◇冬木
地上では澄まし込んで
我関せずとばかりに立っているが
地下では
根がどんな有様になっているか
分ったものではない
見苦しく絡まり合い
さながらランチキパーティー
といったところだろう
だが これも角度を変えて見ると
お互い慰め合い 支え合って生きている
微笑ましい図と思えなくもない
それならそれらしく
地上でも取り澄ましたりせず
手を繋いでいればいいのに
殺伐とした人の世に そんな見本を見せてくれよ
寒さにじっと堪えて立つ
冬木の概念を打ち砕いて 今の今芽吹いて葉を繁らせよ
それは季節のすることだなんて 責任の転嫁はよくない
人世の酔っ払いは そんな繰り言をしながら
裸枝が虚空をさす街路樹の下を通って行った
酔っ払いの後ろを二三枚の落葉がついていった
◇
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