Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「日の名残り(The Remains of the Day)」

2021年03月13日 | 読書
1年前の春と同じように、桜の季節が巡って来ました。
美しい春の花々が咲き始めたというのに、コロナウイルスの収束が見えません。
始まりがあれば終わりも必ずあります。

カズオ・イシグロ著「日の名残り」
       
イギリス社会、とりわけ貴族社会の移り変わりを、主人公の執事の生活を
通して語られていきます。
主人公スティーブンスは、あるお屋敷で執事として長く働いています。
以前に見ていたイギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の世界のようです。

前の雇い主であるダーリントン卿が亡くなった後、新しく屋敷の主人となったアメリカ人から
休暇を与えられ旅に出ます。
彼の旅の中で良き時代の思い出、かつての主人に使えた日々や女中頭のことを懐かしく回想し、自分の人生を振り返ります。

生真面目な彼は「執事とはご主人様の意志に従うこと、感情、疑問を持ってはいけない」と。
「偉大な」執事とは何か?   「品格」とは何か?
旅の途中で「自由こそが人間の尊厳であり、品格である。」と村人が主人公に話す。

旅の中盤、長い年月を経て再会した女中頭から悲しい打ち明け話を聞き、それを旅の終わりに
思い出し、自分の生き方を悔いて涙しますが、後の祭りです。
その時、側にいた男に「後ろばかり振り向いてはいけない。人生楽しまなくちゃ。
夕方が1日でいちばんいい時間なんだ。」と1回鼻をかんだハンカチを勧められます(^^;)
私には「老後が人生でいちばんいい時間」と言っているように取れました。

元主人のイギリス貴族とジョーク好きなアメリカ人主人で、「イギリス王室」と「メーガン妃」のことが頭の中を駆け巡りました。
最後にスティーブンスは、冗談を言うことが好きなアメリカ人の主人のために、冗談の練習
をしようと思い立つのでした。
執事スティーブンスは、最後まで古き良き時代の執事のままで終わりそう・・・かな?
いや、少しは変わったかもーー

*大部分、尊敬語、謙譲語で訳されていたので、読みづらいと言いますか、まどろかしい。
英語の原文ではどのように表現されているのかも気になるところです。
私が知っている英語の敬語表現としては「Could you~?」とか「Would you~?」、「please」ぐらい。
イタリア語では三人称単数の女性形の最初の綴りを大文字にして「Lei」を丁寧語として使い
ます。 文章のうしろに「per favore(お願いします)」を付けるぐらいしか思いつきません。
今度、イタリア語の先生に会った時、これ以外の丁寧語があるのか質問してみます。