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赤い風車 ’52 イギリス

2006-08-24 | 伝記
アンリ・ドゥ・トュールーズ・ロートレック。
〈Henri de Toulouse-Lautrec〉
彼の絵を目にしたことはあるだろう。
絵葉書や挿絵、ポスター。
「あぁ、この絵ね」と、見れば大抵はうなづくはずだ。
『ムーラン・ルージュ』や『ディバン=ジャポネ』あたりが有名か。
’55の『フレンチ・カンカン』のフランス版ポスターは、彼の作品を相当意識して作られたものらしい。

画家にしては珍しく、裕福な出のおぼっちゃま。
いや、裕福ったって、ただの金持ちではない。
10世紀も続いた、フランス貴族の由緒ある名家の一人息子であった。
そのまま順風満帆な人生を歩むはずと誰もが思ったであろうが、10代で両足を骨折。
当時の医療ではほどこしようがなく、その後彼の足は萎縮してしまい、不具合な生活を余儀なくされてしまった。

本作品の中では、二人の女性との出逢いと別れ、そして失望が描かれている。
真の自分を愛してくれた彼女たちであったが、己の身体を忌まわしく思うあまり、どうしても相手に皮肉めいたことを言ってしまう。
素直になれない彼から、女たちは去ってしまうのである。

アルコール中毒により、37才で生涯を閉じたロートレック。
あれほど女性をのびのびと美しく描いた彼なのに、女性の気持ちまで洞察することはできなかったか・・・