ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

戸嶋祥郎、その移籍コメントに彼の人柄を見る…やっぱり惜しい!

2019-12-24 22:24:54 | アルビレックス新潟


意外だった。
つい先日まで、来季の目標を「J1昇格」と公言していた戸嶋祥郎の柏レイソルへの移籍が、突然発表された。
筑波大から入団2年目とはいえ、多くの試合でゲームキャプテンを務め、信頼感の高いサチローが、移籍してしまうとは思っても見なかった。

だが、彼のびっしり並んだ発表コメントを読んで、納得し、これからもがんばれ、とエールを送りたい気持ちになった。

■コメント
アルビレックス新潟に関わる全ての方々へ。
お世話になっております。戸嶋祥郎です。この度、柏レイソルに完全移籍する決断をいたしました。

昨年、アルビレックス新潟のJ1復帰という目標を胸にプロサッカー選手をスタートすることになりました。
そして、今年はアルビをJ1昇格させるという気持ちでプレーしていました。
しかし、J1という一番の目標を達成することはできませんでした。
みなさんを悔しい思いや辛い気持ちにさせてしまったこと、非常に申し訳なく、また不甲斐なく思っています。この2年間、自分の力不足で悔しいことばかりだったなと思います。加入の際、ピッチ内外で貢献するとコメントしましたが、少しでもそれができたのかと自問自答しています。それでも、僕はこの2年間で成長することができたと思っています。


「お世話になっております」から移籍転出のあいさつをした選手など、今まで見たことがなかった。
次に感謝の言葉である。
「はじめに、2018・2019シーズンの2年間、アルビレックス新潟で活動し、クラブに関わる皆様と共に闘わせていただけたことに感謝申し上げます。」
「共に闘わせていただけたこと」「感謝申し上げます。」
ここまで敬語を使っていることに、おごりがなく謙虚な彼の心を知ることができる。

そして、移籍の決断に至った経緯を、しっかりと自分の言葉で述べている。

アルビに加入した頃より、自分の思った通りのプレーが増え、体つきや顔つきも変わったのではないかと思っています。だからこそ、今回のオファーをいただくことができたと思います。ありがたいことに、アルビレックス新潟からは、もっと新潟でプレーしてもらえないだろうかというお言葉をいただきました。今現在、このクラブは、育成からトップまで一貫したサッカー、100年続くクラブなど、いろいろな目標を掲げ、さまざまな取り組みをしていますが、その中心になってほしいと言ってもらえました。
1選手、1人間としてこれほど光栄で嬉しいことはありません。しかしながら、移籍する決断をしました。それは、少しでも早くJ1でプレーしたいということ。その想いが今回の決断の一番の理由です。言い訳や都合のいい言葉に聞こえるかもしれませんが、目標達成できないままこのクラブを離れていいのか、新潟で長くプレーしアルビを強く大きくし、新潟という街を盛り上げるという想い、クラブからの言葉に反する決断が一番いいのか、即決できずにいました。それでも、最終的には自分がこの2年間で目指していた景色をみるチャンスに挑戦したいと思いました。今までの言動、行動からは矛盾するものかもしれません。誰かを欺くようなかたちになったかもしれません。


新潟にいる間に成長することができたからこそ、移籍のオファーをもらえたのだと、あくまで客観的にとらえている。

また、他チームからのオファーと、新潟からの中心選手としての期待を込めた契約継続の話とのはざまで悩んだことも書かれてある。
・目標達成できないままこのクラブを離れていいのか。
・新潟で長くプレーしアルビを強く大きくし、新潟という街を盛り上げるという想いに反していいのか。
・クラブからの言葉に反する決断が一番いいのか。
と、彼は煩悶している。
いかにも、私たちが知っているサチローらしい真剣な悩み方である。

しかしながら、移籍の決断を下したのは、自分の夢の実現のチャンスを生かしたいという強い思いからのものであることを、なんとか分かってもらいたいという熱意が伝わってくる。
その心中を吐露したあとも、なお残る心苦しさがあるといい、誠意をもって謝りの言葉を述べている。
それは、目標を達成しないうちの移籍転出は、どう説明しても自分のことを心から応援してくれた人たちにとっては裏切りでしかないということを知っているからにほかならない。
だからこそ、彼は、最後の方でもう一度謝りながら感謝の言葉を入れている。

それに対して心苦しく申し訳なく思っていますし、この決断に何を言われようと全て受けとめます。1年目から自分のチャントを歌ってもらい、どんな時も熱い声援、サポートをしてくださるなかでプレーできたことは本当に嬉しく幸せでした。
アルビレックス新潟のサポーターがどんな時もこのクラブを支え大きくしていくと確信しています。今後は違ったかたちでアルビレックス新潟の発展に貢献し、応援したいと思います。アルビレックス新潟でプロのキャリアをスタートできたことは誰にも変えられない事実で、僕の誇りであり自信です。その誇りを自信に加え、覚悟をもって、より一層の努力をし、柏レイソルでも精進します。
改めて、2年間本当にお世話になりました。ありがとうございました。

戸嶋祥郎


最後には、「今後は違ったかたちでアルビレックス新潟の発展に貢献し、応援したいと思います。」と言い、新潟でのキャリアのスタートを、誇りであり自信であるとまとめている。
そして、「覚悟をもって」より一層の努力と精進を誓っている。

ここまで丁寧に自分の思いを語るコメントを残しながら去って行く選手は少ない。
自分で言葉を選びながら、なるべく多くの人に分かってもらいたいという気持ちがひしひしと伝わってきた。
改めて、惜しい選手がいなくなってしまうなあ…と悲しくなった。
でも、これだけの言葉を駆使して思いを出してくれた彼の誠意に、心から感謝したい。


ありがとう、サチロー。
来季こそ、あなたのキャプテンシーの発揮でJ1昇格の戦いを実りあるものに引き上げてほしいと思っていた。
でも、あなたは、J1チームの選手としての戦いを選択した。
それは、プロサッカー選手なら、自分をより高く評価する、レベルの高いチームで戦いたいというのは当然のことだ。
ましてJ1の選手になることがあなたの夢だったのだから。
今季、一番アルビレックス新潟の選手らしいプレーをしていたのがあなたでした。
ピンチでもチャンスでも、「走れ!ニイガタ流儀」を実践していた貴男の姿が大好きでした。
リーグの違うところでのあなたの健闘を期待しています。


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