保護者の方が最も気になることに、学習塾の費用の問題があるかと思います。
時折り電話でお問い合わせいただくことがありますが、まず間違いなく「ところで授業料はいくらでしょうか」という言葉が添えられます。
そこで、何々はいくらです、ということは簡単ですが、しかし、それにはものすごく大きな問題があって、出来ればそういうことも説明に加えたいのに、時間の問題があってそこまで出来ない時などは、何だか後悔の気分も覚えます。
学習塾の費用を考える時、その前提として次の事項に十分思いを巡らせてからでないと、まるで片手落ちになってしまいます。
言い方を変えれば、「猫とウサギではどっちが牛ですか」みたいな、まるで頓珍漢な理解をしてしまうことさえあります。
では、どのような点に注意して比較検討すればよいでしょうか?
● 集団形式なのか、個別指導形式なのか
● 個別の場合、講師1名対生徒1名の完全個別なのか、それとも1対複数なのかの違い
● 上の場合、最大で講師1名対生徒何名になるのか
● 授業時間数(コマ数)対指導科目数の違いはどうか
● レギュラー授業以外の何らかの指導があるのかないのか
● 自習等で自由に教室設備や備品などを利用することは可能か否か
● 学校の提出物サポートは含まれているかいないか
● そこには「指導」があるのかないのか(プリント授業なのかどうか)
● 教材や指導カリキュラムは学校の教科書に準拠しているかいないか
● 進路相談の有無と頻度、実績はどうか
● 勉強以外の様々な問題や悩みなどに対する対応の有無、その中身
ざっと挙げただけでも、このくらいのことは予め純分に認識しておく必要があるかと思います。
それをせずに、ただ単に授業料だけを取り上げて比較してみても、実はそれは比較にはなっていないといっても過言ではありません。
実は、そういう思いを今日の保護者面談で改めて感じました。
とある塾の話題が先方から出たのですが、その保護者の方は、A塾とB塾が共に個別指導を謳っているという点だけを共通の物とした上で両塾の費用比較をしておられたのですが、実はそこに問題があることをご存知ありませんでした。
どういうことかといいますと、同じ個別指導を謳っていても、片や1対1または1対2のスタイルであるのに対し、もう一方は、生徒が五月雨式に教室に集まってくるものに1名の講師が巡回式で指導するものでした。
そこでは、曜日や時間帯の違いで、集まる生徒数が少なければ最大で1対1の授業も可能ですが、そうでないときには例えば講師1名(この部分は変わらない)に対して生徒10名かそれ以上にもなるのだとか。
例えば1回60分の授業で10名の生徒に講師1名であれば、単純計算で一人当たり6分の授業ということになります。
こういうスタイルの授業で、最も生徒が少ない場合のみを取り上げて「個別」を謳い、実は生徒が多い時のことには触れない。
その場合、それは個別というよりは、むしろ集団塾と言った方がより実態に近いのではないかと思うような、それほど大きな差がここにはあります。
繰り返しますが、そこを踏まえないまま「個別」の文字だけを共通項のように思い違いして費用比較をすることは、正しい比較とは言えないのではないでしょうか。
というようなことをお話致しました。
ご参考にして頂ければ幸いです。