ここは、もはや南国?! 中秋の植物園

2013年09月23日 | 植物園
          
9月19日、真昼の京都府立植物園を訪ねました。ここ数日、空は澄み渡っています。

北山門から入ったすぐの花壇「ワイルドガーデン」です。見たことない花色のルドベキアや小花のペチュニアが
咲いていました。


この薄紫色のサルビアもあまり見かけたことのない色でした。
 

思わず、「珍しい花色ですね~」近くにいた方に声をかけたら、「ここには新種の花が植えられているようですよ。」
と、近くにあった立札の方に顔を向けられました。

それによると、
オールアメリカセレクションズ(全米審査会・ASS(ALL AMERICA SELECTION)から送られた
新種(金賞受賞)の種子を栽培、植栽している花壇で、アメリカで65か所、カナダで21か所、日本では1996年から
ここだけで栽培されているそうです。

また
フロロセレクト(欧州草花新品種審査協会 FS)からもディスプレガーデンとしての認証を1994年から受けていて
金賞を受賞した植物の栽培がされているようです。

 

時折、オレンジ色の蝶が飛びまわっていたのですが、「それは、ツマグロヒョウモンという蝶ですよ。」と
また先ほどの方が教えて下さいました。



左の写真は、イネ科の植物ペニセツム「パープル・マジェスティ」2003年のASSの金賞受賞。葉の色や穂の形を楽しみ、
オーナメントグラスと呼ばれているものです。右は、葉に美しい縞模様があるカンナです。
 

  

  

向日葵(ひまわり)は、まだ咲いて間もない美しいさでした。
  

門から左手の方には、背の高い、「アメリカフヨウ」に似た花が咲いていました。「タイタンビカス」とのこと。
「タイタンビカス」とは聞いたことない名前なので、ネットで検索すると「アメリカフヨウ」と「モミジアオイ」の
交配選抜種とのこと。2mはあります。
 



南側に向かって、竹の庭を抜けると、芍薬園。通路の木が丸く刈り込まれ、剪定作業中でした。
   

   

静けさに突然「ミ~ンミンミンミンミ~」。久しぶりに聞く鳴き声にちょっと嬉しくなりながら、
バラ園や沈床花壇のある方へ向かいます。
 

沈床花壇には、エンジェルトランペットが満開でした。
 

トウガラシ「小槍」
 

黄色の実のものや、葉も紫の斑入りで紫の実の、トウガラシ。トウガラシはナス科。
  

「ネコノヒゲ」確かにそんな顔です。シソ科。白
 

「ネコノヒゲ」の赤。花は薄紫です。
 

「ネコノヒゲ」の白と赤を拡大してみました。「赤」の方の茎が赤いです。
  
ここで、一際目立ったのが、これ。一体何?青い実がなっています。
   

なんと、南国の「パパイヤ」が育っています。今まで温室で見たことはありますが、こんな露地で育てられているのを
見るのは初めてです。
  

パパイアの花はこんな形をしています。初めて見ました。蕾もまだいっぱいあります。
  

もう1本ある木には、思わず笑いそうなくらい、大きな実がなっていました。
  

ここで出会った数人の方と、この驚きの話題で話が盛り上がり、とても楽しいひとときになりました。

朝夕は、20度以下になり、半袖では肌寒いくらいですが、日中は、透き通った空から降り注ぐ太陽の下、
この日の最高気温も31度ありました。

9月も下旬になるというのに熱帯の植物が露地の京都で生き生きと育っているのを見て、思わずここは南国か?!
と思った植物園でした。





黄色のバラ 今日のバラができるまで(2)

2013年09月14日 | バラの泉
普段なにげなく見ているバラも、そのルーツを知ると、また育てる気持ちも新たになります。

18世紀末から特に発達したバラの品種改良の歴史を調べますと、改良バラの最初の頃の
黄色は、薄い黄色であったことがわかります。

それは中国から1824年にイギリスに来た薄い黄色の「パークス・イエロー・センティッド・チャイナ」
が交配親に使われたことによります。ティーローズやノアゼットローズの薄い黄色のバラはここに
起源があるからです。

ティーローズの「レディー・ヒリンドン」(5月20日)



そこで1883年に、あざやかな黄色を目指したのがフランス・リヨンの育種家ペルネ=ドゥシェでした。

野生種のバラ(原種のバラ)で濃い黄色の「ロサ・フェチダ」があります。もともとイランから
アフガニスタンに分布するバラで、1500年代の終わりにフランス生まれのフランドル(オランダ)の
植物学者クルシウスが、オーストリアから導入しました。

変種に花弁の表面が朱色で、裏面が黄色のもの「ロサ・フェチダ・ビカラー」があります。

さらにもう一種の変種で前の2種が花弁が5枚であったのに対して、大輪で八重咲きの
1836年にイランで発見された「ペルシアン・イエロー」があります。

ペルネ=ドゥシェは、この「ペルシアン・イエロー」を交配親にしました。なぜなら
「ロサ・フェチダ」は不稔性でほとんど種子をつけず、この「ペルシアン・イエロー」には
少し捻性があったからです。この花粉を使い、何千もの交配をして6年後の1888年に、
ハイブリッドパペチュアルの「アントワーヌ・ドゥシェ」との交配に成功。

その実生と、ハイブリットティー系統の一品種が交配され、その後最初の黄花品種
「ソレイユ・ドール(黄金の太陽)」が1900年に発表されました。

このバラは一季咲きだったため、さらに他のハイブリットティーと交配され、四季咲きの
「スブニール・ド・クロジュ・ペルネ」が1920年に出来ました。始めた1883年から
37年の歳月が流れています。その後の有名なバラ「ピース」(1945年)もこのバラが
先祖にあたります。

この鮮やかな黄色がもとになって、さらに他の育種家が独自の交配を重ねて、オレンジ色の
バラも生まれていきました。育種家の長年の夢が開くとき、その陰に、ものすごい努力と
出来るまで作り続ける情熱を感じます。


今年6月20日の花。このバラの名は、イングリッシュローズの「グラハム・トーマス」(1983年)です。
この花の4代前も「スブニール・ド・クロジュ・ペルネ」になります。