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※『●①福井地裁「高浜仮処分」取消の背景…《政府の意向》に従う《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》』からの続き。
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177093】
【http://blogs.yahoo.co.jp/kotyannomama/18326291.html】
高浜原発差し止めはヌカ喜び 日本の司法と政治はグルである
2016年3月11日
(画期的なのは間違いないが…(C)日刊ゲンダイ)
これを機に脱原発の動きが広がるのか。大津地裁が9日、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した一件のことだ。
「福島原発事故の原因も解明されていない中で、高浜原発の
再稼働は地震や津波への対策や避難計画にも疑問がある。
もともと4号機は先月末のトラブルですでに停止しているし、
関電は高浜原発が動かなくても『電力不足にはならない』
と言っている。原発がなくてもやっていけることは、ここ数年の
電力需給を見れば明らかです。今回の仮処分は、福島原発事故の
教訓を忘れたかのように、原発再稼働に突っ走る政府と
原子力ムラへの強烈な警告であり、再稼働ありきの方針自体を
転換しろと政府に迫る決定なのです。電力会社や政府は
重く受け止める必要があります」(政治学者・五十嵐仁氏)
決定を受け、関電は10日夜、年明けから営業運転を続けていた3号機を停止させた。運転中の原発が司法判断によって停止したのは初めてで、そういう意味では、たしかに画期的な決定といえる。だが、ヌカ喜びは禁物だ。
このニュースを伝えた10日の朝日新聞の記事によれば、エネルギー政策を担う経産省のある幹部は「福井地裁のケースと同じ。この先ひっくり返る可能性が高い」と話したという。まるで、地裁の決定など屁のカッパといった態度なのである。聞き捨てならない発言だが、残念ながら、その通りになるのだろう。
■人事介入してでも原発を守る
原子力ムラには、強気を裏付ける“実績”がある。高浜原発に関しては、昨年4月にも、福井地裁の樋口英明裁判長が再稼働差し止めを命じる仮処分を出している。これを不服として関電が異議を申し立てたところ、昨年12月24日に後任の福井地裁・林潤裁判長によって仮処分決定はあっさり取り消された。住民側が差し止め請求をしていた大飯原発3、4号機についても請求を却下。それで関電は大手を振って、高浜原発を再稼働させたという経緯がある。
元裁判官で明大法科大学院教授の瀬木比呂志氏が言う。
「今回、大津地裁が稼働差し止めを命じた決定は、昨年4月に
福井地裁の樋口裁判長が出した仮処分決定の内容をさらに
深化させ、原子力規制委員会の基準自体にも疑問を投げかけた。
実にまっとうで、勇気ある決定だと思います。司法の役割を
きちんと果たしたと言える。これまで原発稼働差し止めを
求める住民側の仮処分申請がことごとく裁判所に
退けられてきた中で、こうした仮処分決定が積み重なることには
大きな意味があります。とはいえ、今回も保全異議審で
別の裁判官が決定を覆すようなことになる可能性は
否定できません。原発訴訟の今後には注意すべきです」
原発は、政府が音頭を取って進める国策事業だ。一般国民が国家権力に抗するのは容易なことではない。だから、過去の原発訴訟でも、住民側の権利が認められたことはほとんどなかった。
実は、14年に大飯原発の運転差し止め決定を下したのも福井地裁の樋口裁判長だったが、高浜の差し止め申請の審理が昨年3月11日に終了した直後、裁判所は4月1日付で名古屋家裁に異動させる人事を発動した。高裁ならまだしも、家裁への異動。左遷とみられても仕方がない。それでも樋口裁判長は「職務代行辞令」を利用して、異動後も審議を担当し、再稼働を差し止める仮処分を決定した。ただ、異議申し立ての審議に関わることはできなかった。
高浜差し止めも辺野古和解も単なるガス抜き
「原子力ムラに歯向かうとこうなるという見せしめでしょう。
そういう懲罰人事を見ていれば、ますます裁判官は政府に
とって不利になる判断を下しづらくなる。それに、実は判事や検事が、
原発メーカーや電力会社に天下りした例も数多いのです。
信念を持った裁判官は一握りで、正義や国民の安全より、
権力の顔色をうかがう方が大事。出世や保身を第一に考える
裁判官だらけなのが問題です。しかも、上級審になるほど
ヒラメ裁判官ばかりで、権力に都合のいい判断を下そうとする。
自民党政権との長年の癒着があるから、最高裁は違憲判決なんて
絶対に出さない。政権交代しないかぎり、司法と政治の闇にメスを
入れることはできません」(政治評論家・本澤二郎氏)
そもそも政府は地裁の運転差し止め決定を尊重する気などサラサラない。菅官房長官は9日の会見で「原子力規制委の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない」と宣言。
安倍首相も昨夕の会見で「地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に変わりはありません」と言っていた。
「要するに、地裁の差し止め決定はガス抜きでしかない。
国民の間で脱原発を望む声が多いから、選挙への影響を考えて、
今は差し止め決定を出させておく。どうせ異議審や上級審で覆せる
という権力側の思惑が見え隠れします。残念ながら、この国には
三権分立なんて存在しないのです。司法と行政がグルになって、
政権に都合のいい判断を積み上げ、国民の利益は最終的に
無視される。特権層の側に有利な判断を下すのが上級裁判所の
仕事になっている。法の下の平等という憲法の理念は踏みにじられ、
民主主義がないがしろにされているのです。法治国家として、
こんな恥ずかしいことはありません」(本澤二郎氏=前出)
■司法判断を都合よく使う姑息
それは、辺野古の問題も同じだ。政府は4日、米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部の和解案を受け入れると表明。メディアは「電撃的和解」などと報じたが、こんなもの、ただの先送りでしかない。沖縄の意見を聞く姿勢があるかのように見せる選挙向けの目くらましだ。選挙後に再び強権的に移設を推し進めるのは目に見えている。
その証拠に、安倍は和解勧告の受け入れを表明したその場で、「辺野古への移設が唯一の選択肢であるとの国の考え方に何ら変わりありません」と断言。結論は決まっているのだ。しかも、すぐさま埋め立て承認取り消しを撤回するよう、沖縄県の翁長知事に迫った。話し合いをする気などサラサラない。これのどこが和解なのか。
さらに怪しいのは、安倍が「司法判断が下された場合には、国も沖縄県もその判断に従う。そして互いに協力して誠実に対応することで合意した」と言ったことだ。
裁判所は必ず国に有利な判断を下す。それに沖縄は従わなければならない。司法判断をタテに、辺野古移設を強行する魂胆が見てとれる。
「一般論として、統治と支配の根幹に触れるような裁判では、
権力寄りの判断をする裁判官が多い。本来は個々の裁判官が
法と良心に従って判断すべきなのですが、残念ながら、
そういう勇気ある裁判官は少数派なのが現状で、それは、
この国の司法の構造的な問題でもあります」(瀬木比呂志氏=前出)
憲法を無視し、他方では司法判断を都合よく使う。そういう政権に任せておいていいのか。そこが国民の側にも問われている。
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【http://lite-ra.com/2016/03/post-2066.html】
裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が“選り抜き裁判官”を福井地裁に送り込んでいた
【この記事のキーワード】 伊勢崎馨, 原発, 癒着 2016.03.15
福島第一原発事故から5年。事故当時の東京電力の幹部、勝俣恒久会長、武藤栄副社長、武黒一郎副社長の3人の刑事責任がようやく問われることになった。
といっても、検察が起訴したわけではない。検察はこの3人について2度に渡り不起訴処分という信じがたい決定を下したが、それに対し検察審査会が2度とも「起訴すべき」との議決をした結果、強制起訴になったのだ。
今後は裁判で審理されるが、彼らが刑事罰を受けることになるかというと、残念ながらその確率は低いだろう。本サイトでも何度も指摘したように、政府と原子力ムラと裁判所の間には明らかな“癒着”があるからだ。
それは、この間の高浜原発に関する裁判所の対応を見れば明らかだ。高浜原発については、3月1日、大津地裁(山本善彦裁判長)が3、4号機の運転差し止めの仮処分を命じる決定を下した。3号機は今年1月29日から、そして4号機は2月26日から再稼働していたが、運転中の原発が裁判所命令で停止したのは史上初めてのことだ。
だが、高浜原発に関しては、これまで裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、昨年4月14日に福井地裁が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定した。この際、樋口英明裁判長(当時)は想定を超える地震が各地で起こっていることを挙げて、原子力規制委員会の新基準が「合理性を欠く」と政府の原発政策の根本に異を唱えている。
ところが、その画期的な判決を下した樋口裁判長は、その後名古屋家裁に“左遷”されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせないための追放人事でもあることは明白だった。
そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だった。林裁判長は昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを覆し、事実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定をした。
この林裁判長の人事について、今週発売の「週刊現代」(講談社)3月26日・4月2日合併号が露骨すぎる政治的背景を暴露している。
問題は林裁判長の経歴だ。1997年に任官した林裁判長は最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も宮崎地裁勤務以外、東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任している。
「現代」では明治大学政治経済学部の西川伸一教授がその経歴についてこんなコメントをしている。
「任官して初の赴任地が東京地裁という点で、人事権を
握っている事務総局から、目をかけてもらっていることが
窺えます。その上、初任明けと呼ばれる2ヶ所目の赴任地が
事務総局。これは、林裁判官の同期108人の中でも
6名しかいません。実際、任官から18年で部総括判事の役職に
就くのもかなり早い出世です」
この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署で、将来は最高裁判官を狙えるようなエリートが集まるところだという。林裁判長は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙えるようなエリートだったのだ。
いや、林裁判長だけではない。昨年12月、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。
中村裁判官は一度も遠隔地赴任がなく、東京、横浜、大阪で過ごし、事務総務局総務局付で国会対策などを担当したエリート。
また山口裁判官も大阪高裁や出向で外務省の花形ポジションである国連日本代表部2等書記官の肩書きを持っていたという。
そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井に赴任し、原発政策に関わる決定に関与した。これは異例のことだ。「現代」では元裁判官の弁護士がこうコメントしている。
「本来、福井地裁は名古屋高裁内でも比較的ヒマな裁判所で、
アブラの乗った裁判官が来るところではない。しかも、
この3人は東京や大阪など、他の高裁管内からの異動で、
この人事には、各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が
反映されていると見るべきです」
ようするに、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。
こうした最高裁による露骨な原発推進人事という“意思”の背景にはもちろん、政府の意向がある。前出の元裁判官の現役弁護士はこう語っている。
「いくら独立が保障されているとはいえ、裁判所も上層部へ
行けばいくほど政権との接触は増えるため、考え方が政権の
意向に沿ったものになる。彼ら3名を含め、事務総局に
勤務経験のある裁判官は、そうした阿吽の呼吸を
最もよく心得た人々なのです」
いや、政府だけではない。本サイトでも以前、指摘したように、裁判所は電力会社や原子力産業とも直接癒着している。これまで数多くの電力会社と住民との訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているのだ。
こうして見れば、原発事故当時の東電幹部たちが公正な裁きを受けることなど、到底期待できないことが分かるだろう。同時に現在“かろうじて”停止している高浜原発に対しても、3月14日、関西電力は仮処分に対し異議と執行停止を求めて大津地裁に申立てた。これで三たび、高浜原発再稼働に関する審議が行われることになるが、予断は許さない状況だ。またぞろ政権の“意向”を受けた裁判所人事が行われ、もしかしたら今回の停止決定を下した山本裁判長が“左遷”されたり審議から外され、別のエリート裁判官が送り込まれる可能性もある。
国民の生命の安全を無視して原発再稼働政策を押し進める安倍政権と、それを後押しする法務省、裁判所に対して、より一層の監視とチェックが必要だ。
(伊勢崎馨)
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