iPS細胞を生んだノーベル賞医学者・山中伸弥氏と、ラグビーのレジェンド的存在の平尾誠二氏。
2人の友情の物語は、テレビでも何度かやっていた。
NHKの「アナザーストーリー」でやっているのを見たのは、もう3年も前になる。
昨年秋には、テレビ朝日系でドラマ化されていた。
平尾誠二氏を本木雅弘が、山中伸弥氏を滝藤賢一が演じていたが、あまりにもよく似ていた画像に驚きもした。
久しぶりに訪れた図書館に目立つように本書が展示されていたのは、その放送があったからだろう。
ラグビーと医学というまったく異なる分野でありながら、それぞれ知らない人がいないほどの大きな存在の2人。
その2人が、2010年に実現した雑誌の対談で出会い、意気投合した。
40代から親友になるのは珍しいともいうが、急速に親交を深め、やがて家族ぐるみの付き合いをするほどの友になった。
ところが、2015年、突然、平尾氏は末期がんに襲われた。
それからというもの、弱音を吐かずに前向きに病と闘う平尾氏。
夫人をはじめ彼の家族は、優しく見守り続けた。
そして、医師として、治療法や病院探しに奔走し、最後まで平尾氏に寄り添い続けた山中氏。
本書からは、2人の熱い友情が感じられる。
本書は、大きく3章から構成されている。
第1章 平尾誠二という男
この章は、山中氏が、様々なエピソードから出会いや平尾氏の人となりを語っている。
平尾氏をしのぶ「感謝の集い」で、山中氏は「君の病気を治すことができなくて、本当にごめんなさい」と語っていることに、胸を打たれる。
第2章 闘病—山中先生がいてくれたから
この章は、平尾誠二夫人の惠子さんが、闘病する平尾氏が山中氏に対して強い信頼をもっていたことについても語っている。
第3章 平尾誠二×山中伸弥 「僕らはこんなことを語り合ってきた」
この章では、2人が初めての対談で何を語ったかが書いてある。
第3章の対談を読むと、2人が語り合う中で、互いにひかれ合うものがあったのだろうと思う。
平尾氏の言葉に山中氏が学んでいることも、印象深い。
特に、「人を叱る時の4つの心得」だ。
―プレーは叱っても人格は責めない
―あとで必ずフォローする
―他人と比較しない
―長時間叱らない
これらは、地位的に上にある人なら、叱り方の効果についてうなずくところが多いだろう。
そして、𠮟り方を知らない上司を持つ部下たちは、叱り方はこうであってほしいと思うことだろう。
こんなふうに、対談全体を通して、互いに相手をリスペクトして学ぼうという気持ちが伝わって来る。
また、平尾氏が亡くなった後、京都マラソンに出場した山中氏は、自己ベストを大きく更新する3時間27分45秒で走ったのだが、この時には平尾氏の「先生、行けるで、行けるで」という声が聞こえた気がしたという。
京都は、平尾氏の出身地であり、伏見工業高のあった土地だから、思い入れが強いのかと考えた山中氏だった。
こんなふうに、2人の出会いがあって生まれた実話だからこそ、1つ1つ重みがある。
こんな世知辛い世の中なのに、人(山中氏)を信じる平尾氏、人(平尾氏)のために親身になって最善を尽くす山中氏の姿は、たしかに感動ものだ。
ドキュメンタリーやドラマなどに、何度も取り上げられるのも分かる話であった。
たしかに学生時代は、サッカーよりラグビーの方が人気がありました。だから、私も新日鉄釜石・松尾見たさに日本選手権の決勝を見に行ったのですから。
本木雅弘主役といえば、母校立教大学をモデルにした「教立大学」相撲部の活躍を描いた周防監督の「シコふんじゃった」の主役でしたね。周防監督も私もほぼ同年代なので、あの映画が強く印象に残っています(^-^)
私もテレビ朝日系のドラマ見ましたけど、本木雅弘さんと滝藤賢一さん激似でしたね~。私もびっくりしました。
本木雅弘さんと言えば、映画「日本のいちばん長い日」で演じた昭和天皇役が一番印象に残っています。
これからもよろしくお願いします。