千万円を隠し、所得税を免れた疑い。田中容疑者は現金授受を否定しているが、1日に理事長を辞任した。

 特捜部は田中容疑者の背任での立件を見送る一方、脱税容疑は立証できると判断したもようだ。一連のカネの流れや趣旨を徹底解明しなければならない。

 田中容疑者は13年間にわたり、理事長として学内で絶大な権力を振るったとされる。金や利権に絡むうわさが度々流れ、暴力団関係者との交際疑惑が国会で問題になった。これまでも捜査当局、国税当局が内偵を進めたが事件化に至らなかった。捜査のメスが入った今こそ、日大が自らうみを出し切り、再出発するチャンスではないか。

 井ノ口被告は日大が全額出資した会社「日本大学事業部」の理事を務めた。日大付属病院の建て替え工事や医療機器納入を巡り、籔本被告が関係する会社を介在させるなどして資金を不正に流出させとみられる。

 特捜部は日大に計約4億2千万円の損害を与えたとして井ノ口、籔本両被告を起訴。井ノ口被告は約5千万円、籔本被告は約1億円の不正な利得を手にし、それぞれ謝礼や理事長再任祝いなどの趣旨で田中容疑者に現金を手渡したという。

 しかし日大は背任事件が9月に表面化してからも資金流出の被害届提出を保留。田中容疑者らに気遣うような姿勢が目立ち、ガバナンス(組織統治)の欠如は深刻と言わざるを得ない。

 大学トップの逮捕、辞任後、後任の加藤直人学長が兼務する他は30人以上の理事全員が辞任し、被害届を提出することをようやく決めた。大学再生への正念場はこれからだ。

 日大は国内最大規模の総合大学。2020年度に国が交付した私学助成金は約90億円に上り、全国で2番目に多かった。

 文部科学省は説明責任を果たすよう再三指導してきた。だが日大は一度も公の場で説明していない。自ら真相究明に取り組まない限り、学生や保護者だけでなく、広く国民の信頼を取り戻すことはできないだろう。

 元稿:秋田魁新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月02日  02:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:日大理事長逮捕 深い闇の解明急がれる/12.01

2021-12-10 06:38:50 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説②】:日大理事長逮捕 深い闇の解明急がれる/12.01

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日大理事長逮捕 深い闇の解明急がれる/12.01  

 日本大学の田中英寿理事長が所得税法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

 容疑を否認しているが、医学部付属病院を巡る背任事件は大学トップの脱税事件に発展した。

 すでに側近の日大元理事と、医療法人前理事長らが日大に計4億2千万円の損害を与えたとして背任罪で起訴されている。

 田中容疑者はこの2人らから受け取った計1億2千万円を税務申告せず、約5300万円を脱税した疑いが持たれている。

 その原資に日大の資金も含まれているとすれば、教育や研究に使われる資金で私腹を肥やしたことになり、大学の私物化にほかならない。マンモス大学の闇は深い。

 特捜部は国税当局と共に事件の全容を徹底解明してほしい。

 田中容疑者を巡っては過去にも施設工事代金の還流疑惑などが取り沙汰されてきた。特捜部は今回、田中容疑者を頂点とした背任事件の構図を描いたようだ。

 ただ受け取ったカネの出所への認識が田中容疑者に十分ではないとして、背任事件の共犯としての立件は見送ったとみられる。

 とはいえ、医療法人前理事長は流出させた大学資金を手にした直後に現金を田中容疑者に渡したと供述したとされる。背任と脱税の二つの事件を別とみるのは無理があるのではないか。

 誕生祝いなどとして多額のカネを頻繁に受け取っていたという。乱脈さにあきれるほかない。資金の流れの洗い出しが欠かせない。

 日大相撲部で活躍した田中容疑者は、相撲部監督として実績を上げ学内の足場を固めていった。

 2008年に理事長に就任し、12年にそれまで実質的なトップだった総長のポストが廃止され、影響力をさらに強めたとされる。意に沿わない職員は人事面で冷遇したという。

 ワンマンにもの言えぬ空気が次第に学内を支配していったようだ。暴走を許した大学当局の責任も免れない。経緯の検証が必要だ。

 なのに大学側は沈黙を続け、被害届も保留したままだ。事件を重く受け止めているのか甚だ疑わしい。理事会を含む運営体制を早急に刷新するしかないだろう。

 文部科学省は私大で相次ぐ不祥事を受け、評議員会の権限を強化するなどの改革案を先に示した。

 ただ、私大の運営に政府が口出しするのは本来望ましくない。自浄の取り組みを早急に進めて組織の病巣を除去し、大学の再生を図らなければならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:日大理事長の逮捕 専横許した体質問われる/12.01

2021-12-10 06:38:40 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

《社説②》:日大理事長の逮捕 専横許した体質問われる/12.01

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:日大理事長の逮捕 専横許した体質問われる/12.01

 日本大学の田中英寿理事長が、所得税約5300万円を脱税した容疑で逮捕された。大学の取引業者からのリベートなどを所得として申告しなかった疑いがある。

 全国最多の約7万人の学生を抱える大学の経営トップが刑事責任を追及されるのは、ゆゆしき事態である。理事長職にとどまることは、社会の理解を得られない。

 これまでに、付属病院を舞台とした背任事件で、側近の元理事と医療法人の元経営者らが起訴されている。元経営者側に大学から4億円余が不正に渡ったとされる。

 元経営者は田中理事長側に6000万円を提供したと供述している。その一部が、今回の容疑となった所得隠しに含まれている可能性がある。 

 事実とすれば、学費や私学助成金などで賄われる大学の運営資金が私物化されていたことになる。

 東京地検特捜部の捜索で、理事長の自宅から1億円を超える現金が見つかっている。他の業者からもリベートを受け取っていた疑いが出ている。徹底した捜査で実態を解明する必要がある。

 田中理事長は日大相撲部の出身で、学生日本一やアマチュア日本一の実績を持つ。アマ相撲の全国組織で役員を務め、日本オリンピック委員会の副会長にも就いた。 

 スポーツ界の幅広い人脈や大学の校友会の支持を背景に、2008年に日大の理事長に就任した。以来、13年にわたり、大学運営で絶大な権力を振るってきた。

 自らの方針に異を唱える職員は人事で冷遇したとの証言がある。理事長の妻が経営するちゃんこ料理店には、幹部職員や取引を望む業者が足しげく通ったという。 

 ワンマン体制の弊害は以前から指摘されていた。3年前のアメリカンフットボール部の悪質タックル問題でも、第三者委員会から組織の機能不全を批判された。

 公共性の高い教育・研究機関として、あるまじき状況だ。専横を許してきた体質が問われる。

 大学側は対応をホームページに掲載するだけで、記者会見を開いていない。説明責任を果たさなければ、学生の不安は拭えず、社会の不信も解消できない。

 運営体制を刷新し、理事長の暴走を防ぐ仕組みづくりを進めなければならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月01日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:日大トップ逮捕 うみを出し切るべきだ/11.30

2021-12-10 06:38:30 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説】:日大トップ逮捕 うみを出し切るべきだ/11.30

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日大トップ逮捕 うみを出し切るべきだ/11.30 

 東京地検特捜部は所得税約5300万円を免れたとして、所得税法違反容疑で日本大学理事長の田中英寿容疑者を逮捕した。日大医学部付属病院の医療機器調達などに絡み、4億円余りの資金を不正に流出させて大学に損害を与えたとして背任罪で起訴された側近の元理事ら2人はそれぞれ田中容疑者に数千万円を渡したと供述している。

 背任事件に関して特捜部が行った田中容疑者宅の家宅捜索で、1億円超の現金が見つかった。だが田中容疑者は元理事らとの現金授受を全面否定。日大広報部は「理事長の役員報酬や妻が経営する飲食店の利益など個人的な財産」とし、税務申告に問題はないと説明していた。

 特捜部は背任事件での田中容疑者の立件を見送ったが、元理事らの供述を基に脱税を立証できると判断したとみられる。田中容疑者は13年にわたり、7万人近い学生を擁する国内最大規模の日大でトップの座にあり、理事や幹部の任免に絶大な権限を振るった。その“独裁体制”が二つの事件で表面化した利権構造につながったと言えよう。学内の誰も逆らえない、チェックできないという「ガバナンス(組織統治)」の欠如は深刻だ。

 日大は特捜部の捜査に頼るのではなく、第三者委員会を設置して独自の調査を行い、事件の事実関係や背景を明らかにし、うみを出し切るべきだ。

 背任罪で起訴された日大元理事井ノ口忠男被告は大学の全額出資で設立された「日本大学事業部」を任され、2017年に理事に就任。翌年、コーチを務めていたアメリカンフットボール部の選手が危険なタックルで相手チームの選手を負傷させた問題で加害選手らに口封じを図ったことが発覚したため、事業部を離れ、理事を辞任した。

 その後、19年12月に取締役として事業部に戻り、20年9月には理事に復帰。田中容疑者の威光をバックに、保険代理店事業から資産管理まで幅広い業務を手掛ける事業部の全てを取り仕切ったとされる。外部からのチェックは働かなくなり、付属病院の建て替え工事や医療機器納入で本来、取引に不要な大阪市にある医療法人・錦秀会前理事長の籔本雅巳被告の関係する会社を介在させるなどし、資金を流出させた。井ノ口被告は約5千万円、籔本被告も約1億円の利得を手にし、それぞれ謝礼や理事長再任の祝いなどの趣旨で田中容疑者に数千万円ずつの現金を渡したと供述している。授受は合わせて1億円を超えたとみられる。

 田中容疑者は危険タックル問題で公式な場に姿を見せず、理事長としての説明責任を果たしていないと日大の第三者委から厳しく批判された。その姿勢は今回も変わらず、大学の対応も鈍い。危機対策本部の設置や井ノ口被告の理事退任などを発表したが、資金流出の被害届提出は保留したままだ。30人余りいる理事の中で、提出すべきだと主張したのは1人だけだったという。

 これまで学生や保護者、120万人を超えるOBに対し、事件に関する詳細な説明は行われていない。トップ逮捕という前代未聞の不祥事に進んでメスを入れ、説明責任を果たす以外に、立て直しを図る道はないと肝に銘じるべきだ。

 元稿:山形新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【談話室】  2021年11月30日  02:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:日大理事長逮捕 大学経営を私物化していたか/11.30

2021-12-10 06:38:20 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説②】:日大理事長逮捕 大学経営を私物化していたか/11.30

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日大理事長逮捕 大学経営を私物化していたか/11.30

 日本最大級の大学を運営する執行部の金銭を巡る乱脈ぶりにはあきれるしかない。組織の問題点を検証し、体制を立て直すことが急務である。 

 日本大学の田中英寿理事長が東京地検特捜部に所得税法違反容疑で逮捕された。付属病院を巡る背任事件で逮捕・起訴された医療法人前理事長らから受け取った現金を税務申告せず、計約5300万円を脱税した疑いだ。

 田中理事長はこれまでの調べに対し、現金の受領を否定しているとされる。ただ、特捜部は理事長宅に1億円以上の現金があることを確認しており、ほかにも関係業者らから多額のリベートを受け取った可能性が浮上している。

 現金がどういう趣旨で渡されたのか、徹底解明してほしい。

 背任事件では、病院の建て替え計画や医療機器の調達に絡み、計約4億2000万円の損害を日大に与えたとして、元日大理事も逮捕・起訴されている。

 元理事は、背任事件の舞台となった日大の関連会社「日本大学事業部」の取締役を務めていた。医療機器の調達に反対した病院関係者に、元理事が「理事長からOKをもらっている」と言って、はねつけたこともあったという。

 13年間にわたって日大に君臨してきた田中理事長や、その最側近と指摘される元理事が、大学を私物化していたのではないか。

 日大は約7万人の学生が在籍し、100万人を超すOB・OGを社会に送り出してきた。なぜこんな事件が起きるのかと憤っている人も少なくないだろう。

 それなのに、田中理事長は一連の事件について、公の場で一切説明していない。経営トップとして、あまりに無責任だ。

 日大の、組織としての対応にも問題がある。背任事件では、大学が元理事らによって金銭的な被害を受けた形になっているにもかかわらず、被害届の提出を保留するとも発表した。

 記者会見を開いて説明することもない。身内でかばい合っているように見える。

 日大には、付属の高校や中学も多い。受験シーズンを目前に控え、不安を抱く親子もいよう。

 文部科学省は徹底した調査を行い、説明責任を果たすよう日大側に求めた。当然の措置である。

 日大には昨年度、約90億円の私学助成金が交付され、税制上の優遇措置も受けている。公共性の高い教育機関として、体制や経営の透明化を図らなければ社会の不信は拭えないと自覚すべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張】:日大理事長逮捕 学内の正常化に大ナタを/11.30

2021-12-10 06:38:10 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【主張】:日大理事長逮捕 学内の正常化に大ナタを/11.30

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:日大理事長逮捕 学内の正常化に大ナタを/11.30 

 全国最多7万人超の学生が在籍するマンモス大学、日本大学の理事長が所得税法違反の容疑で逮捕された。

 これまでも学び舎(や)のトップにあるまじき疑惑や不祥事が数多く伝えられながら、常軌を逸した超ワンマン体制は維持されてきた。逮捕を機に、学内の正常化に向けて大ナタをふるってほしい。

 東京地検特捜部は、所得税約5300万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで日大理事長の田中英寿容疑者を逮捕した。

 背任罪で起訴された日大元理事の井ノ口忠男被告や医療法人「錦秀会」前理事長、籔本雅巳被告は、田中容疑者に数千万円を提供したと供述していた。田中容疑者の自宅からは約2億円の現金も見つかっている。

 特捜部は当初、田中容疑者についても背任事件での立件を視野に入れていたとされるが、アマチュア相撲界のドンとも呼ばれる田中容疑者の「ごっつぁん体質」「どんぶり勘定」が明確な証拠を残さず、犯意の認識も欠いたことが捜査の壁になったもようだ。

 そもそもそうした人物が長年、大学のトップであり続けたことがおかしい。

 田中容疑者は日大相撲部の出身で学生横綱、アマチュア横綱のタイトルを総なめにし、相撲部監督として多くの力士を大相撲に送り込んだ。国際相撲連盟会長や日本オリンピック委員会(JOC)副会長なども歴任した。

 一方で日大理事時代には工事関連業者との癒着や暴力団幹部との交際が報じられ、大学の調査委員会も中間報告書で「極めて濃厚な疑いが残る」と記したが、田中容疑者の理事長就任後に中間報告は全面的に否定された。

 同大アメリカンフットボール部員の危険タックル事件でも理事長側近の監督が主導し、OBの井ノ口被告が強圧的な隠蔽(いんぺい)工作を行ったことが明らかになったが、田中容疑者が公式の場で見解を述べる場面はなかった。井ノ口、籔本両被告の逮捕時も同様だった。およそ大学トップとしての自覚があるとは認められない。

 日大をめぐる不名誉な疑惑の中心には常に田中容疑者の名があった。反対勢力がことごとく遠ざけられ、日大に自浄能力が残っていないなら、文部科学省が乗り込み、マンモス大学の正常化を主導するのもやむを得ない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【主張】  2021年11月30日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:これで最高学府といえるのか/11.29

2021-12-10 06:38:00 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説②】:これで最高学府といえるのか/11.29

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:これで最高学府といえるのか/11.29

 日本大学の背任事件は、経営トップである田中英寿理事長が東京地検特捜部に逮捕される事態となった。受け取ったリベート収入を申告しなかった所得税法違反(脱税)の疑いが持たれている。

 教育・研究を旨とする最高学府を舞台に不正なカネのやりとりがあったとすれば、あきれるほかない。特捜部は資金の流れを徹底的に解明してほしい。

 事件では、理事長の側近とされた井ノ口忠男元理事が工事費などを水増しし、大学に損害を与え...、

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 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月29日  19:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:日大の背任事件 理事長の説明が不可欠/11.26

2021-12-10 06:37:50 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説②】:日大の背任事件 理事長の説明が不可欠/11.26

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日大の背任事件 理事長の説明が不可欠/11.26 

 日本大学付属病院の建て替え工事などを巡り、東京地検特捜部は計4億2千万円の損害を大学に与えたとする背任罪で日大元理事と医療法人元理事長らを起訴した。

 16学部を擁し、約7万人の学生が在籍するマンモス私立大が大きく揺らいでいる。長年にわたり経営を率いる田中英寿理事長の下、組織の運営や統治は深刻な機能不全に陥っているのではないか。

 不透明なカネの流れの全容を法廷で徹底的に明らかにすることが欠かせない。

 日大は国の私学助成金を年90億円受け取っており、教育機関としての社会的使命は大きい。

 被告の元理事は、側近として仕えた田中氏に対し数千万円の謝礼を渡したと供述している。

 にもかかわらず田中氏は一連の疑惑について公に説明していない。一刻も早く自らの言葉で責任を明らかにするべきだ。

 大学は問題点を検証した上で、組織の立て直しに全力を挙げなければならない。

 田中氏は2008年に理事長に就任した後、今回の不正の舞台となった関連会社を設立し、元理事に運営を任せてきた。

 元理事らは病院の建て替え設計や医療機器のリース契約で日大に過大な支出をさせたとみられる。

 田中氏は特捜部の任意聴取に事件との関連を否定したという。

 だが田中氏の家宅捜索では現金1億円超が見つかっており、所得隠しの疑いも持たれている。

 田中氏は絶大な権力を握り、ワンマン経営を進めたとされる。大学のチェック機能が不十分だったのではないか。解明が必要だ。

 理解に苦しむのは田中氏のみならず、日大も記者会見を一度も開いていないことだ。大学側の対応はホームページ上で簡単なコメントを出した程度にとどまる。

 18年に起きたアメリカンフットボール部の悪質タックル問題を調査した第三者委員会は、田中氏が適切に対応せず説明責任を果たさなかったと指摘している。

 今回の対応でも過去の教訓が生かされず、内向きの不誠実な姿勢が改まっていないのは問題だ。

 不祥事で大学のイメージが低下し、就職活動への影響を懸念する学生が少なくないという。何の落ち度もない学生らが不利益を被ることがあってはならない。

 日大や系列校を志望している受験生や保護者も、こうした現状に不安を募らせていよう。大学は今からでも情報公開に努め、不安を解消するべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月26日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:日大の背任事件 理事長の沈黙許されぬ/11.23

2021-12-10 06:37:40 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説②】:日大の背任事件 理事長の沈黙許されぬ/11.23

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日大の背任事件 理事長の沈黙許されぬ/11.23

 日本大学=写真=の元理事らが、大学の資産を流出させたとして東京地検に背任罪で起訴された。しかし、田中英寿理事長は沈黙を続けたままだ。私学といえども、大学は公共性の高い機関である。説明責任を果たすべきだ。
 
 事件では元理事の井ノ口忠男被告や医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳被告らが、日大の付属病院の建て替えや医療機器納入をめぐり、大学の子会社を使い、計四億二千万円の資産を流出させ、一部を私物化したとされる。
 
 籔本被告は井ノ口被告を通じ、田中氏に数千万円を謝礼として渡したと供述。田中氏は授受を否定しているが、検察は所得税法違反の疑いも視野に捜査している。
 
 田中氏は日大相撲部出身で、アマチュア横綱にも三回輝いた。二〇〇八年に理事長に就任後、今回問題となった子会社を設立。井ノ口被告に運営を任せてきた。
 
 井ノ口被告は一八年、コーチを務めていたアメリカンフットボール部での悪質タックル事件で、一度は理事を引責辞任したが、田中氏の判断で一年二カ月後に復帰。籔本被告も大相撲の日大出身力士の後援会長を務めるなど、「田中ファミリー」の一員だった。
 
 理解しがたいのは親密な元理事らが起訴され、自らへの謝礼疑惑が浮上しているにもかかわらず、田中氏が公の場での説明を一切避けている点だ。理事会や評議会のメンバーも田中氏の絶大な権力を恐れてか、口を閉ざしている。
 
 アメフト部事件でも、調査した第三者委員会が「組織統治の機能不全」を指摘し、田中氏に説明を求めたが、同氏は無視した。
 
 日大では一九六八年に二十億円に上る使途不明金が発覚し、学生たちが追及。大学側は一度は経営の全面公開や理事の総退陣を約束したが、後に覆し、改革は頓挫したという歴史的経緯もある。
 
 ゆがんだ経営がいつまでも放置されてよいはずがない。日大は国から年九十億円の私学助成金を受け、税法上の優遇措置も受けている。経営の透明化は当然だ。
 
 田中氏の沈黙は許されない。不健全な経営を長く放置してきた文部科学省も、監督責任を問われなければならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月23日  08:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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《社説①》:日大の背任事件 理事長は説明しけじめを/11.19

2021-12-10 06:37:30 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

《社説①》:日大の背任事件 理事長は説明しけじめを/11.19

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:日大の背任事件 理事長は説明しけじめを/11.19 

 日本大学の元理事らによる背任事件について、田中英寿理事長が公の場での説明をしていない。

 13年間にわたり、絶大な権限を振るってきた経営トップである。それでは済まされまい。

 事件では、元理事の井ノ口忠男被告や、医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳被告らが、背任罪で起訴された。

 付属病院の建て替え設計や医療機器のリース契約で、日大に過大な支出をさせ、計4億円余の損害を与えたとして罪に問われた。4億円余は籔本被告の関係会社に渡ったとされる。

 籔本被告は東京地検特捜部の調べに対し、田中理事長側に計6000万円を提供したと供述した。井ノ口被告も仲介したことを認めているという。

 井ノ口被告を側近として重用してきたのが、理事長だ。今回の不正の舞台となった関連会社「日本大学事業部」の役員に登用し、運営を任せていた。 

 理事長の威光を背景に井ノ口被告は、医療機器の選定に関する大学内の手続きを省略させるなど、要求を押し通していたという。

 理事長は自宅が特捜部の捜索を受け、事情聴取もされている。説明責任は免れない。

 特捜部が強制捜査に乗り出してから2カ月あまりたつが、大学側も記者会見を開いていない。

 ホームページに加藤直人学長名のコメントを載せ、調査チームを設置したことなどを公表するにとどまっている。 

 大学が損害を被ったかどうか不明として、いまだに被害届を出していない。こうした対応では、学生や保護者、教職員らの疑念や不安は拭えないだろう。

 日大は全国最多の7万人近い学生を抱える。昨年度は約90億円の私学助成金が国費から支払われた。税制の優遇措置も受けている。公共性の高い存在だ。

 3年前には、アメリカンフットボール部の悪質タックル問題が起きている。この際に田中理事長は、第三者委員会から「組織統治の機能不全を放置した」と批判されていた。しかし、大学の体質が改善されたとはいえない。

 ワンマン経営を続けてきた理事長は事件を重く受け止め、けじめをつける必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月19日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日大背任事件 理事長は説明責任果たせ/11.19

2021-12-10 06:37:20 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説①】:日大背任事件 理事長は説明責任果たせ/11.19

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日大背任事件 理事長は説明責任果たせ/11.19

自らの大学に関わる不祥事にもかかわらず、トップの理事長が一向に説明責任を果たそうとしない。日本大でまたも同じことが繰り返されている。

 私立大には国や自治体から補助金が交付され、大勢の学生が在籍する。社会的な存在と言っていい。それにふさわしい責任ある対応が不可欠だ。

 日大医学部付属板橋病院を巡る背任事件で、東京地検特捜部は、日大元理事の井ノ口忠男被告と大阪市の医療法人前理事長籔本雅巳被告を背任罪で2度にわたり逮捕、起訴した。

 両被告は先月、板橋病院の建て替え工事の設計監理業務を巡って日大から都内の設計事務所に支払われた着手金約7億3千万円のうち、2億2千万円を籔本被告側の会社に流出させたとして起訴された。

 今月には、医療機器などの納入で取引に必要ない籔本被告側の会社を介在させて利益を上乗せしたリース契約を結び、約2億円を流出させ日大に損害を与えたとして罪に問われた。

 立件額は計約4億2千万円に上る。一連の取引は、井ノ口被告が取締役として実質的に支配していた日大の関連会社「日本大学事業部」が日大の委託を受けて交渉などを担っていた。

 特捜部は両被告が流出資金を分け合ったとみている。井ノ口被告は1度目の逮捕後、理事を辞任した。学問の府を舞台に起きた、由々しき事件である。

 一方で、井ノ口被告は「日大に損害を与えていない」と起訴内容を否認しているという。今後の裁判の行方を注視しなければならない。

 井ノ口被告らが、多額の資金を日大の田中英寿理事長に提供したとする供述をしていることも気に掛かる。田中氏については適正に税務申告していなかった疑いも指摘されている。

 強い疑問を覚えるのは、こうした状況でありながら、田中氏に自らの言葉で説明しようとの姿勢が見えないことだ。大学側もホームページで「誠に遺憾」など形式的なコメントを出した程度で、あまりに軽い。

 2018年のアメリカンフットボール部悪質反則問題の第三者委員会最終報告でも、田中氏は「適切な危機対応をせず説明責任を果たしていない」と名指しされていた。

 最終報告は、反則を指示した前監督に物を言えるのは理事長の田中氏だけだったとし、ガバナンス(統治)が働かない状態だったとも指摘していた。

 今回の背任事件でも、井ノ口被告は田中氏の側近で、その威光を強調した言動があったと伝えられ、やはりガバナンス不全が言われる。田中体制下で起きた二つの問題には、通底するものがあるように思える。

 不祥事を受け、学生からは就職活動などへの影響を心配する声が上がっている。胸を痛めているOBも少なくあるまい。

 信頼回復のためにも、田中氏や大学当局はまず記者会見を開き、説明責任を果たすべきだ。うやむやで済ませることなど到底許されない。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月19日  08:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:日大背任事件 トップは説明が必要だ/11.18

2021-12-10 06:37:10 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説】:日大背任事件 トップは説明が必要だ/11.18

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日大背任事件 トップは説明が必要だ/11.18 

 日本大学医学部付属病院の医療機器導入で大学の資金を不正流出させ損害を与えたとして、東京地検特捜部は背任罪で日大元理事の井ノ口忠男容疑者ら2人を追起訴した。付属病院建て替え工事を巡る起訴内容と合わせ、立件された不正流出は計4億円余り。日大トップの田中英寿理事長についても関与を慎重に調べたが、現時点で立件を見送った。

 田中氏の「最側近」と言われる井ノ口被告と、大阪市にある医療法人・錦秀会前理事長の籔本雅巳被告はそれぞれ、田中氏側に数千万円の現金を渡したと供述。田中氏は任意聴取で現金授受を全面否定した。さらに「日大は損害を受けていない」として、大学としての被害届提出を拒んでいる。

 その田中氏はこれまで記者会見もせず、沈黙を守っている。しかし、流出したとされる資金は元をたどれば、学生の授業料や国から交付された助成金などで、大学の信用を深く傷つけた。学生や保護者、OBらも被害者といえ、大学のトップとして、なぜ、こんなことが起きたのか、公の場で説明を尽くした上、自らの責任を明確にする必要がある。

 大学としての危機対応も鈍い。アメリカンフットボール部の危険タックル問題で批判を浴びたガバナンス(組織統治)の欠如が再び浮き彫りになっている。有識者から成る第三者委員会を設置し、独自に事実関係や背景を徹底検証すべきだ。自浄力が問われている。

 日大アメリカンフットボール部の選手が2018年5月の試合で相手チームの選手に危険なタックルを仕掛け、負傷させた問題で、日大の第三者委は約3カ月後に報告書をまとめ、大学による事後対応の遅れを指摘。田中氏が公式な場に姿を見せず、理事長としての説明責任を果たしていないと厳しく批判した。同じことが今回も起きている。

 事件の背景には、08年から理事長の職にあり、理事や幹部の任免に絶大な権限を持つとされる田中氏の影響力が見え隠れする。

 井ノ口被告は大学の全額出資で設立された「日本大学事業部」を任されて業績を伸ばし、17年に理事に就任。コーチを務めていたアメフット部のタックル問題で加害選手らに口封じを図ったことが分かり、理事を辞任して事業部も離れた。ところが19年12月に取締役として事業部に戻り、20年9月に理事に復帰した。

 そうした中、井ノ口被告は昨年7月から今年5月にかけて、付属病院建て替え工事や医療機器納入などで、本来は取引に不要な籔本被告の関係する会社を介在させるなどして大学の資金を流し、計約5千万円の利得を手にした疑いがある。籔本被告も約1億円を得たとされる。

 井ノ口被告にはさらに約4千万円が入ることになっていたが、特捜部が9月に強制捜査に着手し、取りやめたという。

 特捜部は田中氏が井ノ口被告らによる資金流出の仕組みを認識していたとまでは言えず、背任罪に問えないと判断したとみられる。とはいえ、田中氏の現金授受疑惑もくすぶり続ける。教育機関として失った信頼を取り戻すために、日大は経営体制の見直しも含め、思い切った改革に踏み出すことが求められよう。

 元稿:山形新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月18日  02:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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【論説】:自浄力が問われている 日大背任事件/11.18

2021-12-10 06:37:00 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【論説】:自浄力が問われている 日大背任事件/11.18

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【論説】:自浄力が問われている 日大背任事件/11.18 

 日本大学医学部付属病院の医療機器導入で大学の資金を不正流出させ損害を与えたとして、東京地検特捜部は背任罪で日大元理事の井ノ口忠男容疑者ら2人を追起訴した。付属病院建て替え工事を巡る起訴内容と合わせ、不正流出は計4億円余り。日大トップの田中英寿理事長についても関与を慎重に調べたが、現時点で立件を見送った。

 田中氏の「最側近」と言われる井ノ口被告と、大阪市にある医療法人・錦秀会前理事長の籔本雅巳被告はそれぞれ、田中氏側に数千万円現金を渡したと供述。田中氏は任意聴取で現金授受を全面否定した。さらに「日大は損害を受けていない」として、大学としての被害届提出を拒んでいる。

 その田中氏はこれまで記者会見もせず、沈黙を守っている。しかし流出資金は元をたどれば、学生の授業料や国から交付された助成金などで、大学の信用を深く傷つけた。学生や保護者、OBらも被害者といえ、大学のトップとして、なぜ、こんなことが起きたのか、公の場で説明を尽くした上、自らの責任を明確にする必要がある。

 大学としての危機対応も鈍い。アメリカンフットボール部の危険タックル問題で批判を浴びたガバナンス(組織統治)の欠如が再び浮き彫りになっている。有識者から成る第三者委員会を設置し、独自に事実関係や背景を徹底検証すべきだ。自浄力が問われている。

 日大アメリカンフットボール部の選手が2018年5月の試合で相手チームの選手に危険なタックルを仕掛け、負傷させた問題で日大の第三者委は約3カ月後に報告書をまとめ、大学による事後対応の遅れを指摘。田中氏が公式な場に姿を見せず、理事長としての説明責任を果たしていないと厳しく批判した。同じことが今回も起きている。

 事件の背景には08年から理事長の職にあり、理事や幹部の任免に絶大な権限を持つとされる田中氏の影響力が見え隠れする。井ノ口被告は大学の全額出資で設立された「日本大学事業部」を任されて業績を伸ばし、17年に理事に就任。コーチを務めていたアメフト部のタックル問題で加害選手らに口封じを図ったことが分かり、理事を辞任して、事業部も離れた。

 ところが19年12月に取締役として事業部に戻り、20年9月に理事に復帰した。保険代理店事業や自動販売機の管理、資産管理など幅広い業務を手掛ける事業部を掌握。全てを取り仕切るようになり、不透明さも指摘されたが、学内で全くチェックが働かなくなった。

 そうした中、井ノ口被告は昨年7月から今年5月にかけて、付属病院建て替え工事や医療機器納入などで、本来は取引に不要な籔本被告の関係する会社を介在させるなどして大学の資金を流し、計約5千万円の利得を手にした。籔本被告も約1億円を得たとされる。

 井ノ口被告にはさらに約4千万円が入ることになっていたが、特捜部が9月に強制捜査に着手し、取りやめたという。

 特捜部は田中氏が井ノ口被告らによる資金流出の仕組みを認識していたとまでは言えず、背任罪に問えないと判断したとみられる。とはいえ、田中氏の現金授受疑惑もくすぶり続ける。教育機関として失った信頼を取り戻すために、日大は経営体制の見直しも含め、思い切った改革に踏み出すことが求められよう。(共同通信・堤秀司)

 元稿:佐賀新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【論説】  2021年11月18日 07:42:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説】:日大背任事件 カネの流れ徹底解明を/10.12

2021-12-10 06:36:50 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説】:日大背任事件 カネの流れ徹底解明を/10.12

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日大背任事件 カネの流れ徹底解明を/10.12 

 日本大医学部付属板橋病院の建て替え工事を巡り、日大の理事らが背任の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

 日大は16学部、学生数6万8千人というマンモス校で、国からの補助金は2020年度だけでも約90億円に上る。その経営にあずかる幹部の逮捕だけに、由々しき事態である。事件の徹底解明が欠かせない。

 逮捕されたのは、日大理事の井ノ口忠男容疑者と大阪市の医療法人「錦秀(きんしゅう)会」前理事長の籔本雅巳容疑者である。2人は、建て替え工事の設計業者として特定の設計事務所の評価点を改ざんして選定。その業者に支払われた着手金から2億2千万円を不正に送金させ、日大に損害を与えた疑いが持たれている。

 カネは、籔本容疑者が出資する実体のない医療コンサルタント会社に振り込まれたという。その会社から約6千万円が井ノ口容疑者側の関連会社に回り、うち2千万円以上がさらに別会社を通じて井ノ口容疑者本人に渡ったとされる。

 明らかに怪しいカネの流れである。一体何に使われたのだろうか。籔本容疑者が人脈を持つ政界と結びつける見方もある。特捜部には、洗いざらい明らかにしてもらいたい。

 事件の「温床」を二つ挙げることができよう。一つは、舞台となった日大の関連会社「日本大学事業部」である。

 事業部は、学内の保険代理業をはじめ、自販機の管理や食堂運営、物品調達までを一手に引き受けている。日大からの業務委託費は20年度に100億円を超え、今回の事件でも設計業者の選定作業を担っていた。そうした全権を握っていたのが井ノ口容疑者である。

 なぜ、チェック機能が働かなかったのか。特捜部は今回、日大の田中英寿理事長も任意で聴取し、自宅などの家宅捜索をしている。「理事長付相談役」の名刺を持つ日大理事へと、井ノ口容疑者が異例のスピード昇格を遂げた背後に理事長の影響力を見て取ったのだろう。

 理事長も含め、他に日大関係者の関与がないかどうかは、捜査の重要なポイントだろう。

 もう一つの「温床」として、理事長に絶大な権限を許している日大経営陣の体質も問われているのではないか。

 日大アメリカンフットボール部のOBである井ノ口容疑者は、18年に起きた悪質タックル問題の後始末にも関わった。加害選手と親を呼び出し、監督の関与を否定するように口封じを図ったのだ。その非を問われ、大学の理事を辞任した。

 にもかかわらず、19年に事業部に復帰し、20年には大学理事にまで返り咲いている。この間、糸を引いた田中理事長は説明を尽くしていない。

 組織統治の欠如と、説明を果たさぬ理事長の責任―。悪質タックル問題の第三者委員会で3年前、あれほど批判を受けながら、その病根がまたもや頭をもたげた格好である。

 不透明なカネの還流が、検察側の見立て通りだとすれば、公共財である大学の「私物化」にほかならず、到底許されない。

 日大側には、事実関係を自ら確かめ、説明すべき責任がある。110万人を超すという卒業生も見守っていよう。今度も決着をつけられぬようでは、信頼回復など図れるはずがない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年10月12日  06:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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