オーストラリアに住んでみれば

南国暮らしに憧れて、住み始めたオーストラリア。
住んで、暮らして、初めて分かる、色々な体験談をお披露目します。

オーストラリア 自閉症スペクトラム

2020-05-16 12:57:57 | 日記

ADD (注意欠如) ADHD(注意欠如多動症)とか、自閉スペクトラム症とうものは

昔にはそうそうなかった症状で、

自分もそうじゃないか、等と心配したりもしますが、

小さな子供がいらっしゃる方には、大きな心配事の一つです。

 

自閉スペクトラム症の症状が2歳までに現れることもありますが、

軽症の場合には学齢期まで分からないことがあります。最近の統計によると、

自閉スペクトラム症は約68人に1人の割合で起き、女児よりも男児で4倍多くみられます。

自閉スペクトラム症の具体的な原因は十分に解明されていませんが、

多くの場合、遺伝的な要因が関係しています。自閉スペクトラム症の子どもが1人いる親の場合、

もう1人自閉スペクトラム症の子どもをもつリスクは50~100倍高くなります。

 出生前の風疹やサイトメガロウイルス(ヘルペスウィルスの一種)などのウイルス感染も、

関与している可能性があります。

しかし、自閉スペクトラム症が、子育ての失敗、小児期の恵まれない環境、

予防接種によって起こるわけでないことははっきりしています。

 

オーストラリアでも、自閉症の割合は、日本とほぼ同じですが、早期介入支援システムは、

日本よりも進んでおり、そういう子供を持つ両親への援助も有り、

行ってみたことがありますが、

半端な気持ちでは、決して行ってはいけないと、思いました。

 

さて、以前に一度書いたことがあるのですが、

私は、ピアノを教えていて、その中の一人に Autism(自閉症)の女の子がいます。

お母さんがAustralia人で、お父さんは日本人のハーフ、山口百恵さんに似た、美人さんです。

私が Yuko と出会ったのは、確か彼女が12,3歳か14歳の頃?

今はもう、20歳になられました。

最近はコロナの影響で、暫らくお休みされていましたが、また最近、ピアノレッスンを再開されました。

相変わらず、殆どの場合、彼女は、人と意思の交流が出来ないし、

何をしゃべっても、マニュアルとおりの答えしか返ってきません。

顔を見ても、目を合わせてくれません。

 

言っていることも、分かってくれているのか、分かってくれていないのかわからないし、

ちょっとでもいつもと違う事をすると、怖くなるのでしょう、不安定になって、

不機嫌になり、あばれることもあります。

それは、Autism の子供の特徴です。おまけに、

特に最近は、暫らくレッスンを休んでいたせいで、指が動きにくいせい?か、

凄くイライラしています。

多分、親が、可愛い娘の為に自己防衛として教えたのだと思いますが、

機嫌が悪そうなときは、よほど気を付けていないと、急に予告なく、

指をねじ上げられたり、つねられたり、そっちに気を取られていると、頭突きを食らわせられたり

して、痛い目にあいます。

彼女は、わたしより体も大きいので、いつも身構えています。

それでも私はあえて、遠慮せず、他の子供たちと同じように、

出来ていない時には、出来ていないから、弾き直すように言います。

Yuko は、怒って襲いかかって来る時もあるけれど、

乱暴に弾いたって、叱ります。

できなければ、それは違っている、と、出来るようになるまで許可しません。

 

特に Yuko にはピアノの事だけでなく、

顔を見て喋れとか、

人が説明してるときは聞けとか、

ちゃんと、背中を伸ばして正しい姿勢で弾くようにと、どんなに不機嫌でも、

他の子供にはしてもらっていることは、全て言い、正しくないことは、直してもらいます。

様子伺いの雑談も、返事が無くても、会話が成り立たなくても、同じようにします。

 

子供は、大人が分かっていないだろうと思うような事でも、分かっていると言う事はよくあることです。

ただ、それを表せないだけです。

Yuko も同じだと思っています。

 

人としゃべらないと、皆、Yukoは喋れないんだと思ってしまうよ、というような話をすることもあるし、

不機嫌なときも、ぐずぐず言ってないで、何が嫌なのか、言ってみて、

言ってみないと、他の人は心の中まで見えないんだよ、

と、いうような事も目を見て、話しかけ続けます。

何故続けるかと言うと、

時々、Yuko から直撃的な答えを感じる、いえ、もらう時があるからです。

 

最初の頃、私は、彼女は、難しいことを言っても分からないし、

言っても出来ないんだと思っていました。

けれど、ある日、彼女のお母さんとおばあさんが、レッスンを見にいらしたのです。

何と彼女のレッスン態度は豹変して、いつもと比べ物にならないくらい、レッスンが進んだのです。

 

これは、子供にとって、Yuko にとって、ものすごい強み、原動力になります。

私はいつも、お母さん方に、

”子供のひくピアノに、興味を持ってあげて、見てあげて、聞いてあげてくださいネ!”

と言っています。

ピアノを習いに来る子供と言うのは、ピアノに関して余程才能がある子供でない限り、

じゃまくさい練習が必要なピアノが好きなわけでは無く、他に、TVやゲームなど、

ラクで楽しいことはいっぱいあるんだけれど、

お母さんが喜ぶから、、、頑張ってる子供が多いんです。

彼女はきっと、人一倍、お母さんを喜ばしたいんです。

 

例えば、私は幼稚園の先生をしたことがりますが、

貴方は、幼稚園の先生と、小学校の先生では、

子供に対しての権力が強いのはどちらだと思われるでしょう?

答えは、小学生。

小学生ともなると、先生におべっかも使うし、好かれようとしてくれます。

ある程度、人間関係が分かっています。

しかし、幼稚園の先生は、権力者では居られません。

幼稚園の子供たちは、先生が気に入らないと

” キライ!遊んであげない、あっち行け!” と、冷たく言われます。

 

Yuko は元々、人とコミュニケーションする力も、人の思惑を考える力も、喋れる力もあって

誕生したはずです。

それが何かの原因で、使えない、という病気がAutism だと解釈しています。

だから、もし周りの人が、使えないように扱ってしまったら、

彼女自身が、使う事を忘れてしまうと思うのです。

私がもし、彼女の保護者であったり、指導者であったりして、四六時中一緒なら、

そう言う風に扱うことは合理的でなく、Yuko にも負担かも知れないと思います。

けれど私は、ほんの少しの間だけだし、Yukoにとっても、良い刺激だと思うのです。

Yuko は最初の頃とは比べ物にならないほど、上達しました。

音符は、なかなか読もうとしてくれないけれど、指はかなり達者に動くようになり、

複雑な弾き方でも、見せると、やろうと努力してくれます。やれるまで、やろうとしてくれます。

ここで、イライラして、彼女自身怒り出し、泣きながら弾くこともあるのですが、

素晴らしいことに、難しいからと、最初からあきらめることはありません。

それは、他の子供には滅多に無い、凄いアドバンテージです。

 

いつまで習ってくれるのか知りませんが、

これから、何処まで伸びて行ってくれるのか、は、愉しみです。

可能性は無限である...

私は、長年健康産業にかかわってきて、これを実現されている方に何人もお会いしました。

人間の可能性は、無限です。

 

 

 

◎自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害に細分類されていました。しかし、現在この分類は使用されず、すべて自閉スペクトラム症とみなされています)

 

 



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