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樫井川水系歩き

2014-02-05 11:43:18 | 生態系サービスと生物多様性

 2月2日、大阪南部泉佐野市を流れる樫井川水系の川と水路を歩いてきました。
 JR日根野駅前から犬鳴山行きのバスに乗り、上大木下車。上大木から日根野にかけては九条家の経営していた荘園の跡で、比較的資料が残っているため、荘園研究では有名な場所のようです。泉佐野市の歴史博物館ではメインの展示です。
 今回訪ねた場所の略図です。
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 上大木の上流は犬鳴山で、このあたりの河底は和泉層群の泥岩砂岩互層です。
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 上大木は日根野荘の一番上流部にあたり、火走神社などの史跡もありますが、それはスルー。立派な大木小学校を横目に樫井川沿いに下ります。棚田景色から離れ、渓谷沿いの道を進み、雨山と対面する位置に老人施設があります。そこに井関があり、トンネルの入口が見えます。近くにあった完成記念碑によると昭和26年12月に完成したものらしく。雨山の直下をくりぬいて北側の大池に導水しているようです。これは現地にきてはじめてわかったもので大きな発見でした。

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このあたりは渓谷らしい雰囲気のあるところで、久しぶりにカワガラスを見ました。
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対面の雨山も迫力です。岩場がたくさんありますが、ハヤブサのいそうな棚はみつかりませんでした。雨山は南北朝のころの城跡です。

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山中にタマミズキと思われる木があります。
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 さらに降ると雨山と樫井川をはさんで対面する小富士山のふもと水呑地蔵に至ります。道路東側樫井川のほとりには関空道路建設で移築された泉佐野市の文化財でもある旧向井家住宅があります。
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 中を見学しました。また、野菜などの販売もあり、おばあちゃんが作ったという羊羹を買いました。なお、昔の萱場は机場というところにあったらしいです。
 このあと樫井川は土丸集落の手前で西に向きを変えます。土丸集落の背後が分水嶺になっているのです。写真はキセキレイ。
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やがて井関が見えてきます。ここから井川と呼ばれる用水路が北へ流れ、田んぼを潤すのです。
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 しかし、水はほとんど井川に流れるため、日根神社の横のろじ渓は枯れた川になっています。
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 日根神社は大井関に建てられた古社です。何年ぶりかで訪れてみると実に立派なお社でした。境内を井川が流れ、本殿横には禊場?が作られています。

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日根神社の北隣には慈眼院という大日如来の祭られたお寺があります。お庭の苔がきれいですが、神社側からの入口は閉じられていました。水路は慈眼院の中を通り抜け、庭園の一部になっています。

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樫井川を離れ、井川に沿って歩きます。慈眼院から北へ道路をわたると、井川は風情のある集落の中を通り抜けていきます。
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やがて、井川は田んぼの中を通り抜けていきます。途中で水の中をのぞくと、カワニナやシジミの殻がありました。カワニナはずいぶん小粒でしたが、水質的には川の水とあまり変わっていないのだろうと思います。
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農地ではケリが舞っていました。また、イソヒヨドリも見ました。なお、イソヒヨドリは大木でも見ました。

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十二谷池に近付くにつれ、井川の中に野菜くずなどをみかけるようになり、とうとう十二谷池手前でそれまでみかけなかったスクミリンゴ貝の卵塊も現れました。

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十二谷池に導水する入口です。ここでせき止めて水位を上げ、池に送ります。

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十二谷池 ここが井川のゴールのひとつです。

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 泉佐野市と熊取町の間にあるため池群の水がどこから来るのか前から謎でしたが、大井関からの井川が十二谷池というかなり下手の池に送られていることから、十二谷池より上の池のほとんどは樫井川上流から大池隧道を通して入ってきているようです。つまりこれらの大型ため池群は川の水がそのまま入っているようです。
 「川の水がそのまま入っている池というのはあまり野鳥は期待できない」というのが今までの実感です。手賀沼では河川水を大量に導入して栄養分を薄めているのでプランクトンの発生が抑えられ、ハシビロガモのようなプランクトンを好むカモが減っているらしいです。今回ため池にはほとんど行きませんでしたが、十二谷池でもオオバンを一羽ほどみただけで、大池などにもあまりいないのではないかと予想しています。わかりませんが、また機会を設けて確かめに行ってみようと思います。