路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【憲法改正論議】:改憲「すべき」49%、「不要」上回る 全道世論調査 9条改正「すべきでない」63%

2020-04-30 08:05:30 | 【憲法問題「護憲・改憲・違憲論争・緊急事態条項・九条の改正、自主憲法制定論議他】

【憲法改正論議】:改憲「すべき」49%、「不要」上回る 全道世論調査 9条改正「すべきでない」63%

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【憲法改正論議】:改憲「すべき」49%、「不要」上回る 全道世論調査 9条改正「すべきでない」63%

 5月3日の憲法記念日を前に、北海道新聞社は憲法に関する全道世論調査を行った。憲法を「改正すべきだ」は49%(前年調査比8ポイント増)で、「改正する必要はない」の46%(同3ポイント減)を3ポイント上回った。同様の質問のある2016年調査以来、改憲派が改憲不要派を上回るのは初。ただ、戦争放棄や戦力不保持を定めた9条について「改正すべきではない」は63%を占め、「改正すべきだ」とした31%の約2倍に上った。

 年代別にみると、「改正すべきだ」と答えた人は30代以下が58%、40代が60%、50代が58%と、前年調査から4~13ポイント増加した。一方で、60代は55%、70歳以上は56%が「改正の必要はない」と答えた。

 「改正すべきだ」の理由については「時代の変化に合わせて改めた方がよいから」が70%に達し、「憲法を改正せず、解釈の変更で対応するのはおかしいから」が14%と続いた。これに対し、「改正する必要はない」理由は「世界に誇る平和憲法だから」が30%と最多。次いで「基本的人権や民主主義が保障されているから」が24%、「変えたい部分はあるが、いま変えれば9条改正につながるから」が20%だった。

 支持政党別でみると、改憲派は自民党支持層で66%に上ったが、公明党支持層では前年調査から34ポイント減の24%にとどまった。安倍内閣支持層は59%、不支持層も43%が改憲派だった。

 9条を巡っては、いずれの年代でも「改正すべきではない」が「すべきだ」を大きく上回った。「すべきではない」は20代で75%と最も多く、40代67%、70歳以上66%と続いた。自民党支持層でも49%、内閣支持層でも57%を占めた。9条を「改正すべきではない」理由で最も多かったのは「戦争放棄を明記しておかないと、武力行使に歯止めがきかなくなるから」で53%。2番目は「自衛隊がこれ以上の軍事力を持つべきではないと考えるから」の17%だった。(岩崎あんり)

 ▽調査の方法=北海道新聞社が北海道新聞HotMedia(ホットメディア)に委託して17、18の両日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話するRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で行った。道内に住む18歳以上の男女が対象。実際に有権者がいる世帯にかかったのは638件で、うち503人から回答を得た。数値は小数点以下を四捨五入したため、合計が100%にならない場合がある。

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 政治 【政策・憲法改正論議】  2020年04月29日  13:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【新型コロナ】:死者22万人超す 3カ月で1300倍に

2020-04-30 07:22:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【新型コロナ】:死者22万人超す 3カ月で1300倍に

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新型コロナ】:死者22万人超す 3カ月で1300倍に

 【ジュネーブ共同】米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルス感染症による死者が29日、世界全体で22万人を超えた。30日は世界保健機関(WHO)が最高度の警戒を訴える緊急事態宣言を出してから3カ月で、死者数は1月末から約1300倍に急増した。WHOは4月30日に緊急委員会を開き、現状分析と今後の対応を協議する方針。

  • 米ニューヨークの病院で新型コロナウイルス感染者に対応する医療従事者ら=6日(ゲッティ=共同)
 

 1月末時点の感染者は22カ国・地域の7817人(うち中国本土は7711人)、死者は170人で全て中国国内だった。死者数は3月31日に4万人を上回って以降、1~2日ごとに1万人以上増える状態が続いている。

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社会 【医療・健康・新型コロナウイルスの感染拡大】  2020年04月30日  07:22:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:コロナと農業 輸入頼み脱却が必要だ

2020-04-30 05:05:55 | 【食糧自給率・農業・JA・農協・農家・化学肥料・米の作柄・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①】:コロナと農業 輸入頼み脱却が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:コロナと農業 輸入頼み脱却が必要だ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、ロシアやベトナムなど少なくとも13カ国が自国の食料確保を優先し、農産物や食品の輸出を規制していることが明らかになった。

 これに対し、主要20カ国・地域(G20)の農業担当相は先週の緊急テレビ会議で、農産物貿易を不当に制限しないことで一致した。

 世界には農業の生産基盤を持たない国も多く、貿易を通じた食料の安定供給体制の維持で国際協調を打ち出した点は評価できる。

 これまで安穏と輸入頼みを続け、食料自給率の低迷を放置してきた日本政府は、急速な輸出規制の広がりを大きな教訓と受け止めなくてはならない。

 輸出入依存を前提とした食料・農業・農村基本計画を見直し、国民が必要とする食料を国産で賄える方向に農政を転換すべきだ。

 国連食糧農業機関(FAO)など三つの国際機関は今月1日、新型コロナ危機に適切に対応できなければ「輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品が不足しかねない」と連名で警鐘を鳴らした。

 万が一にもそうした事態になれば、日本は最も大きな打撃を受ける国の一つとなる。

 2013年の主要7カ国(G7)のカロリーベースの自給率はカナダ、米国、フランスが100%を上回り、ドイツは95%、英国とイタリアも60%台と、少なくとも6割以上を自国で確保している。

 日本の39%は極端に低く、しかも18年度には37%と過去最低を更新するありさまである。

 政府の危機への備えが甘すぎたと言われても仕方ないだろう。当面は国際社会に安定供給を訴えていくしかないとしても、中長期的には自給率の向上を最優先に政策に取り組む必要がある。

 政府は先月末に新しい食料・農業・農村基本計画を閣議決定したばかりだが、今後10年の指針に足る中身かどうか再検討が必要だ。

 基本計画は、10年後の自給率を45%に高める一方、農林水産物・食品の輸出を昨年の5倍超の5兆円に引き上げる目標を掲げた。

 そもそも45%の自給率は旧計画では25年度に達成するはずの数値であり、実質的な目標先送りである。国家として輸出に力を割く状況なのか、よく考えてほしい。

 今回のコロナ禍では、農場で働くはずだった外国人技能実習生が来日できず、作物の収穫に支障が生じる恐れも出ている。

 食料も働き手も外国に頼る現状を変え、国内の生産基盤を強化するためにやるべきことは多い。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月30日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

 

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【社説②】:辺野古設計変更 不要不急の申請 今なぜ

2020-04-30 05:05:50 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・在沖米軍・オスプレー・普天間移設、米兵の犯罪】

【社説②】:辺野古設計変更 不要不急の申請 今なぜ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:辺野古設計変更 不要不急の申請 今なぜ

 政府は米軍普天間飛行場の辺野古移設計画について、埋め立て予定地に見つかった広大な軟弱地盤を改良するため、沖縄県に設計変更を申請した。

 新型コロナウイルスの渦中に、これこそ不要不急ではないのか。

 移設計画はすでに実現性が疑われる状況なのに、この期に及んでさらなる工事を進めようとするとは言語道断だ。

 沖縄の感染者数は100人を大きく超え、県は先週、独自の緊急事態宣言を発令した。設計変更の申請はその翌日だった。

 県民の間では「抗議しにくい時期を狙い、卑劣だ」などと反発が強まっている。玉城デニー知事も「到底容認できない」と強く批判し、設計変更を認めない考えを重ねて示した。当然であろう。

 安倍晋三首相は基地問題解決に向け「沖縄に寄り添う」と繰り返してきたが、言行不一致が過ぎる。

 国は即刻申請を取り下げ、進行中の全工事を中止するべきだ。

 申請によると、地盤改良が必要な軟弱地盤は辺野古沿岸部約66ヘクタールにわたって広がる。新たに7万本を超すくいを打ち込み、国内では前例のない大工事となる。

 この軟弱地盤について、防衛省は2016年までのボーリング調査で把握していたが、昨年初めまで公式に認めなかった。

 不都合な事実を隠そうとしてきた国の姿勢は不誠実極まりない。

 防衛省の報告書などによれば、軟弱地盤は海面から最大約90メートルの深さに達する。だが最深部では正規のボーリング調査をせずに、海面下70メートルまで地盤改良すれば問題ないと結論づけている。

 防衛省は70メートルより深い地層も軟弱であることを示すデータを得ているのに、データの信頼性の低さを理由に無視したのは疑問だ。

 現在の作業船では約70メートルまでしか地盤改良できない。それを踏まえた無理筋の結論ではないのか。

 防衛省の専門家会議が省の判断を追認し、環境影響評価(アセスメント)をやり直さないことも問題である。新基地建設ありきの手続きと言うほかない。

 政府がコロナ対策の財源捻出に苦慮する中、総工費は設計変更により1兆円近くに増える。

 工期も大幅に延び、新基地の供用開始は早くても30年代前半とされ、今から完成後の地盤沈下も指摘されている。

 安倍政権は「辺野古が唯一の解決策」と言い続けるが、すでに説得力はない。政府が固執すればするほど、普天間返還は遠のく。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【卓上四季】:熱に浮かされる

2020-04-30 05:05:45 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【卓上四季】:熱に浮かされる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:熱に浮かされる

 カウントダウンの終わりとともに歓声と拍手がわき起こり、会員制交流サイト(SNS)上ではお祝いの言葉が飛び交った。平成から令和へと元号が変わった1年前、全国各地でイベントが開かれた。改元にあやかった商品も登場し、人々は競うように改元ムードに身を委ねた▼盛り上がりの背景には、改元という共通の話題が、孤立感を深める人々の結びつきを深めるきっかけとなったとの指摘もあった。確かに、働き方や暮らしの多様化の陰で疎外感も広がっていたのかもしれない▼ただ、高揚感は長続きはしなかった。自然災害や凶悪事件が相次ぎ、政治の世界では閣僚辞任に続き、「桜を見る会」を巡る疑惑が表面化。悪化する日韓関係や米中関係は国内経済にも影を落とした▼熱しやすく冷めやすいといえば、それまでか。気になるのは、政教分離問題などの議論が不十分だったことだ。皇位継承を巡る課題の解決も先送りされた。祝賀ムードに流され、大事がなおざりにされたということはなかったか▼新型コロナウイルスの感染が広がる中、年金制度改革関連法案や検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案が、審議入りした。保険料の負担増や検察人事への政治介入の懸念も指摘される重要法案だ▼感染対策が、最優先課題であることは間違いない。そんな有事にこそ、熱に浮かされると見えなくなるものがあることを肝に銘じたい。2020・4・30

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年04月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:補正予算案審議 国民の声届いているか

2020-04-30 05:05:40 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:補正予算案審議 国民の声届いているか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:補正予算案審議 国民の声届いているか

 新型コロナウイルスの感染拡大への対策を盛り込んだ補正予算案がきのう、実質審議入りした。

 緊急事態宣言の期限である5月6日が近づいているが、終息は遠い。安倍晋三首相は「長期戦を覚悟する必要がある」としている。

 戦後最大の危機から国民の命と暮らしを守るために、柔軟かつ果断に対処する―。国民の不安を少しでも和らげるには、政権にそうした姿勢が求められる。

 だが首相と閣僚の答弁は期待に応えたとは言えず、現場の声がどこまで届いているのかと疑問を抱かせる場面もあった。

 いま最も急がれるのが、PCR検査の拡充だ。首相は立憲民主党の枝野幸男代表に対し、1日2万件まで能力を上げていきたいと繰り返したが、先週半ばまでの実績は1万件にも届いていない。

 加藤勝信厚生労働相は「一つ一つ障害を解消すべく努力をしている」と述べたが、枝野氏は2カ月前も同じ答弁だったと批判した。自治体任せとの印象が否めず、感染拡大阻止への決意を疑わせる。

 経済対策を巡っては、補正を組み替えて一律10万円の給付を決めた迷走劇以外にも、ちぐはぐで一貫性のない対応が目につく。

 首相は経済状況に関し、1929年の世界大恐慌よりも「ある意味では精神的には厳しい状況になっている」と述べ、「直ちに景気刺激策を打てば効果が出る状況ではない」との認識を示した。

 だが、補正予算案には終息後の観光キャンペーンなどに1兆6794億円を計上している。野党が、終息が見通せない現状では当面の医療や生活支援に回すべきだと主張しているのは当然だろう。

 野党側はまた、アルバイトで学費などを稼ぐ学生が仕事を失い、支援が必要だと訴えている。

 首相は現行の給付型奨学金や雇用調整助成金、授業料の減免要請などで対応する考えを示したが、救済策として不十分ではないか。

 雇用調整助成金を巡っては自民党の岸田文雄政調会長が、制度の悪用への懸念もあって窓口での対応が遅いと指摘した。

 首相は「不正などは事後対応を徹底すればよい」として、自身の責任で改善を図ると述べた。口先だけで終わらせてはなるまい。

 また、事業者への家賃支援を追加対策として検討する考えも表明した。本来なら今回の補正に盛り込むべき緊急性の高い話だ。

 野党5党も支援法案を共同提出した。与野党で協議し成案をまとめ、実施を急いでもらいたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月29日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:コロナとGW 感染増抑え込む期間に

2020-04-30 05:05:35 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説②】:コロナとGW 感染増抑え込む期間に  

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コロナとGW 感染増抑え込む期間に  

 道内で増え続ける新型コロナウイルスの「第2波」を食い止めるには、人と人との接触を減らす一層の努力が欠かせない。

 ゴールデンウイーク(GW)で休暇を取れる人が増えれば、通勤や仕事で人と接触する機会が減る。この期間の過ごし方が鍵を握ろう。帰省や行楽を含め、不要不急の外出を避けることが重要だ。

 一方で、連休中も社会や生活を支えるために働かざるを得ない人が大勢いる。一人一人が感染のリスクに細心の注意を払い、自覚的に行動する必要がある。

 政府の専門家会議は「大型連休に都市部から地方の観光地に人が流れることが強く懸念される」と自粛を呼びかけている。

 だが、沖縄便は予約が多く、玉城デニー知事はツイッターで「医療体制も非常事態です。旅はキャンセルして受け入れ可能な時期までお待ち下さい」と訴えた。

 道内の空港もサーモグラフィーで乗客の体温を測るなど「水際対策」に取り組んでいる。観光業への影響は極めて深刻だが、今は感染拡大防止策が優先されよう。

 桜の季節を迎えたが、イベントの中止や延期が相次いでいる。東京では3月の3連休に花見客などが繰り出し、感染増につながったとの見方もある。

 身近なドライブに出かける人も少なくない。郊外は人の密度が低く、安心感があろう。ただ、コンビニやトイレを利用すれば、会話による飛沫(ひまつ)感染やドアノブなどで接触感染を招きかねない。

 公園も同様だ。利用者同士の会話や、遊具による感染のリスクがある。うがいや、爪から手首までの入念な手洗いが大切である。

 ジョギングも注意が必要だ。運動中の飛沫はかなり後方まで流れる。人の真後ろを避け、間隔を長く取り、マスクを着用したい。

 スーパーは混み合い、行列もできている。買い物を3日に1回にし、家族の誰か1人が代表して行えば、混雑は緩和できる。高齢者や体の不自由な人優先の時間帯を設けるのも有効ではないか。

 治療薬やワクチンの開発には時間がかかり、長期戦も予想される。家庭で過ごす時間が増え、児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)が起きている。ストレスの解消策が課題と言える。

 自粛者向けに本の郵送サービスを始める図書館も出てきた。行政にはきめ細かな支援策が求められる。私たちもオンライン講座などで趣味の幅を広げれば、新たな発見があるかもしれない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【卓上四季】:春の苦味

2020-04-30 05:05:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【卓上四季】:春の苦味

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:春の苦味

 「野草の味わいを覚えると、いままで死んだ野菜を食べていたことに気が付きます」と向田邦子さんが随筆に書いている。ハウス栽培の普及で、野菜から旬やはしりといった季節感が失われて久しい。同じ思いを抱く人もいるのではないか▼向田さんは「アズキナは、素揚げにすると杉箸に色が移るかと思えるほど、あざやかなヒスイの色に染まります」とにおい立つように描いた。タラノメを天ぷらの王者とすれば、アズキナは「女王格の美しさとおいしさ」と絶賛している▼山菜採りのシーズンがやって来た。連休中は、自然の精気を凝縮したような旬の味を求めて、山歩きする人もおられよう。もっとも新型コロナウイルスの感染拡大で遠出はできない。野山に近い人はうらやましい▼フキノトウに始まり、ギョウジャニンニクやウド。共通するのはほろ苦さだろう。「春の皿には苦味を盛れ」と言われるように、その苦さには、冬の間にたまった老廃物の排出を促す作用があるという▼子どもの頃、山菜の苦さや香りにはなじめなかったのに、いつの間にか、春には欠かせぬ味と感じるようになった。エッセイストの平松洋子さんは「春先の野山の苦み、えぐみを味わう。すると、にわかに蠢動(しゅんどう)が起こる。眠りこけていたものが、ぶるりと身を震わせて起き上がる」と「おとなの味」に記す▼想像の山野で大人の味を探すしかない。苦い春だ。2020・4・29

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年04月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日銀の追加緩和 資金繰り支援を万全に

2020-04-30 05:05:25 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:日銀の追加緩和 資金繰り支援を万全に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日銀の追加緩和 資金繰り支援を万全に

 日銀はきのうの金融政策決定会合で追加の金融緩和を決めた。3年8カ月ぶりに踏み切った3月の前回会合に続く追加緩和となる。

 年80兆円をめどとしている国債買い入れの上限を撤廃するほか、企業が発行する社債などの購入枠を大幅に増やし、国の財政や企業の資金繰りを支える。

 新型コロナウイルスの感染拡大で暮らしや経済活動への悪影響が日ごとに増している。政府は4月の月例経済報告で、約11年ぶりに「悪化」との表現を使い、日本経済の後退期入りを事実上認めた。

 とりわけ中小企業や零細業者の資金繰りの悪化は深刻である。

 大規模緩和を漫然と続けてきた日銀が切れるカードは少ないが、残る手段を効果的に使い資金供給に万全を期すことが求められる。

 金融政策の柱は金利操作だが、マイナス金利の拡大は見送った。極めて低い金利を引き下げても、景気の下支えより金融機関の収益をさらに圧迫するといった副作用のほうが大きい。妥当な判断だ。

 中央銀行である日銀が企業に直接、お金を貸すことはできない。社債購入による資金供給も、恩恵が届くのは主に大企業となる。

 日銀は中小企業などに融資する金融機関に対し、原資を金利0%で貸す制度を3月に設けた。今回は地域金融機関が使いやすいよう担保の条件を緩和するほか、新たな資金供給策も検討するとした。

 引き続き中小企業を取り巻く状況に注意深く目を配り、機動的に対応することが欠かせない。

 コロナとの闘いは長期化も見込まれる。政府は事業規模117兆円の緊急経済対策を決めたが、追加策を迫られる可能性もある。

 適切な施策を躊躇(ちゅうちょ)なく打てるよう、日銀が国債購入で側面支援する必要はあるだろう。

 気になるのは、現在の国債購入額が年20兆円に満たず、買い入れ余力は十分にあるのに、上限を撤廃することである。

 日銀が政府の借金を無制限に肩代わりすると受け止められかねず、禁じ手とされるためだ。

 今後は経済対策の財源を賄うため国債が増発される。市場に国債があふれれば金利が上昇し、景気や財政が一段と悪化しかねない。

 異例の手段を用いるのは、金利急騰懸念の払拭(ふっしょく)へ日銀が積極的に買う姿勢を示す意図があろう。

 ただ国債の制限なき購入は、日銀の財務悪化を招く恐れもある。それ故、この政策はあくまでコロナ禍の時限措置であり、終息後は市場の是正を急がねばならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月28日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:コロナ便乗犯罪 不安な心理が狙われる

2020-04-30 05:05:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説②】:コロナ便乗犯罪 不安な心理が狙われる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コロナ便乗犯罪 不安な心理が狙われる

 新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた不審な電話や訪問、悪質商法が各地で相次いでいる。

 不安な心理に付け入ろうとしたり、外出自粛で孤立しがちな高齢者を狙うケースが目立つ。

 ウイルスの猛威が長引く中で、手口がより巧妙になっていくことも考えられる。十分に注意を払って過ごしたい。

 「ウイルス検査をする」と言って子どもに近づく不審者や、自宅で留守番をしていた子どもが窃盗犯と鉢合わせになった事件も道外では発生している。

 コロナ不安で人々が余裕をなくしている。外出自粛もあって地域の見守り力が低下していることが考えられる。高齢者や子どもが犯罪に巻き込まれないよう、目配りもしていきたい。

 道警によると、道内では3月中旬以降、札幌や函館、岩見沢などで不審電話が続いている。

 多くが警察官や保健所職員を名乗り、「コロナの資料を家族分送ります。何人家族ですか」「コロナに関する詐欺が多いので電話に録音機を付けませんか」などと聞いてくるという。

 道警は、詐欺グループが電話で独居老人なのかや、だませそうな相手なのかなどを探っているとみている。

 実際、コロナ対策のお金が出るとの電話を受けた高齢女性が、その後自宅に来た金融機関職員を装う男にキャッシュカードを持ち去られ、金銭被害に遭う悪質な事例が道外では出ている。

 普段は留守番電話の設定にしておき、不審な電話や来訪者には対応しないことだ。キャッシュカードは渡さず、暗証番号は教えないことを徹底したい。

 離れて暮らす祖父母や親との電話での会話を増やすことも、被害防止に役立つのではないか。

 国民生活センターによると、「ウイルスが水道水に混ざっているので除去する必要がある」などと持ち掛ける、悪質商法とみられる電話に関する相談も増えている。

 「マスクを発送する」といった偽メールが送りつけられてくる例も確認されている。

 通販サイトでマスクや消毒液を注文して代金を支払ったのに商品が届かない被害も出ている。怪しいと感じたら、警察や消費生活センターに相談することも大切だ。

 休校中の子どもがいる家庭では、知らない人が来ても玄関を開けず、知らない番号からの電話には出ない―といった留守番ルールを話し合っておきたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【卓上四季】:子どもと本

2020-04-30 05:05:15 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【卓上四季】:子どもと本

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:子どもと本

 「実は、わたし、今度、『風野又三郎』というのを書いたから、みんなよければ、読んでしらせましょう」。花巻農学校の教師時代、宮沢賢治はこう言って教室で読み始めたという(畑山博著「教師宮沢賢治のしごと」)▼「風の又三郎」の名高い冒頭の風音は「どっどど どどうど どどうど どどう」だ。これが生徒の一人には「ドドード、ドドード、ドードードー」と聞こえた。ひょっとすると作品の原型だったのかもしれない▼いつまでも耳に残る賢治の風。作者自身の朗読を聞きながら、物語が誕生する瞬間に立ち会った経験は一生の宝だろう。夢のような巡り合いである▼本との出会いはさまざまだが、子どもの頃、両親など大人による「読み聞かせ」は大切なきっかけだ。心を込めて読んでもらった文章や声を、大人になっても記憶にとどめている人もおられよう▼児童文学者の松岡享子さんは「子どもたちが『これ読んで!』とねだるとき、それは、子どもたちがさくの向こうから手をのばしているときです」と言う。この時に読み聞かせで、ちょっと手を貸してやるのが大人の義務ではないかと問いかけている(「えほんのせかい こどものせかい」)▼5月12日まで「こどもの読書週間」。新型コロナウイルスの感染拡大で、あいにく図書館や児童館は閉鎖されている。親子が自宅で、物語の世界に遊ぶ貴重な機会にできないか。2020・4・28

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年04月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:テレワーク 負担増避ける配慮必要

2020-04-30 05:05:10 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説①】:テレワーク 負担増避ける配慮必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:テレワーク 負担増避ける配慮必要

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、情報通信技術(ICT)を使った在宅勤務「テレワーク」を実施する企業が増えてきた。

 経団連が会員の大手企業(金融など一部業種を除く)を対象に行った今月中旬の調査では、回答した406社のうち97%の企業が実施していると答えた。3月上旬の調査より約30ポイント増えた。

 ただ、実行している従業員の割合が全体の8割以上の企業は、36%にとどまった。人との接触機会を8割減らす政府目標の達成は、大手企業でも厳しい状況だ。

 テレワークに可能な限り取り組むのは、いまや企業の社会的責務と言える。感染が終息し、経済活動が再開した後は多様な働き方の一つとして定着するであろう。

 企業はそれに向けて、従業員に新たな負担をかけない職場環境づくりなどに配慮してほしい。

 テレワークは働き方改革の一環として政府が導入を呼び掛けてきたが、緊急事態宣言の発出で、急速に広がりをみせている。

 しかし中小企業では導入が遅れ気味だ。中小の会員が多い東京商工会議所の調査では、3月中下旬の時点だが、1333社のうち実施している企業は26%だった。

 テレワークが可能な業務でも実施していない主な理由は「仕事の管理や労務など社内体制の不備」「ICT機器や社内ネットワーク(LAN)環境が不十分」だ。

 景気が悪化するなか、日々の資金繰りに苦しむ中小企業がテレワーク導入への新たな出費をためらうのはやむを得ない面がある。

 多様な働き方への対応は、人材採用や社会からの評価などで企業側にもメリットとなるはずだ。前向きに取り組んではどうか。

 政府や自治体はICT機器購入などに補助金を用意しているが、増額や要件の緩和などで積極的に支援すべきである。

 近くに集まってこそ生まれるアイデアや工夫もあろう。だが、テレワークの普及は働き方を大きく変える可能性がある。長時間通勤がなくなり、自由な時間の使い方が広がると期待される。

 気がかりなのは、プラス面ばかりではなさそうなことだ。

 監視が行き届かず、長時間労働が助長されるとの指摘がある。

 上司と部下が顔を合わせる機会が減って成果に偏重した人事評価がなされたり、残業代が減らされたりすることも懸念される。

 企業にはテレワークを選べるようにしてもらいたいが、それを口実に待遇を改悪してはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:外出自粛と虐待 家庭内の緊張見逃すな

2020-04-30 05:05:05 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【社説②】:外出自粛と虐待 家庭内の緊張見逃すな

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:外出自粛と虐待 家庭内の緊張見逃すな

 新型コロナウイルス感染防止で外出自粛が続く中、児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)のリスクが高まっている。

 今月に入り、収入減を巡る口論で妻が夫に殴り殺され、虐待が疑われる幼児の死亡も報じられた。

 札幌市では、3月に市児童相談所に寄せられた虐待の通告が前年同月の1・5倍に急増した。

 休校の長期化や休業などで家庭環境が変わり、家族間の緊張が高まっている恐れがある。

 海外では感染症が広がる度、家庭内の暴力防止が課題になってきた。「家にいて」で終わらせず、行政や支援団体が被害者とつながる手だてを尽くすとともに、市民も暴力への感度を高めたい。

 感染拡大は弱まる兆しがない。親子とも逃げ場のない閉塞(へいそく)感で、子どもに手を上げそうだという悩みは早くから聞かれた。

 緊急事態宣言が長引けば、経済的な逼迫(ひっぱく)も加わる。最悪の事態を招かないためにも、速やかな経済支援の充実が求められる。

 市児相への通告は、3分の2が道警からで、子どもの前で配偶者に暴力を振るう面前DVなど、虐待が疑われるものも複数あった。

 心配なのは、学校や幼稚園、乳幼児健診、子ども食堂など、子どもの見守りの場が、感染症で縮小を余儀なくされていることだ。

 文部科学省は休校中の施設開放や登校日の検討を求めているが、福井県で登校日にクラスターが発生し、札幌市も実施を断念した。

 代わりに電話で児童生徒の状況を確認し、連絡が取れない場合は家庭訪問などを行うという。

 虐待が疑われても、感染防止のため一時保護がままならず、家庭で様子を見るケースも出てきかねない。学校と児相、警察の一層注意深い連携が求められる。

 児童虐待がDVと同時に起きる場合が多いことにも留意したい。

 国連は感染拡大を受けて、各国政府にDV対策の強化を促した。

 外出制限下で助けを求められるようショートメールで緊急通報を受けたり、宅配業者と連携するなど、参考になる取り組みもある。

 内閣府も自治体に支援を促すとともに、深夜・休日対応窓口を設け、SNSでの相談も始めた。

 事態の長期化を見据え、親子の避難場所となるシェルターを増設する国もある。せめて、民間シェルターの拡充を支援してほしい。

 社会が揺らぐとき、安全網の穴を埋められるのは身近な人だ。一人一人がアンテナを高め、一歩踏み出す勇気を持ちたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年04月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:コロナ後巡る争い

2020-04-30 05:05:00 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【卓上四季】:コロナ後巡る争い

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:コロナ後巡る争い

 「いよいよ、復興に向かわなければなりません」。9年前の東日本大震災発生1カ月後、まだ1万人を超す行方不明者がいる中で、当時の菅直人首相の発言に違和感を覚えた▼安倍晋三首相が新型コロナの感染拡大中に、終息後は経済の「V字回復」を目指すと口にしたので思い出した。国民が苦境にあえいでいても、政治指導者は理想の将来を語る。どこか政権延命や自己保身の意図を感じる▼国際政治の分野では「コロナ後」の世界が語られ始めた。中国主導の新秩序、グローバリゼーションの終焉(しゅうえん)、国際協調の新時代、ナショナリズムの加速など諸説ある▼いま目立つのは米中の対立だ。トランプ大統領は世界保健機関(WHO)が中国寄りだとして資金拠出停止を表明した。今秋の大統領選に向けた人気取りの色が濃い。繁栄を取り戻そうと、経済活動再開を急ぐ▼WHOのテドロス事務局長は「残念だ。各国と資金の穴埋めに努力したい」と米国に背を向けた。そして「もう以前の世界には戻れない。健康で安全で予防を強化したニュー・ノーマル(新常態)が現れるに違いない」と予測した。「新常態」と言えば、習近平政権が看板に掲げる経済政策の名称である。やはりWHOの背後に中国の影がちらつく▼諸国民が目に見えぬ敵と命がけの闘いをしている時に、覇権争いに血道を上げるのはやめてもらいたい。協調こそ大国の責任だ。2020・4・27

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年04月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:柔軟さを欠く

2020-04-30 05:04:55 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【卓上四季】:柔軟さを欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:柔軟さを欠く

 大正から昭和初期にかけて、日本は次々と苦難に直面する▼第1次世界大戦の勝利によって膨らんだ景気は、程なく崩壊した。スペイン風邪は流行し、関東大震災も起こった。さらに金融恐慌が追い打ちをかけ社会の不安定さは増す。そこに米国での株価大暴落に始まる世界恐慌だ。深刻さは想像に難くない。しかも軍部の資金拠出への圧力が強まる▼そんな中で経済施策を指揮したのが当時の井上準之助蔵相だった。だが採った緊縮財政は失敗に終わる。背景には誤りを認めず体面を維持しようとした保身があったという▼「(主張を変えることは)政治家にとっては自殺を意味することがある。井上が一度定めた自分の政策を守り通そうとしたのはこの理由からだ」(中村隆英著「昭和恐慌と経済政策」)。柔軟さを欠いた対応が国民を苦しめた▼コロナ禍での安倍晋三首相の姿勢も同様に映る。感染拡大の防止へ、外出自粛とともに店に休業を求める一方で、補償はしない。自治体への1兆円の臨時交付金は、事実上の補償に使うことを認めたが、自治体に迫られてというのが実態だろう。家庭への給付金が一律に変わったのも、与野党からの圧力があったためだ▼事態は変化していく。臨機応変に対処できなければ、政策は十分な効果を上げない。それは国民の不安に目が向いていないのと同じだ。かつてと同じ過ちを繰り返してはならない。2020・4・26

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年04月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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