波乱の海をぶじ目的地へ

現世は激しく変動しています。何があるか判りませんが、どうあろうと、そんな日々を貧しい言葉でなりと綴っていけたらと思います

冬木

2015-03-04 09:19:16 | 散文





◇冬木


地上では澄まし込んで

我関せずとばかりに立っているが

地下では

根がどんな有様になっているか

分ったものではない



見苦しく絡まり合い

さながらランチキパーティー

といったところだろう



だが これも角度を変えて見ると

お互い慰め合い 支え合って生きている

微笑ましい図と思えなくもない



それならそれらしく

地上でも取り澄ましたりせず

手を繋いでいればいいのに


殺伐とした人の世に そんな見本を見せてくれよ

寒さにじっと堪えて立つ

冬木の概念を打ち砕いて 今の今芽吹いて葉を繁らせよ

それは季節のすることだなんて 責任の転嫁はよくない


人世の酔っ払いは そんな繰り言をしながら

裸枝が虚空をさす街路樹の下を通って行った

酔っ払いの後ろを二三枚の落葉がついていった


   ◇








  ◇