札幌1900着。私は真直ぐSとの合流場所である待合室に行く。待つ間に洗面具などの必要な物だけ風呂敷に入れ、重たいリュックはコインロッカーに入れることにする。200円のコインロッカーで、地上のものにあいたのがなく、地下にあいたのを見つける。100円玉1枚はあったが、あとは50円玉1枚と10円玉5枚しかない。仕方ないのでロッカーの向いにある切符売りの窓口で両替を頼むといやな顔をされた。少々気分が悪かった。
再び待合室へ行く。待合室では、ホームに近い奥の方でオッサンが何やら大声で周りの待合客にいちゃもん(因縁)をつけている。こちらへ来ないことを願う。立ち食いのソバ屋は早々と店じまいしている。開いていれば軽く腹ごしらえできたのだが。
7時40分近くになってSがやって来た。さっそく今夜の宿泊地、すすきののビジネスホテルに向うために地下鉄乗り場へ行く。その間、彼は札沼線の列車がガラガラで、キハ40型新造車2連が使われていたが、速度が表定、最高とも遅かったことなどしゃべっていた。これを聞いて私も3日後に乗ろうと思った。
さて、札幌地下鉄は、グリーンとシルバーの美しい電車?である。車輪はゴムタイヤで、電車とは思えぬビビビビという変な振動が体に伝わってくる。レールの継ぎ目の音がしないので味気ない。4連ながら車両のスタイルは斬新。前面はモノレール風、側面は窓が大きい。室内もこげ茶色が基調ながら明るく美しい。電車、バス、モノレールを合わせたような乗り物で、未来都市に来た錯覚すら覚える。大通公園の次がすすきの。札幌から2つ目ではあるが70円は安い。
すすきの駅地下街は落ち着いた感じだ。地上は想像に反し会社等のビルが多い。ここから市電が出ている。やっぱり市電を見ると心がなごむ。市電の走っている通りを歩く。創成小前で南に曲がる。市電もここで南行している。創成小前からは、おせじにも余りきれいと言えない小さな居酒屋や商店が軒を並べているが、暗く人通りも少ない。ボン引き風の女も立っている。道内時刻表の広告を見て、こちらの方が安いと思う「ビジネスホテル大東」の前を通る。目指す南7西6は市電東本願寺前にある。この距離ならすすきのから市電に乗ればよかった。
「ビジネスホテル田村」はそんなに大きくない建物である。受付で名簿に住所、氏名を記入し、金を払い、キーを受け取る。部屋は3階、308。エレベーターで上がる。荷物を置くと、食事のために再び下へ。私は、外で食べるものと思っていたら、S氏、ここの1階に喫茶とレストランを兼ねたものがあるのを知っていて、そこに入る。入ったら客はだれもおらず、コックが巨人戦のテレビ中継を見ている。王があと2本で756号ホームランというところである。焼肉定食を注文。カウンターにある新聞を取ってきて目を通す。久しぶりに外の情報を得る。大した事件もない。後楽園球場で、パ・リーグのロッテ-日本ハム戦に日曜日49000人も入ったのに興味を持つ。焼肉定食はなかなかのボリューム。野菜の量も多いし、しじみのみそ汁と漬け物付き。これで650円は良い方だろう。コックは再びテレビ観戦している。我々も食べ終わった後も見ていたが、9時前に部屋に戻る。
トイレでがんばってからフロに行く。1階にある風呂場の脱衣場は何とも臭い。くつ下のあのいやなにおいである。ここの洗い場は、湯と水がまともに出ない。出るには出るが、コックの微妙なひねり方ひとつで湯が熱くなったり水のようになったりするし、出っ放しで止まらないこともある。
一旦部屋に戻ってから再び一階へ行き、家へ電話する。10円玉6枚入れてかけ、一言しゃべると電話が切れてしまい、話し中のブザーが鳴り出した。ちょうどフロントの電話が鳴った時だから、そのせいだろう。金も戻らないのでフロントのじいさんに言う。じいさんは電話機の中を開けて60円返してくれたが、返却口にじいさんが指を入れると、何と金が戻っている。音もなく返っている。けったいな電話。再びかけ直す。
さて、久々のテレビを部屋で見て(タダ)、11時30分頃寝る。