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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●「専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震」…いま、「減災」に向け立ち止まって考えるべき

2016年04月20日 00時00分37秒 | Weblog


東京新聞の宇佐見昭彦・永井理記者による記事【熊本地震 2つの断層が連動 揺れの回数は過去最多】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041802000124.html)と、
社説【週のはじめに考える すべては減災のために】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041802000127.html)。

 《熊本県を中心に相次いでいる地震は、これまでに最大震度7、最大マグニチュード(M)7・3を記録し、大きな被害を出した。発生から四日目を迎え、これまでの地震の常識では割り切れない特異な姿が見えてきた》。
 《専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震が九州を揺さぶっています。次は何が起きるのか》。

 地震や火山の噴火を予測することなど困難…それを素直に受け入れることではないでしょうか。
 そして、《専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震》《予想外の展開》《常識では割り切れない》《広範囲の連続地震になることは予想することができなかった》《専門家も見通せぬ》《関係ないとは言い切れない》…ことを鑑みれば、我々は、いま、立ち止まって考えるべきなのではないでしょうか。
 《地震の発生を防ぐことは、もちろんできません。でも、被害を減らすこと、減災であれば、わたしたちの努力で道を開くことができます》…であるならば、その最たる致命的被害をもたらす唯一稼働中の川内原発を停止するとことが、最重要な「減災」ではないでしょうか。ニッポンが致命傷を負わぬために。

   『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
       寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」

   『●九州電力川内核発電所、「住民の命に関わる重大事」を 
           「審査さえパスすれば、約束をほごにしてもいい」?
   『●前田郁勝・西川知一郎両裁判長や九電のオゾましき
         「社会通念」=「「安全より効率、命より経済」を優先」
   『●熊本大地震…「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。
                    地震国日本では、これこそ社会通念」
   『●東京電力核発電人災の教訓: 
     次の大地震で川内原発に「異常があってからでは遅い」
   『●地震調査委員会で結論が出ず「議論になっている」…
      原子力「寄生」委員会は「規制」の仕事をすべきでは?


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041802000124.html

熊本地震 2つの断層が連動 揺れの回数は過去最多
2016年4月18日 朝刊

 熊本県を中心に相次いでいる地震は、これまでに最大震度7、最大マグニチュード(M)7・3を記録し、大きな被害を出した。発生から四日目を迎え、これまでの地震の常識では割り切れない特異な姿が見えてきた。 (宇佐見昭彦、永井理)


■大分の揺れ誘発

 気象庁は当初、熊本県で震度7となった十四日夜のM6・5を「本震」としたが、のちに十六日未明のM7・3が本震で、震度7は「前震」だったと修正するなど迷走した。

 元気象庁地震予知情報課長の吉田明夫・静岡大客員教授は「この二つの地震はメカニズムが異なる。『前震-本震』ではなく独立した活動とみた方がいい」と指摘。十四日夜は日奈久(ひなぐ)断層帯、十六日未明は布田川(ふたがわ)断層帯によるもので、近接する二つが連動したとする。政府の地震調査委員会でも十七日、同様の指摘が出た。

 大分県でも「火山地域や中央構造線沿いの弱い所で地震が誘発された」(吉田氏)。気象庁は震度7の地震を「熊本地震」と命名したが、広域にわたる地震の全体像を再検討し、見直す可能性も出てきた。


■阪神の倍ペース

 十四日夜の震度7以降、熊本、大分両県で体に感じた地震は四百八十八回。震度5弱以上の地震も十四回を数えた(十七日午後十一時現在)。M3・5以上の地震の回数を過去の直下型地震と比べると、余震活動がこれまで最も活発だったとされる新潟県中越地震を十七日に上回った。阪神大震災の約二倍のペースだ。

 今回は特に、M6・5とM7・3という二つの地震にともなう余震が重なった形で数が増えた。清水洋・九州大教授は「今回のように地質が複雑な場所では断層が一発で割れず、残った部分が後で割れるため余震が増えやすい」と話す。

 複数の活断層が関係し、断層帯を離れた地域にも地震が飛び火しているだけに、どこまでを余震とみるかは難しい判断だ。


■火山活発化も

 阿蘇山は過去に何度も巨大噴火を起こしており、地震の影響が気になる。布田川断層帯は、阿蘇山を囲むカルデラの手前までしか延びていないと考えられてきたが、小さな余震がカルデラ中でも起き始めた。

 地震調査委は「余震や地殻変動などから判断すると、思ったより長くカルデラ内まで延びている」と結論付けた。

 委員長の平田直(なおし)・東京大地震研究所教授は「これから影響を受けて火山活動が活発化する可能性はある」と指摘。「監視を強化していただきたい」と関係機関に注意を呼びかけた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041802000127.html

【社説】
週のはじめに考える すべては減災のために
2016年4月18日

 専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震が九州を揺さぶっています。次は何が起きるのか。減災に向け、わたしたちは知恵のすべてを傾けたい。

 本震と思っていた木曜夜の最大震度7の地震が実は前震で、終息を期待しながら余震を警戒していた次の晩に襲ってきたのが余震ではなく本震だったとは…。

 予想外の展開が、不安な夜を過ごしていた被災地の人たちに非情な追い打ちを掛けることになってしまったのかもしれません。


◆二晩目に被害広がる

 地震学では、このような一連の地震で、地震の規模を示すマグニチュード(M)の最も大きなものを本震とするそうです。

 気象庁はその規則に従い、木曜夜に震度7を観測したM6・5の地震を本震と呼び、それ以降の地震を余震としました。

 ところが、土曜日の未明、地震の規模としては約十六倍に及ぶM7・3の地震が起き、結果として「本震」が入れ替わる事態となりました。この段階、つまり一連の地震が始まって二晩目に、終息に向かうどころか被害の範囲は大きく広がってしまったのです。

 気象庁によると、内陸地震ではデータの残る一八八五年以降、M6・5程度の地震が起きた後に、さらに大きな地震が発生した例はなく、専門家からは「これまでの常識が通じない事態だ」という話も聞こえてきます。

 今回のように、広範囲の連続地震になることは予想することができなかったのでしょうか。

 現行の震度区分では最強の「震度7」が、専門家も見通せぬ本震の前触れだった。自然の猛威は人知を超えることを、あらためて思い知らされる今回の試練です。

 一連の地震活動は、溝状の地形に多数の活断層が分布する別府-島原地溝帯で発生しています。震源は熊本県から大分県に広がっていきました。その延長線上には四国や紀伊半島へと連なる中央構造線断層帯があります。


◆危険はどこにいても

 歴史的に見ると、安土桃山時代の一五九六年、その大分県から近畿地方にかけて、中央構造線に沿って地震が続いたことが知られています。京都で慶長伏見地震が起きたのは、大分県で慶長豊後地震が起きた四日後。地震の規模は、どちらも今回の本震と同程度と推定されています。

 一連の地震活動は今後、どう展開するのか分かりません。不安をあおってはいけませんが、可能性の一つとして思い出しておくべき歴史的事実でしょう。

 その中央構造線に沿っては、四国最西部の佐田岬半島伊方原発があることにも留意が必要と言わねばなりません。

 今回の地震が、九州から東海地方の沖合で想定されている南海トラフ巨大地震に関係があるか。

 南海トラフ地震や東日本大震災は、プレートの境界で起こる海溝型地震。一方、今回の一連の地震は陸側プレートの内部で起こる活断層型地震です。場所も離れており、今回の断層のずれが直接関係することはなさそうですが、専門家の間には「関係ないとは言い切れない」との見方もあります。

 つまり、南海トラフの地震に先立つ数十年間は、西日本でM6以上の地震が増える傾向が認められる、と。心構えが問われます。

 日本には二千以上の活断層があり、大きな地震が起こる恐れは、どこにいてもある。未知の活断層で地震が起きたことも少なくありません。

 地震の発生を防ぐことは、もちろんできません。でも、被害を減らすこと、減災であれば、わたしたちの努力で道を開くことができます

 地震発生の仕組みを知るよしもなかった時代の先人も、生き延びる工夫を重ねてきたはずです。例えば、中世の欧州では空に向かうように石で教会を建て、永遠を願った。われらが先祖は、むしろ、地震に遭えば崩されることを覚悟し、再建しやすい木造建築を発展させてきたのかもしれません。

 新たな技術で大きな構造物を造る時代になれば、さて、どんな減災の工夫が必要でしょうか。


◆心構えが問われる

 耐震、免震技術の前進ばかりではありません。阪神大震災、東日本大震災で経験を積んだボランティアなど助け合う心も、被害を軽減させる減災の柱です。だからこそ、時間とともに危険が広がっていく現場では、二次被害の阻止にあらゆる知恵を傾けたい。

 発生直後、デマがネット上などに出回ったことは、まことに残念です情報が何よりも安全を左右する局面で、人々の心に混乱を招く振るまいは許されません

 今回の地震も、これから直面する地震も同じです。歴史的な知見も、科学的な知見も、助け合う心も、情報も、すべてを減災への力としようではありませんか。
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●地震調査委員会で結論が出ず「議論になっている」…原子力「寄生」委員会は「規制」の仕事をすべきでは?

2016年04月19日 00時00分06秒 | Weblog


asahi.comの記事【震源、南西にも拡大 本震は布田川断層 地震調査委見解】(http://www.asahi.com/articles/ASJ4K5Q6MJ4KULBJ00N.html?iref=comtop_fbox_d1_01)。

 《南西側に地震活動が広がっているとして注意を呼びかけた。周辺にある活断層の地震が誘発され、地震を起こす可能性が専門家の間で議論になっている》。

 熊本大分大地震は、熊本・大分でまだ余震が続いています。熊本・大分両県での交通網の寸断が一日も早く解消し、物流の混乱が収まり、熊本や大分の市民の皆さんの日常が戻ってくることを切に祈っています。まずは、義援金と、各自治体(例えば、ココココ)の窓口への救援物資の協力でしょうか…。

 さて、地震調査委員会で余震の継続と、北東のみならず南西への震源地の拡大について「議論になっている」、「委員会として合意が得られるほどにはなってはいない」「先の見通しは分からない」のならば、川内原発について原子力「ムラ寄生」委員会は予防措置原則を適用し、(百万歩譲って、「取りあえず、一旦、」)停止させるべきではないのでしょうか? 一旦止めると核発電所の再稼働が難しくなるのではないかという九電やアベ様らの懸念を優先することは、「寄生」委は東京電力核発電人災の教訓を無視することにならないでしょうか。前田郁勝(鹿児島地裁)・西川知一郎(福岡高裁宮崎支部)や九電が暗に訴えているように思われる「地元」市民「命」より「経済性、経済神話」」を優先、「安全より効率、命より経済」を優先、そう云った「社会通念」で良いのでしょうか? ニッポンの外から、世界から見てみると、異様に映っていませんか? 「ニッポンは、またか…」、と思われてはいないでしょうか。とても心配です。

   『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
       寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」

   『●九州電力川内核発電所、「住民の命に関わる重大事」を 
           「審査さえパスすれば、約束をほごにしてもいい」?
   『●前田郁勝・西川知一郎両裁判長や九電のオゾましき
         「社会通念」=「「安全より効率、命より経済」を優先」
   『●熊本大地震…「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。
                    地震国日本では、これこそ社会通念」
   『●東京電力核発電人災の教訓:
     次の大地震で川内原発に「異常があってからでは遅い」

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http://www.asahi.com/articles/ASJ4K5Q6MJ4KULBJ00N.html?iref=comtop_fbox_d1_01

震源、南西にも拡大 本震は布田川断層 地震調査委見解
2016年4月18日11時06分

     (南へ広がる地震活動)

 熊本、大分両県で発生している一連の地震で、震源分布の広がりが注目されている。気象庁は17日、南西側に地震活動が広がっているとして注意を呼びかけた。周辺にある活断層の地震が誘発され、地震を起こす可能性が専門家の間で議論になっている

 「小さな地震がパラパラと起きている。先の見通しはわからないが、十分警戒していただきたい」。気象庁の担当者は会見でこう話した。マグニチュード(M)7・3の本震が起きた16日以降、震源域南西側の熊本県八代市付近でも地震が増えているという。

 政府の地震調査委員会はこの日、本震は布田川(ふたがわ)断層帯の東側の区間が活動したとの見解を示した。14日のM6・5の地震を起こした日奈久(ひなぐ)断層帯の北東部の区間はこの南隣にあたる。

 委員会では、さらにほかの活断層への影響も議論になった。ただ、委員長の平田直・東京大地震研究所教授は会見で「様々な意見があるが、委員会として合意が得られるほどにはなっていない」と話した。

 国土地理院の解析では、本震の断層は、長さ27キロにわたり最大で3・5メートル程度、横ずれしていた。地震調査委は、この区間を19キロ程度としていたが、東西により長く延び、阿蘇山の外輪山の内側に達していた。

 地震調査委は、日奈久断層帯のうち、動いていない南西の2区間について、今後30年以内にM7級の地震が起こる確率を最大でそれぞれ6%、16%としてきた。活断層としては確率が「高い」位置づけだ。

 14日に動いた区間の確率は「不明」、16日の区間は最大0・9%とされていた。平田委員長は「0・9%の確率でも現に大きな地震が起きた。どこでも地震は起きうると考えて備えてほしい」と話した。
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●東京電力核発電人災の教訓: 次の大地震で川内原発に「異常があってからでは遅い」

2016年04月18日 00時00分35秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016041702000124.html)と、
記事【「川内」運転 住民ら不安 政府、地震域拡大でも静観】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016041702000107.html)。


 《余韻、余興、余白。「」とはもちろん「あまること」「それ以外のもの」の意味。「本来のもの」ではないと見て「」の字がついた言葉を目にしてもあまり警戒はしない…「」とはもともと長い針形の呪具である。地面にさし、地下の悪霊を追い払ったという。避難、情報共有、助け合いという現代の「」に強く期待する》。

 「裕」を持った行動が必要ではないのか? 川内原発に最悪の事態が起こる前に、今直ぐに、取りあえず「裕」を持って再稼働を止めるべきではないのか? 核発電が無くても、電力に「裕」があることは3.11東京電力核発電再以降、証明されている。


 《規制庁の担当者は「再稼働前の審査で、地震の揺れや外部電源の喪失、火山噴火に対する事業者の備えを確かめた一連の地震で、その前提が崩れたとは考えていない」との立場》。

 原子力「ムラ寄生」委員会は、九電の約束を反故にしてあげても、この期に及んでも設定値等は守るわけだ? 樋口英明裁判長(原島麻由裁判官、三宅由子裁判官の合議)による福井地裁判決を思い出すべき…「《原子力規制委員会新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」と指摘、基準に適合していても再稼働を認めないとの決定》。「原子力「ムラ寄生」委員会の「世界一厳しい」らしい基準に合格したからと言って、「安全」…なわけがない。それはアベ様らが自称しているにすぎず、世界が「世界一」を認めている訳ではない…。《福井地裁は、原子力規制委員会の新規制基準を否定した。それでは国民が守られないと》。3.11東京電力原発人災の惨状を見よ!…「原発さえなければ」」。
 「安全より効率、命より経済」を優先」が「社会通念」である、などということが、許されるはずがない。熊本大分大地震から得られた教訓は、「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念」であるということ。

   『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
       寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」

   『●九州電力川内核発電所、「住民の命に関わる重大事」を 
           「審査さえパスすれば、約束をほごにしてもいい」?
   『●前田郁勝・西川知一郎両裁判長や九電のオゾましき
         「社会通念」=「「安全より効率、命より経済」を優先」
   『●熊本大地震…「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。
                    地震国日本では、これこそ社会通念」


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016041702000124.html

【コラム】
筆洗
2016年4月17日

 余韻、余興、余白。「」とはもちろん「あまること」「それ以外のもの」の意味。「本来のもの」ではないと見て「余」の字がついた言葉を目にしてもあまり警戒はしない▼その字が付いた「余震」である。熊本などで強い余震が続く。大きな地震の後に続く、比較的弱い揺れを「余震」と呼ぶが、今回は、その強さ、頻度といい、余震という言葉を使うのがためらわれるほどである▼遠く離れた場所でもテレビの地震速報を耳にすれば、「もうやめて」と声を上げたくなる。現地の恐怖と不安、疲労は想像もできない。心配である▼木曜夜の最大震度7の地震は「前震」で土曜日未明の方が「本震」だったことが明らかになっている。揺れが収まってホッとしていたのは前触れにすぎず、不意を突く形で本震が来て、なお強い余震が続く。地震の心理的恐怖度を測る物差しはないが、極めて高いストレスであろう▼地震にせよ、台風にせよ、日本人には自然災害を擬人化する傾向がある。一頭の「怪物」がやって来て、爪痕を残し、時を置かず去って行く。そんな単純な物語で考えるが、今回は様相が異なる。何頭もの「怪物」が今なお居座っていると警戒を続けたい▼「」とはもともと長い針形の呪具である。地面にさし、地下の悪霊を追い払ったという。避難、情報共有、助け合いという現代の「余」に強く期待する。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016041702000107.html

「川内」運転 住民ら不安 政府、地震域拡大でも静観
2016年4月17日 朝刊

 熊本地震発生後も、新規制基準の審査に適合とされた原発として全国で唯一稼働中の九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)は運転を続けている政府は「止める必要はない」と静観の構えだが、地震活動が広がり、周辺の住民からは不安の声も上がる。

 九電などによると、通常は原発の半径五十キロ以内で震度4以上の揺れが観測された場合、国に状況を報告。原子力規制庁が原発に関する情報発信を強化した十五日以降は、距離にかかわらず震度5弱以上の全ての地震が報告対象となり、川内原発でも運転員が原子炉の状態をその都度確認し、現場パトロールも実施しながら運転を続けている

 規制庁の担当者は「再稼働前の審査で、地震の揺れや外部電源の喪失、火山噴火に対する事業者の備えを確かめた。一連の地震で、その前提が崩れたとは考えていない」との立場だ。

 地震が拡大した大分県と豊後水道を挟んで四国電力伊方原発(愛媛県)がある。県と四国電は十六日未明、県庁で記者会見を開き、伊方1~3号機に異常はないと説明。四国電担当者は、再稼働前の最終的な手続きである3号機の使用前検査に影響は出ないと思うと強調、七月下旬の再稼働を目指す姿勢を変えていない

 熊本地震でも原発の地元や周辺には動揺が広がる。川内原発のある鹿児島県薩摩川内市で飲食店を営む女性(71)は「運転は続けてほしいが、予測の付かない地震がこれだけ起こると心配がないわけではない」と話す。川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長は「川内原発周辺にも活断層があり、いつ南九州で大きな地震があるか分からない。とにかく運転を止めてもらわなければ」と語気を強めた。

 松山市の市民団体「伊方原発をとめる会」の和田宰(つかさ)事務局次長(63)は「再稼働の方針を考え直してもらいたい」と訴えた。


◆「異常あってからでは…」即時停止を 文化人6人要請

 九州で相次ぐ地震を受け、フォトジャーナリストの広河隆一さんら文化人六人が十六日、川内原発の即時停止を求める要請文を、九電に送ったと明らかにした。要請したのは他に、作家の落合恵子さん、沢地久枝さん、広瀬隆さん、ジャーナリストの鎌田慧さんと、若者のグループSEALDs(シールズ)の山田和花(のどか)さん。要請文では「異常があってからでは遅いということは、東京電力福島第一原発事故の経験から、誰の目にも明らか人々は、次の大地震が川内原発を襲うのではないかという恐怖にさいなまれている」と記した。
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●熊本大地震…「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念」

2016年04月17日 00時00分55秒 | Weblog


東京新聞の記事【地震、土砂で橋崩落し交通網寸断 救助活動に支障の恐れも】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016041601001397.html)と、
社説【地震と原発 やっぱり原点に戻ろう】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041602000142.html)。
asahi.comの記事【「震源、じわじわと東に」 別の活断層に影響の可能性】(http://www.asahi.com/articles/ASJ4J34VYJ4JULBJ00G.html?iref=comtop_6_01)。

 《南阿蘇村では大規模な土砂崩れがあり、国道57号やJR豊肥線が寸断、阿蘇大橋が崩落した。熊本市から阿蘇市方面に向かう主要な交通手段が断たれ…》。

 私のところも、一晩に複数回携帯の警報が鳴るなんて、どう考えても異常な状況。昨夜は、細かな揺れがつづいた。一方、熊本方面は夕方から暴風雨の予報。屋外で待避されている方々、大変だと思います。お見舞い申し上げるしかないし、一時でも早く安寧な生活が戻ることをお祈りすることしか、いまは、できない。
 3月末に熊本市から国道57号線で、落橋した阿蘇大橋を通り、阿蘇市へと行きました。帰りは、あいにくの雨でしたが、阿蘇郡南阿蘇村のまだ二分咲き程の一心行の大桜も見てきました。
 阿蘇山も、小規模ながら噴火しました。


 《国会の福島第一原発事故調査委員会は、原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘。「小手先の対策を集積しても、根本的な問題は解決しない」と結論づけた。ところが、電力会社も原子力規制委員会も、地震の揺れを甘く見すぎてはいないだろうかその象徴がくしくも九電だ。九電は、川内原発の再稼働がかなうやいなや、事故対策の指揮所になる免震施設の建設をあっさりと引っ込めたそれでも原子炉は止められない》。

 鹿児島地裁・福岡高裁の両裁判長は、いま、何を思っておられるでしょう。彼らの「社会通念」には驚かされました。九州の北部は玄海原発川内原発伊方原発に取り囲まれた「地元」です。川内原発は稼働を止めるつもりはないようです。東京電力核発電所は「人災」でした。またそれを繰り返そうとしているようです。そして、噴火が予知でき、避難も出来ると言ってきた電力会社や、それを認めてきた原子力「ムラ寄生」委員会。核燃料の冷却やその避難先も考えず、川内原発は稼働されました。いま、熊本近辺の交通網もズタズタです。

   『●鹿児島地裁に川内原発再稼働差し止めを却下されてしまった・・・
                       判決に東京新聞も毎日新聞もダメ出し
   『●「怒」、九州電力川内原発再稼働というパンドラの箱: 
          国破れて、山河も無し・・・となってもいいのか?
   『●九州電力川内核発電所、「住民の命に関わる重大事」を 
           「審査さえパスすれば、約束をほごにしてもいい」?
   『●大変に残念…福岡高裁宮崎支部の西川知一郎裁判長、
                 「川内原発停止認めず、住民抗告退ける」
   『●前田郁勝・西川知一郎両裁判長や九電の
     オゾましき「社会通念」=「「安全より効率、命より経済」を優先」

   『●「超巨大噴火が、100年以内に起こり得るというのは大変なこと」:
                          九州電力川内原発再稼働という無謀

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
        何時間、何日間? 答えは「2年以上」!

    「《九電は予兆を察知した場合には核燃料を安全な場所に
     緊急移送すると明言しながら、実際には原子炉を止めて
     運び出すまでに二年以上かかる上、搬出方法や受け入れ先の
     確保なども具体的に検討していないことが分かった…
     原子力規制委員会は緊急移送を条件に、川内原発が
     新規制基準を満たしていると判断した》……
     こんないい加減な計画で再稼働を申請する九電も九電なら、
     それを認める原子力「ムラ寄生」委員会もいい加減過ぎる。
     とにかく、下記の東京新聞の小倉貞俊記者の記事を御一読ください」

   『●市民の命を危険にさらしてでも核発電を再開したい愚者
                ~耳をふさぐ原子力「ムラ寄生」委員会~

   『●東京電力原発人災: 
      津波による天災ではなく、地震で破断していた?

   『●「九州電力が「巨大噴火は予知できる」
       などと言っていますが、あれは大嘘なんです」

   『●川内原発再稼働問題: 「どれひとつとっても、
     それだけで再稼動を認めることの出来ない問題ばかりだ」


 《九州を東西に横断する別府・島原地溝帯沿いには多数の活断層が存在し、四国や紀伊半島を通る中央構造線断層帯に連なる》。

 震源地は東へ移動しているようだ。佐田岬半島の付け根…稼働していないとはいえ伊方原発が。最後の記事の図面を見るとゾッとします。避難計画も安全もヘッタクレも無いでしょうに…。

   『●「伊方原発は、日本一細長いという佐田岬半島の
     付け根にあり、その西の海側には約五千人が暮らしている」
    「狂気としか言いようがない……《伊方原発は、日本一細長い
     という佐田岬半島の付け根にあり、その西の海側には
     約五千人が暮らしている》。こんなところで一体どんな
     避難計画を作り得るのか? そんな《住民避難計画を了承》した
     そうです。再稼働するためなら、何でもやる「麻薬」患者たち。
     カネの亡者。
      《安倍晋三首相は「万一事故があった場合は政府として責任
     持って対処する」と強調》……このバカ発言を見て下さい! 
     東京電力原発人災に一切の「責任」を負わず、いまも無策・無責任に
     汚染水を垂れ流し続けているアベ様ら自公議員たちの酷さ。
     それを「信頼」したふりをする「地元」首長・議員たち。
     言っちゃぁ悪いが、頭の回路が切れているとしか思えません」


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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016041601001397.html

地震、土砂で橋崩落し交通網寸断 救助活動に支障の恐れも
2016年4月16日 10時37分

 16日未明から相次いだ地震により、熊本県を中心に交通網などに大きな影響が出た。橋やトンネルが崩落し、道路の寸断で被害確認が進まない地域も。熊本空港の発着便は全便欠航となり、JR九州も多くの路線で運転を見合わせた。

 国土交通省によると、南阿蘇村では大規模な土砂崩れがあり、国道57号やJR豊肥線が寸断、阿蘇大橋が崩落した。熊本市から阿蘇市方面に向かう主要な交通手段が断たれ、救助活動などに支障が出る恐れがある。熊本県によると、南阿蘇村と西原村にまたがる俵山トンネルも崩落した。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041602000142.html

【社説】
地震と原発 やっぱり原点に戻ろう
2016年4月16日

 日本はやはり地震国。九州を襲った「震度7」に再び思い知らされた。福島第一原発事故のそもそもの原因は、地震であるその原点に立ち戻り、原発の安全対策の在り方を再点検するべきだ

 「今までに経験したことのない揺れだった」と、強い余震が繰り返される中、住民は不安に戦(おのの)く。

 「断層帯全体が動いたにしては規模が小さい」と専門家。さらに大きな地震の恐れがあった、ということなのか。

 あらためて思い知らされた。「いつでも、どこでも、強大な地震は起こりうる

 今月六日、福岡高裁宮崎支部は、今回の震源地からもさほど遠くない九州電力川内原発の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。

 高裁は、対策上想定される基準地震動(最大の揺れの強さ)を「極めて合理的」と判断した。

 住民側は「国内の原発ではそれを超える揺れが、二〇〇五年以降だけで五回観測されている」と観測地の過去の平均値から基準を割り出す手法に異議を唱えていた。

 瓦や石垣が無残に崩れ落ちた熊本城の姿を見ても、同じ判断ができただろうか

 国会の福島第一原発事故調査委員会は、原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘。「小手先の対策を集積しても、根本的な問題は解決しない」と結論づけた。

 ところが、電力会社も原子力規制委員会も、地震の揺れを甘く見すぎてはいないだろうか

 その象徴がくしくも九電だ。

 九電は、川内原発の再稼働がかなうやいなや、事故対策の指揮所になる免震施設の建設をあっさりと引っ込めたそれでも原子炉は止められない

 原発は無数の機器と複雑な配管の固まりだ。見かけは正常に動いていても、強い震動がどの部位にどんなダメージをもたらすか。その積み重ねがどんな結果につながるか、未解明のままなのだ。

 断層のずれは、想定外の地震を起こす-。熊本地震の教訓だ。

 規制委の審査を終えて次回再稼働候補とされる四国電力伊方原発の近くには、日本最大の断層である中央構造線が走っている。

 今回の被害を教訓に、起こり得る地震の規模や影響をじっくりと検討し直すべきではないか。

 いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念であり、一般常識だからである。
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http://www.asahi.com/articles/ASJ4J34VYJ4JULBJ00G.html?iref=comtop_6_01

「震源、じわじわと東に」 別の活断層に影響の可能性
2016年4月16日11時35分


(熊本県から大分県にかけての地震活動の状況)
(ブログ主注: 誠に勝手ながらコピペさせて頂きました
 【http://www.asahi.com/articles/photo/AS20160416001097.html】)


 今後の地震活動について、専門家はさらに別の活断層が動く可能性を指摘する。九州を東西に横断する別府・島原地溝帯沿いには多数の活断層が存在し、四国や紀伊半島を通る中央構造線断層帯に連なる

 川崎一朗・京都大名誉教授(地震学)は「震源はじわじわと東に移動している。断層が動くと、その延長線上の断層も動きやすくなる」と話す。地震が発生すると、周囲の断層への力のかかり方が変化して、地震を起こしやすくなることがあるからだ。

 地震予知連絡会会長の平原和朗・京都大教授(地震学)も「大分の地震は震源地から100キロ近く離れており、余震とは考えにくい。大分県の別府―万年山(はねやま)断層帯が誘発されて動いた可能性もある。今後、何が起こるかは正直わからない。仮に中央構造線断層帯がどこかで動けば、長期的には南海トラフ巨大地震に影響を与える可能性があるかもしれない」と話す。

 東北大の遠田晋次教授(地震地質学)は「地震活動が南へ拡大する可能性も忘れてはいけない。日奈久断層帯は北部で地震が発生したが、南への延長部分では地震が起きておらず、注意が必要だ」と話す。
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●前田郁勝・西川知一郎両裁判長や九電のオゾましき「社会通念」=「「安全より効率、命より経済」を優先」

2016年04月08日 00時00分29秒 | Weblog


東京新聞の社説【川内原発抗告審 福島の教えはどこへ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016040702000164.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016040702000161.html)。

 《司法がまた揺れている。福岡高裁は、巨大噴火のリスク評価や事故時の避難計画に問題があったとしても、九州電力 川内原発の稼働には合理性があるという。3・11の教訓無視だ。納得できようか》。
 《判断基準が、社会通念だというのだ▼どんな災害が起きても、絶対に原発事故が起こらぬようにするなど無理なこと。ゆえに、どれほどの危険性なら容認するかは社会通念を基準にするほかはない」と裁判長は指摘》。

   『●鹿児島地裁に川内原発再稼働差し止めを却下されてしまった・・・
                        判決に東京新聞も毎日新聞もダメ出し
   『●「怒」、九州電力川内原発再稼働というパンドラの箱: 
          国破れて、山河も無し・・・となってもいいのか?
   『●九州電力川内核発電所、「住民の命に関わる重大事」を 
           「審査さえパスすれば、約束をほごにしてもいい」?
   『●大変に残念…福岡高裁宮崎支部の西川知一郎裁判長、
                 「川内原発停止認めず、住民抗告退ける」

 前田郁勝(鹿児島地裁)・西川知一郎(福岡高裁宮崎支部)や九電は「地元」市民「命」より「経済性、経済神話」」を優先、「安全より効率、命より経済」を優先。

 前田郁勝・西川知一郎両裁判長の悍ましき「社会通念」=「「地元」市民の「命」より「経済性、経済神話」」を優先、「安全より効率、命より経済」を優先…をお持ちです。それは「合理性」があると狂信しているのです。マイリマシタ。アベ様や自公議員、そしてその支持者、田中俊一委員長をはじめとした原子力「ムラ寄生」委員会、九電や関電、四電などの電力会社、(市民を「恫喝」「脅迫」して恥じない関電社長)八木誠会長をはじめとした電事連等々に共通した、「不合理」、かつ、オゾましき社会通念」と言わざるを得ません。

   『●①福井地裁「高浜仮処分」取消の背景《政府の意向》に従う
             《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》
   『●②福井地裁「高浜仮処分」取消の背景…《政府の意向》に従う
             《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》
   『●画期的! 福井地裁樋口英明裁判長、  
     高浜3、4号機再稼働差止仮処分決定・・・「直ちに効果が発生」!!
   『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
       寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」

   『●核発電信者・値上げ脅迫の関電「再稼働差し止めの
        仮処分決定」執行停止申し立て・・・福井地裁が却下
   『●大津地裁山本善彦裁判長、 
      高浜原発3、4号機の運転を差し止める仮処分決定!
   『●金沢地裁・井戸謙一元裁判長「「原子炉を運転してはならない」。
                      自ら発した声に法廷はどよめいていた」
   『●「効率より安全、経済より命」: 井戸謙一元裁判長、 
       樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏には…?
   『●歴史的役割踏まえた原発に頼らない国へ: 
      「人の命と安全は経済性に優先する」=「人格権の尊重・倫理」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016040702000164.html

【社説】
川内原発抗告審 福島の教えはどこへ
2016年4月7日

 司法がまた揺れている。福岡高裁は、巨大噴火のリスク評価や事故時の避難計画に問題があったとしても、九州電力川内原発の稼働には合理性があるという。3・11の教訓無視だ。納得できようか。

 争点は大きく三つ。

 基準地震動(最大の揺れ)の想定が妥当かどうか火山による危険性はあるか。そして、事故に備えた避難計画は有効か

 福岡高裁宮崎支部は、これらを踏まえた原子力規制委の審査について「極めて高度の合理性を有する」「九電は説明を尽くした」として、川内原発の停止を求める住民側の訴えを退けた。

 新基準に疑問を投げかけ、高浜原発の停止を認めた先月の大津地裁などとは正反対の判断だ。

 原審同様、九電側の主張をほぼ受け入れたとも言えるだろう。

 川内原発は、桜島周辺の姶良(あいら)カルデラ(陥没)などに囲まれた、巨大噴火のなごりをとどめる“火山銀座”の内側にある。

 火山の影響について裁判長は、巨大噴火の予測を前提とする規制委のリスク評価を「不合理」と指摘した。

 ところが、原発の運転期間中に破局的噴火が起きる根拠がないとして、川内原発の立地が客観的に見て不合理だとも言えない、と断じている。巨大火山と共生する住民の不安には、まったくこたえていないと言っていい。

 専門家から「机上の空論」との批判が強い避難計画についても「問題点を指摘できるとしても、人格権を違法に侵害する恐れがあるとは言えない」という結論だ。

 不合理な火山の評価、問題があるやも知れぬ避難計画、住民の安全安心に照らして見れば、どこに、どのような「合理性」が存在すると言うのだろう

 福島の被災者は、どのように受け止めているのだろう。

 想定外のことは起きる。核の制御は本当にできるのか-。

 3・11がのこした大きな教訓。その教訓の上に立ち、司法の中にもようやく原発の安全性については、原則、専門家の指針に基づく行政の判断に委ねる」(一九九二年、伊方原発訴訟という古い最高裁判断よりも住民の生命と安全を守るという視点から、自らの判断を明らかにするようになったはずではなかったか

 このような安全軽視の「不合理」は、規制委や規制基準への信用を、なおさらおとしめるだけではないのだろうか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016040702000161.html

【コラム】
筆洗
2016年4月7日

 大学入試でも記述式の問題がますます重視されるようだが、こんな問題が出されたら、どう答えるか。「原発をめぐる、わが国の現在の社会通念を簡潔に述べよ」▼これは難問だ。社会通念とは「社会一般に支持されている常識や見解」だが、昨秋の全国世論調査では原発再稼働に反対する人が58%で、賛成が37%。だから「現在は原発をめぐって世論が二分し、社会通念と呼べるようなものはない」と答えるしかないのかもしれない▼だが福岡高裁宮崎支部の裁判長によると、原発をめぐる確たる社会通念はあるらしい。きのう、この裁判長は川内(せんだい)原発を止めてほしいと言う住民の求めを退けた。その判断基準が、社会通念だというのだ▼どんな災害が起きても、絶対に原発事故が起こらぬようにするなど無理なこと。ゆえに、どれほどの危険性なら容認するかは「社会通念を基準にするほかはない」と裁判長は指摘する▼そして、専門家も想定しきれぬ災害の危険性には目をつぶるしかないという「社会通念」があると言っているのだが、五年前の原発事故は、まさにそうした社会通念の危うさを如実に示したのではないか▼昨秋の世論調査では、再稼働した原発で事故が起きた場合、計画通りに住民は避難できぬと考える人が74%にも上った。原発事故が起きたら、逃げるに逃げられぬという社会通念は取るに足らぬのか
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●「効率より安全、経済より命」: 井戸謙一元裁判長、樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏には…?

2016年03月14日 00時00分03秒 | Weblog


いつもながら素晴らしい、東京新聞の社説【高浜原発に停止命令 フクシマを繰り返すな】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016031002000128.html)。
nikkan-gendaiの記事【班目春樹氏のニヤつき弁明でハッキリした“原発事故は人災”】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/176971)。

 《稼働中の原発を司法が初めて止める。関西電力 高浜3、4号機安全性は不十分だからと》。
 《福島第1原発事故の発生当時、「原子力安全委員会」のトップだった班目春樹元委員長…事故から5年経った今でも、当事者意識はゼロ。…「あんな人(菅直人)を総理にしたから天罰が当たったのではないかと、運命論を考えるようになっている」》。

 社説も指摘するように、《大津地裁も「避難計画などが定まらない中で、規制委が早急に再稼働を容認するとは考え難く、差し迫る状況にはない」と申し立てを退けていた。ところが、規制委は「避難計画は権限外」と、あっさり容認してしまう。今回の決定からは、そんな規制委への不信さえうかがえる》とあります。
 「原子力規制委員会が、いたずらに早急に、再稼働を容認するとは到底考えがたい」という大津地裁山本善彦裁判長メッセージを理解できなかった原子力「寄生」委員。

   『●大津地裁山本善彦裁判長、 
      高浜原発3、4号機の運転を差し止める仮処分決定!
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●3.11東電人災の5年、王様・アベ様からして
        核発電「麻薬」中毒患者という哀しい国ニッッポン
   『●金沢地裁・井戸謙一元裁判長「「原子炉を運転してはならない」。
                      自ら発した声に法廷はどよめいていた」

 山本裁判長から発せられていたメッセージを規制委が無視。そして、《効率より安全、経済より命》という、元福井地裁・樋口英明裁判官の《司法の責務》を無視したアベ様らや関電をはじめとして電力会社。

 そして、井戸謙一元裁判長、樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏(斑目春樹氏)には…?

   『●東京電力原発人災での「想定不適当事故」を
       想定しなかった教訓が全く活かされていない
   『●次に原発事故が起きた時には責任をとってくれるのね?
   『●ムダ首相・ムダノ経産相の二枚舌にウンザリ
   『●想定不適当事故: 1000万年に1回発生する事故どころか、
                                 発生確率は「ゼロ」
   『●原発人災の犯罪者デタラメ委員長が
          評価・審査するなどデタラメ過ぎる
   『●再稼働ありきのストレステストなど、本来、やってはならなかった
   『●原発銀座で原発再稼働、1年前誰がこんな事態を予想し得たか?
   『●『創(2011年9・10月号)』読了
   『●「想定不適当事故」と割り切ってきたくせに、いまさら遅いよっ!!
     《福島第一原発の事故を受け、原子力安全委員会の
      班目春樹委員長は十九日の記者会見で、原発の設計の
      妥当性を判断する基準となる安全設計審査指針で、
      全電源を長期間、失うことを想定していなかったことを
      「明らかに間違っていた」と述べ、改定する方針を
      明らかにした。全電源喪失を想定に追加する》

   『●プルサーマルの無意味さ再び: 核燃サイクルという幻想の破綻
   『●”原子力発電”という箱を開ける覚悟と、
             (とりようの無い)開けた責任
     《これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた
      班目春樹・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、
      二度とこのようなことが起こらないようにしたい」と答え》

   『●FUKUSIMAでも変わらないNIPPON
     《福島みずほ
        水素が出るというのは、格納容器から出ているわけじゃ
       ないんですか。
        班目さん、二〇〇七年、平成十九年二月十六日、
       浜岡原子力発電所の裁判の証言で、非常用ディーゼル発電機が
       二個とも起動しない場合に大変なことになるのではないか
       と質問を受け、そのような事態は想定しない、そのような想定を
       したのでは原発は造れない、だから割り切らなければ
       設計なんてできませんねと言っていますね。
       割り切った結果が今回の事故ではないですか。 
      政府参考人班目春樹君)
        確かに割り切らなければ設計ができないというのは事実で
       ございます。その割り切った割り切り方が正しくなかった
       ということも、我々十分反省してございます。》

 久々に名前が出てきたと思えば…デタラメ元原子力安全委員会」委員長(班目春樹氏、斑目春樹氏)はのうのうと「割り切って運転」してしまったのに…全く反省なし。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016031002000128.html

【社説】
高浜原発に停止命令 フクシマを繰り返すな
2016年3月10日

 稼働中の原発を司法が初めて止める。関西電力高浜3、4号機の安全性は不十分だからと。国民の命を守る司法からの重いメッセージと受け止めたい。

 3・11から五年を前に、司法の良識を見たようである。住民の安堵(あんど)の声も聞こえてくるようだ。

 3・11後、再稼働した原発の運転の可否をめぐる初めての司法判断は、原発は「危険」と断じただけでなく、事故時の避難計画策定も十分でないままに、原発の再稼働を「是」とした原子力規制委員会の「合理性」にも、「ノー」を突きつけた


◆よみがえった人格権

 大津地裁の決定は、高浜原発3、4号機が、そもそも危険な存在だという前提に立つ。

 その上で、最大の争点とされた基準地震動(耐震設計の目安となる最大の揺れ)に危惧すべき点があり、津波対策や避難計画についても疑問が残るとし、住民の「人格権」が侵害される恐れが高い、と判断した。

 昨年暮れ、福井地裁が危険性は「社会通念上無視し得る程度まで管理されている」と切り捨てて、同地裁が下していた両機の運転差し止めの判断を覆したのとは、正反対の考え方だ。

 一昨年の十一月、大津地裁も「避難計画などが定まらない中で、規制委が早急に再稼働を容認するとは考え難く、差し迫る状況にはない」と申し立てを退けていた。

 ところが、規制委は「避難計画は権限外」と、あっさり容認してしまう。

 今回の決定からは、そんな規制委への不信さえうかがえる。危険は現に差し迫っているのである。

 住民の命を守り、不安を解消するために、今何が足りないか。3・11の教訓を踏まえて、大津地裁は具体的に挙げている。

 ▽建屋内の十分な調査を踏まえた福島第一原発事故の原因究明▽事故発生時の責任の所在の明確化▽国家主導の具体的な避難計画▽それを視野に入れた幅広い規制基準-。私たちが懸念してきたことでもある。

 県外住民からの訴えを認めたことで、発の“地元”を立地地域に限定してきた電力会社や政府の方針も明確に否定した。

 そして、その上で言い切った。

 「原子力発電所による発電がいかに効率的であり、コスト面では経済上優位であるとしてもその環境破壊の及ぶ範囲は我が国さえも越えてしまう可能性さえある単に発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引き換えにすべき事情であるとは言い難い


◆過酷事故が具体論へと

 効率より安全、経済より命-。憲法が保障する人格権に基づいて住民を守るという基本への回帰。司法の常識が働いた

 五年前、東日本大震災による福島第一原発の事故が起きる前まで、司法は原発事故と真剣に向き合っていたといえるだろうか「起きるはずがない」という安全神話に司法まで染まっていたのではないだろうか

 震災前までは多くの原発訴訟の中で、二〇〇三年のもんじゅ訴訟控訴審(名古屋高裁金沢支部)と〇六年の志賀原発訴訟一審(金沢地裁)の二つの判決以外は、すべて原告が負け続けていた。

 この二つの判決も上級審で取り消され、原告敗訴に終わっている。原発差し止め-という確定判決は一つも存在しなかった

 ただ、「レベル7」という福島原発の事故を目の当たりにして、司法界でも過酷事故は抽象論から具体論へと変質したはずだ。

 司法は原発問題で大きな存在だ。経済性よりも国民の命を守ることの方が優先されるべきなのは言うまでもない。司法が国民を救えるか-。

 その大きな視点で今後の裁判は行われてほしい。

 現に動いている原発を止める-。重い判断だ。しかし、国会、行政とともに三権のうちにあって、憲法のいう人格権、人間の安全を述べるのは司法の責務にちがいない

 繰り返そう。命は重い。危険が差し迫っているのなら、それは断固、止めるべきである。


◆規制委は変われるか

 対策も不十分なままに、四十年を超える老朽原発の再稼働が認められたり、再稼働の条件であるはずの免震施設を建設する約束が反故(ほご)にされてしまったり、規制委の審査にパスした当の高浜4号機が、再稼働直前にトラブルを起こしたり…

 再稼働が進むのに比例して、住民の不安は増している。

 規制委は、司法の重い判断を受け止めて、審査の在り方を大きく見直すべきだ

 政府は福島の現状も直視して、再稼働ありきの姿勢を根本から改めるべきである。
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/176971

班目春樹氏のニヤつき弁明でハッキリした“原発事故は人災”
2016年3月10日

     (他人事のように笑っていた班目氏(C)日刊ゲンダイ)


 改めて人災だったことがハッキリした。福島第1原発事故の発生当時、「原子力安全委員会」のトップだった班目春樹元委員長が8日にフジテレビの単独インタビューに答えているのだが、その内容は呆れ果てるものだった。

 原発事故対応の“キーマン”といわれた班目氏は事故発生直後に「水素爆発はしません」と“デタラメ”を言い放ち、菅直人元首相や現場、全国民を混乱に陥れたことで知られる。

 事故から5年経った今でも、当事者意識はゼロ。インタビューで、ニヤニヤしながらこう言い放ったのだ。

   「あんな人(菅直人)を総理にしたから天罰が当たった
    のではないかと、運命論を考えるようになっている」

 さらに、水素爆発を起こした時のことをこう振り返った。

   「『わあ、しまった!』と思った。建屋まで(水素が)出てきてしまえば、
    普通の空気ですので爆発の可能性がある。菅総理に説明する時に、
    そのことまで言わなかったのは大失敗だったと思う。
    私自身は間違ったことは言っていない

 まるで他人事のように言い放ち、自らの過ちを全く認めない自己弁護に終始していた。これには、インタビューしたフジの伊藤利尋アナも「福島の方はこのVTRをどうご覧になったのかなと思う」と唖然とした様子だった。

 原発問題に取り組む「たんぽぽ舎共同代表の柳田真氏はこう言う。

   「まずは専門家として『水素爆発はしない』と言ったことを
    恥じないといけない。今ごろ、どんな弁解をしても
    全く信用できません。人間の品性を疑うだけです」

 こんな男は被災者の感情を逆なでするだけ。もう表に出てこないほうがいい。
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●反骨の報道写真家、福島菊次郎さん

2012年08月22日 00時00分24秒 | Weblog


zakzak.co.jpに、以前出ていた福島菊次郎さんに関する記事(http://www.zakzak.co.jp/people/news/20120803/peo1208030754000-n1.htm)。同様に、eiga.comのインタビュー記事(http://eiga.com/movie/58127/interview/)。

 ビデオジャーナリスト、ジャパンプレス所属の山本美香氏がシリアで亡くなった。
 綿井健陽さんのコメント。

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http://www.asahi.com/international/update/0821/TKY201208210179.html

 アフガニスタンイラク戦争の取材でよく山本さんと顔を合わせたというビデオジャーナリストの綿井健陽さん(41)は、悲報を受け「ジャーナリストは一匹おおかみになりがちだが、周りの人にもとても親切で優しい人だった」と語った。カメラのバッテリーやテープが切れたときに、山本さんが貸してくれることがあったという。
 綿井さんによると、現地では、今回同行していた佐藤和孝さんと一緒に取材していた。佐藤さんがリポートするときは山本さんが撮影し、逆もあった。「戦地の取材経験が豊富で、どんな現場でもいろんな情報を分析し、慎重かつ落ち着いていた」と話した。

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http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20120821-1004001.html

  フリージャーナリスト綿井健陽さん(41)は「彼女は1990年代半ばから、パートナーの佐藤和孝さんと一緒に中東だけでなく、旧ユーゴスラビアなどを渡り歩いた。何でもこなせる記者だった」と振り返り、「取材姿勢は慎重だった。信じられない」とショックを受けた様子だった。
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 上記記事の他の部分によると、「2003年にはイラク戦争の開戦から現地で報道を続けたことで、03年度のボーン・上田記念国際記者賞特別賞を受賞」し、「 「男社会」の戦争の現場だが、女性の視点を大切にした仕事ぶり」、「弱者の視点を大切にする人」だったそうだ。
 ご冥福をお祈りする。


 下記は、報道写真家 福島菊次郎さんの記事。タイトルにある通り、「反骨」の報道写真家。
 「ヒロシマ三里塚闘争全共闘運動水俣祝島・・・・・・」、そして、フクシマ。映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』予告動画http://eiga.com/movie/58127/video/)、是非ご覧ください。
 「・・・カメラマンは法を犯しても構わない」と言い切る。真のジャーナリスト。91歳。すごいの一言です。

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http://www.zakzak.co.jp/people/news/20120803/peo1208030754000-n1.htm

【福島菊次郎】反骨の“報道写真家”!ウソを討ち撮る
2012.08.03

 「(取材する問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を犯しても構わない

 91歳、37キロのやせた体にこめられた信念は、報道に携わる者にとって奥深く、重い。
 1960年代後半、自衛隊内部の取材を申し入れ、事前の検閲を条件に許可が下りた。ところが検閲を経ないまま月刊誌に写真を掲載。激怒した防衛庁(当時)の広報担当者に対して、逆に詰め寄った。

 「だましたのは悪い。でも、写真を撮るというマスコミの当然の責任を果たすためにあなた方をだましたんだし、あなた方はだましてもいいんだ。(戦力保持を認めない憲法があるのに国民をだましたのはあなた方じゃないか!

 この反抗は波紋を呼び、後日、暴漢に襲われて重傷を負い、自宅は不審火で延焼したという。
 信念の原点となった原爆被災者の撮影でも「法を犯した」経験がある。10年にわたって追い続けた原爆症患者、中村杉松さん(1967年死去、享年59)の生活保護に関する書類を、広島の役所で強引に出させた

 「(担当者を)なかば恐喝して全部写真に撮りました。それは犯罪です。でも、それをやって初めて、1人の被爆者に対して政治、医療が何をしたのか、はっきり分かったのです」

 中村さんは福島さんに対し、「あんた、代わりに敵を討ってくれ」と撮影を許可した。後遺症で毎日のたうち回る中村さんの内ももには、刃物による無数の傷があった。「傷の痛みがある間はピカ(原爆)の苦しみを忘れられる」と、病床で自ら傷つけたものだった。
 ケロイドが顔にある女性に撮影を願い出ると、胸ぐらをつかまれた。

 「あなたは知っているはず。私を強姦する男もいないことを…」

 ヒロシマでの取材は、それこそ地の底まで潜り、「そこで見たものは人間の地獄だけでした」と振り返る。それだけに、「私にとって原爆も原発も同義語」と、3・11の直後には福島に乗り込み、夢中でシャッターを切った。事故現場に近づき、警備の警察官ともみ合いに近い状態となる場面もあった。
 そんな福島さんを主人公にした映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』が公開される。

 「ニッポンの嘘というタイトルは気に入っています。戦時中は大本営のウソ戦後も戦後政治のウソウソの塊がこうした閉塞状況を作った

 「報道のモラル、という言葉があります。少なくとも報道は悪いことはしないという社会通念もある。僕たちはその上に乗っかって、いい気になって取材をしているけれど全部が嘘っぱちな政治に対して、こちらだけがお行儀よくしていたら、それこそ思うツボですよ」

 反骨の武闘派だが、素顔はいたって穏やか。アパートで愛犬ロクと1日1000円の予算で気ままな生活を送り、料理を楽しむ。原稿を書く旧型のワープロを起動する際、「ちゃんと動きますように」と両手を合わせてお祈りするおちゃめな一面も。ただ、「国を攻撃しながら国から保護は受けられない」と、年金は拒否している。
 今回、映画の主人公となることで、初めてカメラに追われる側に回った。

 「まず、恥ずかしい。写真に撮られるのが大嫌いなんですよ。いつも自分が傍若無人に撮っているくせに、人間って勝手なものですね。まだしも若ければいいんですけれど、こんなにもしなびちゃって、ハッ、ハッ」

 嘘とは、隠すこと。人間の本能に抵抗し続けた報道写真家が自らをさらけ出し、「嘘っぱち」の世の中に最後の勝負を挑む。(ペン・久保木善浩、カメラ・宮川浩和)

 ■ふくしま・きくじろう 報道写真家。1921年3月15日生まれ、91歳。山口県下松市出身。郷里で時計店を営むかたわら、46年から広島で被爆者の撮影を開始。51年、原爆症に苦しむ中村杉松さん一家と出会う。以後10年にわたる苦闘をまとめた『ピカドン ある原爆被災者の記録』で日本写真批評家協会賞特別賞を受賞。その後、プロ写真家として活動を始め、安保、学生運動、三里塚闘争、公害、原発など幅広いテーマを精力的に取材してきた。『写らなかった戦後 ヒロシマの嘘』など写真集、著書多数。
 激動の戦後日本にレンズを向けた姿を追った映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』が、4日から東京・銀座シネパトス、広島・八丁座などで公開。その後、大阪、福岡など全国各地で上映予定。
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http://eiga.com/movie/58127/interview/

インタビュー/『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90
2012年8月3日更新

広島から福島へ……被爆者と戦後日本を追い続けた反骨のカメラマン

敗戦直後の広島で原爆の後遺症に苦しむ人々を撮影、その後報道カメラマンとして学生運動、自衛隊、水俣、祝島などをテーマに激動の戦後日本にレンズを向け続けてきた福島菊次郎氏。本作は、その反骨精神で半世紀にわたり国家の嘘を写真で暴いてきた福島氏の2009年からの2年間に密着したドキュメンタリーだ。1982年に保守化する日本に絶望してカメラを置き自給自足の生活を選び、その後がんを患い執筆活動に専念していたが、東日本大震災を受け、原発事故で多大な被害を受けた福島を報道写真家として最後の現場として選んだ福島氏に話を聞いた。(取材・文/編集部)

「戦時中の若者でしたから、国家権力に対しては一切抵抗できなかった。国に言われるがままに、ぼろきれのように使い捨てられた」。戦時中は二等兵として召集され、米軍が本土上陸した際の自爆攻撃を命じられていた。敗戦を迎え、1946年から広島で被爆者の撮影を始めた福島氏は「そこで見たものは人間の地獄だけでした」と語る。「戦後70年たとうとしているのに、いまだに最高裁で被爆者の訴訟が続いている一体何という国だろうと思います。政府は被爆者の治療に対して、世界に先駆けた医療体制を確立すべきだった」と主張。そして「その問題が今の福島の被ばく者への対策につながっている」という。

「今の福島は、原爆を受けた当初の広島とほとんど同じ状態。つまり、もし放射線による障害が出た場合、その対策はいまだ皆無ではないか」と語気を強める。本作では震災から半年後の2011年9月、原発事故の被害にあった福島で取材を敢行する姿に迫っている。やせ細った身体ではあるものの、検問に立ちはだかる警察官をものともせずシャッターを切りまくる福島氏の鋭い眼光からは、何が何でも真実を伝えたいという気迫が伝わってくる。

「毎年、年が明けるごとにあと1年……と考えて生きています」。1921年生まれの福島氏、今年で91歳を迎えた。激動の戦後日本と共に歩んだカメラマン人生はどのようなものだったのだろうか。

「戦中は一切国家の言うままになっていたので、敗残兵だった僕にとっては、戦後というのはいろんな意味であらゆることが刺激的だった」と振り返る。特に60年代からの学生運動の取材は、「国家権力に抵抗する若者に教えられました。それは僕が戦時中の日本人から、民主主義の日本人に変わっていくひとつの動機を作ってくれた」と明かす。

戦時中も大本営の嘘、戦後も政治の嘘、日本は嘘のかたまり。子どもが自殺した時も教師や校長、教育委員会に真実を感じる人は誰もいない。本当のことを言わなくなった国は恐ろしい。我々は政治に対して変幻自在な態度、考え方、やり方を持つべき。嘘っぱちの政治に対して、行儀よくしたら、国の思うつぼ」と、報道が相次ぐ子どものいじめ問題にも言及し、教育委員会の公選制復活を期待しているという。

本作は「ガイアの夜明け」などテレビを中心にドキュメンタリーを手がけてきた長谷川三郎監督の劇場デビュー作となり、日本のドキュメンタリー界の第一人者であり長年是枝裕和監督作品のカメラマンも務めている山崎裕が撮影を担当した。「問題が法を犯したものであれば、カメラマンは法を犯しても構わない」など過激な発言も飛び出すが、穏やかで説得力のある福島氏の語り口に引き込まれずにはいられない。激動の時代を切り取った数多くの写真のほか、年金受取を拒否し、現在山口県のマンションで愛犬とつつましく暮らす姿も映し出す。写真家現役時代に趣味で始めた彫金もプロ並みで、カメラを構えた手に光る個性的なデザインの指輪にも注目だ。

今回被写体側にまわった感想を聞くと「恥ずかしかった。写真に撮られるのが大嫌いなんです(笑)。いつも自分が傍若無人に撮っているくせに、人間って勝手なもの。若ければいいんですがこんなにしなびちゃっているから」と冗談めかす。そして、「僕が人生を賭けて写真家としてシャッターを押し続けた時代をこういう形でまとめて見るのは初めてなので、非常に感慨深かった。戦後時代に対してひとつの役割が果たせたんだなと、幾ばくかの満足感をおぼえました」と笑顔を見せた。
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●忘却の雰囲気の中で日弁連会長声明

2011年08月03日 00時34分10秒 | Weblog


日本弁護士連合会のWPに出ていた宇都宮健児会長の声明(http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110713.html)。

 何か喉元を過ぎた雰囲気であったり、もう既にFUKUSIMAが忘却の彼方に押しやられていないでしょうか? スリーマイルを、チェルノブイリを、美浜のギロチン事故を、・・・・・・。ましてや、敗戦前の原爆投下を・・・。福島第一原発は、政府が云うような第1ステップをクリアなどしていない。

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http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110713.html

東京電力福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針に向けての会長声明

原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)は、東京電力福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針を、7月にも取りまとめるとしている。当連合会は、既に、本年6月23日付け意見書において、コミュニティの維持を含む生活全般の再建が早急に可能となる損害賠償の在り方を考えるべきである、などの意見を述べたところだが、第9回審査会(7月1日)までの審理を踏まえて、さしあたって、最も重要な2点に絞って指摘する。


1 自主的に避難している者の損害について、中間指針に含めるべきである

放射能の危険から避難している者の損害については、「政府による避難等の指示に係る損害」のみが対象とされており、これ以外に多数の自主的に避難している者がいるにもかかわらず、その損害は、既に策定済みの第一次指針及び第二次指針では全く考慮されていない。


これについて、当連合会は、被ばくの危険を回避するために避難することが合理的であると認められる場合には、その損害(の全部又は一部)は、賠償の対象とされるべきである旨、繰り返し意見を述べてきた(5月30日付け意見書、6月14日付け会長声明、6月23日付け意見書。)。


しかるに、審査会は、第7回(6月9日)の「中間指針策定に向けた今後の検討項目(案)」において、今後検討すべき項目として、「2.政府指示等の対象地域外に係る損害関係」に「避難等対象区域外の住民の避難費用、検査費用等」を挙げ、自主的に避難している者についての損害も、その検討項目に挙げていた。そして、この項目は、第8回(6月20日)の同名の資料でも、維持されていた。

ところが、第9回(7月1日)で示された「中間指針の論点(案)」においては、この項目自体が削除された。また、このことについて何の説明もなされていない。


既に、当連合会が繰り返し指摘しているとおり、放射線の人体や環境に対する影響は科学的に十分解明されているわけではなく、しかも、低い放射線量でガンなどが起きる可能性があり、成人よりも子どもの方が放射線の影響を受けやすいとの報告がなされていることや放射線の長期的(確率的)影響をより大きく受けるのが子どもであることに鑑みると、感受性が高く、年齢が若い、胎児・幼児・子どもとその親や妊婦は、政府の避難指示の基準とされる、年間20mSv未満であってもリスクが高く、これに対し人々が不安を感じることは避けられない。したがって、損害賠償の範囲を検討するに当たっては、予防原則に照らし、放射線の影響を危惧しこれを回避することが社会通念上相当と考えられる場合、最低でも、福島第一原子力発電所事故発生直後に相当量の放射線を被ばくした住民、更に放射線業務を行う事業者の義務を規定した電離放射線障害防止規則第3条第1項第1号及び第4項により管理区域とされ、必要な者以外の立ち入りが禁じられる、3月あたり1.3mSv(=年間5.2mSv、≒0.6μSv/h)を超える放射線が検出された地域から避難した住民及び現にこのような地域に居住又は避難している住民に対しては、合理的な範囲内として、避難費用・精神的損害について、賠償がなされなければならない

よって、中間指針においては、この項目を損害賠償の対象として明確にするべきである。


2 損害の終期に関する議論は時期尚早である


第9回(7月1日)においては、損害の終期に関して、「公共用地の取得に伴う損失補償における転業等に必要となる期間について」と題する資料が配付された。


同資料では、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和37年閣議決定)」、「公共用地の取得に伴う損失補償基準(同年中央用地対策連絡協議会決定)」「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則(昭和38年同協議会決定)」が引用され、公共用地の取得に伴う損失補償における転業等に必要となる期間について、業種ごとに、以下のとおりとされている。

商工業については2年以内(基準第43条第四号、細則第26)
農業については3年以内(基準第46条第二号、細則第29)
漁業については4年以内(基準第50条第二号、細則第33)
(営業休止に係る補償期間の損失を含む。ただし商工業は、工事期間若しくは2~4か月+準備期間を加える。細則第27及び別表第四。)

しかしながら、同要綱(基準及び細則)は、土地収用法等によって生ずる損失の補償基準を定めたものであって、本件のような著しく大きな災害によって広範な地域が全般にわたって破壊され、しかも長期にわたって継続している場合の損害賠償の範囲を定めるものではない。土地収用法等の場合には、事前に準備期間があり、しかも、代替地があることなどから、相当期間内に同様な業務を開始することも可能であるが、本件のような場合には、事前に全く準備することができずに避難を余儀なくされ、しかも、事態の収束時期の見通しがつかないことから元の場所に戻ることができるのかできないのかさえも不明確で、別の場所で新たな生活や事業をすべきかどうかも不明で、その上、規模が余りに大きいことから代替地での業務開始等も極めて容易でないことから、本件の場合に、同要綱等を基礎として、損害賠償の範囲を考えることは、基本的な前提が誤っている。

そもそも、福島原発事故は未だ収束しておらず、汚染範囲が拡大し続けているのであって、この現状において損害賠償の終期を論ずることは時期尚早である。

よって、損害賠償の終期に関して同要綱等を参考とすること及び中間指針において終期の基準を定めることには反対である。

2011年(平成23年)7月13日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮健児

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