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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

岩波新書「発刊の辞」(1938)をめぐる謎

2014-06-26 05:28:01 | コラムと名言

◎岩波新書「発刊の辞」(1938)をめぐる謎

 本年五月一二日のコラムで、岩波新書・旧赤判の「発刊の辞」、正確には「岩波新書を刊行するに際して」という文章(1938)を紹介した。
 ところで、この旧赤判の「発刊の辞」は、岩波新書の旧赤版の「すべて」に載っているわけではない。初期のものには載っているが、なぜか途中から、載らなくなってしまう。
 具体的に見てみよう。〇は「発刊の辞」が「載っている」ことを示し、×は「載っていない」ことを示す。

〇小泉 丹『野口英世』   岩波新書43 一九三九年七月初版 
〇安田徳太郎『世紀の狂人』 岩波新書58 一九四〇年三月初版 
〇木村禧八郎『インフレーション』 岩波新書56 一九四〇年五月第二刷 
〇中野好夫『アラビアのロレンス』 岩波新書73 一九四〇年九月初版 
×小泉 丹『常識の科学性』 岩波新書81 一九四一年三月初版 
×笠間杲雄『回教徒』    岩波新書33 一九四一年八月第四刷 
×ゼークト『一軍人の思想』 岩波新書67 一九四一年八月第二刷
×鈴木大拙『続 禅と日本文化』 岩波新書94 一九四二年一〇月初版
×荒川秀俊『戦争と気象』  岩波新書97 一九四四年一月初版 

 だいたいの傾向として、一九四〇年(昭和一五)までに刊行されたものは、「発刊の辞」が載っており、一九四〇年(昭和一五)以降に刊行されたものには、載っていないということが言える。
 それにしても、なぜ「発刊の辞」は、途中から載らなくなったのか。これは、当局からの「指導」があったのか、それとも、岩波書店の側で、この「発刊の辞」は載せないほうがよいとする判断がなされたのか。【この話、続く】

 昨日のクイズの解答(本日はクイズなし)
1  案山子 かかし
2  可可呑 かかのむ
3  柿浸  かきひたし
4  書判  かきはん
5  陽炎  かげろう
6  汗衫  かざみ
7  炊屋  かしきや
8  橿鳥  かしどり
9  膳部  かしわべ
10 帷子  かたびら

コメント
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