波乱の海をぶじ目的地へ

現世は激しく変動しています。何があるか判りませんが、どうあろうと、そんな日々を貧しい言葉でなりと綴っていけたらと思います

銀杏落葉

2012-01-31 20:31:23 | ポエム


銀杏の葉っぱは黄色いね
黄色いよ
同じ形をしているね
同じ形をしているよ
ハート型だね
ハート型だよ
ひと所に固まって
ひと所に固まるよ
どうして同じことしか言わないの
だって同じだからね
葉っぱ以上ではないわけだ
以上ではないわけさ
以下でもない
そう以下でもない
認めてくれてありがとう
以上でもなく
以下でもない
それが俺たちなのさ
その認識があるから
この寒空の下に
自由なのさ
自由の処刑だね
自由の処刑だよ
はかないね
はかあるよ

この地面が俺たちのおはかだよ
でもみんなはおはかに留まるのを嫌がって
地面を滑ったり転がったりして
吹き飛ばされていくのさ

あなた随分おしまいになって話すじゃない
そういうのをきりがないって言うのよ
きりはあるさ

こう言ったとき車が来て
一枚の葉っぱをさらっていってしまった
それが別れだった
やっぱりはかなかったね私たち
ともう追いつけないほど離れてしまった
葉っぱにはなむけの言葉を送った
それが葉っぱAと葉っぱBの別れだった

地上に墓を持つ者の最後はみなこうなる
例外なくこうなる



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2012-01-30 23:23:01 | 俳句+ポエム
 ☆

音高く

雀落葉に

紛れけり

 ☆



[落葉の中に]



落葉に紛れ込んだ雀は
鼠と見分けるのが難しい
落葉の大仰な音の中では
チュンチュンも
チュウチュウも
あったものではない

また
こんなときに限って
鼠と雀は
存在を互いになすりつけて
声も立てないものだ
進んで行く
落葉の動く下に
雀か鼠
どちらかがいる
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都市に棲む水鳥

2012-01-29 10:20:39 | 散文



[都市に棲む水鳥]


 水辺の環境を失って、都会に逃げ延びてきた水鳥をよく見かける。
 そんな水鳥がコンクリートの広場で、尾を上げ下げして餌を探していたから、僕は愛の仕草のつもりで、ちょこっと掌をのべた。哀しいかな、水鳥に人の心は通じず、それでも敵意を抱いたとも思えない飛び方をして、車道を渡りはじめた。路面の上を低空飛行で直進すればいいものを、つい人間に恰好の良いところを見せようとしたのがいけなかった。あるいは、それが彼等のやりかたなのか、放物線を描く具合に、二度、三度路面に腹をこすり、ぎごちなく飛行を続行して、車道の対岸へ渡りきった。
 水鳥め、いくら水面に腹を擦る飛び方が身についているからといって、大都会のコンクリートの路上でしなくてもよかったのに、つい油断が出てしまったのだろう。見栄なんか張るものじゃないよ。今ごろ、擦った跡がひりひり痛んで、場合によっては、赤むくれの腹になっているんじゃなかろうか。
 僕はそんなことを考えながら、水鳥に少し遅れて、先の横断路を渡って行った。こちらは恰好なんかつけず、青信号が点滅をはじめる前の、くっきり青まっさかりの中を、余所見などせず渡って行った。
 もし水鳥流に恰好をつけるなら、携帯片手に世界中の友達とやり取りしながら進んで行ったのだろう。しかし僕には、幸か不幸か、そういう仲間はいなかった。
 もしかするとあの水鳥も、水辺の自然を追われ、都会に友達を求めて、山を下ってきたのではなかったか。そこで僕を見つけて、つい最高の芸を披露したのかもしれなかった。
 しかし慣れない都会では、腹を路面に擦るしかできなかった。そんなことを思って、僕は腹を抱えて笑ってしまったのだ。水鳥の気も知らずに。






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啼く鴉

2012-01-27 09:02:32 | 俳句+ポエム
 ☆

凍結し

足場奪はれ

啼く鴉

 ☆




[路地の鴉]


路面の雪が融けて凍結した
ゴミをあさろうにも
足場が悪くて
降りて行けない
滑って尻餅をついてはならないし
いざ人に追われて逃げるとき
足が滑っては
安定を欠いて飛び立てない

そんな鴉が
電柱のてっぺんで啼いている
体を上下に揺すって
啼くと言うより
悪態をついて吠えている
ビニール袋の肉片を
犬猫に掠め取られてはならないと
威嚇しているのかもしれない
なんとも浅ましい光景だ
早く太陽が顔を出して
凍てつく路面を融かしてくれればいいが
せめて風のない日和であることがなによりだ
もし風でも出てくると
上句を下のように書き換えなければならない

老鴉ぼろ傘のごと宙を舞ふ
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雪を掻く

2012-01-26 15:01:01 | 俳句+ポエム
 ☆

一軒家

人恋しさに

雪を掻く

 ☆




[一軒家]


雪に降り込められた

一軒家

人が恋しいのだろうか

一心に雪掻きをしている

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キギス

2012-01-26 14:37:07 | 俳句+ポエム
 ☆

ひつそりと

山駈け抜ける

キギスかな

 ☆



[雉]


枯れ尽くした山里を

雉が落葉を鳴らして

駆けてゆく

怖い貌の

紅さだけ残して
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木枯らし

2012-01-26 14:12:02 | 俳句+ポエム
 ☆

バス停に

立ち木枯らしを

やり過ごす



[木枯らし]


木枯らしが、身体にきつい
しばらくバス停に立ち
人群れに入って
木枯らしをやり過ごす

おや 隣にもそんな男がいる
お互い 気まずそうに
もじもじしていたが
あっ と相手のほうが先に
忘れ物を思い出した仕草で
通行人となっていく

間もなくこちらも
男が去ったのとは逆の方角へ
道を歩き出す
バスが来たので
離れざるを得なかったのである


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大枯れ木

2012-01-25 20:17:16 | 俳句+ポエム
 ☆

大枯れ木

全裸さらして

丘に立つ

 ☆




[白い木]


冬ざれの丘には
多くの木々があるのに
どうして
あの一本の枯れ木ばかりが
日に照り映えて
白く耀いているのだろう

たぶん枯れ木はもう
日を必要としないから
全裸の幹に
陽光を撥ね返して
周りの木々に与えているのだ

日を照り返す大枯れ木は
麓の町からも見えて
その耀きを一目見ようと
ここまで足を運んでくる者が
後を絶たない

人後に落ちたくないから
自分もやって来た
近く見る大枯れ木には
落雷による古い傷痕が
深く裂けていた

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カア

2012-01-24 13:15:07 | 俳句
埋もれて

雪掻きをれば

カラス鳴く
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雪原

2012-01-24 12:47:51 | ポエム



野ウサギや

汝(なれ)こそ天使

雪原を

光の弾と

なりて疾駆す
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降る雪

2012-01-24 10:10:40 | 俳句+ポエム
 ☆

降る雪や

ふるさと封鎖

されてゆく

 ☆



雪に閉じ込められると
周囲がまったく消えてしまう
見えるのは電線くらいのもの
そこからの脱出は容易ではない
積もった雪に体当たりして
路をつけていく
ふと電線に鴉が来て留まる
ああ と鳴く優越感が憎らしい
こちらの心が通じたのか
鴉は物憂そうに
180度の回転をして後ろ向きになる
その動きで、電線に積もった雪が
舞い落ち 首筋に飛び込む
冷たい!
人の声に鴉は逃げて行く
鴉は無言だが、
頭を冷やせ
と言われたようで、穏やかでない
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雪男

2012-01-23 19:42:29 | 俳句+ポエム
 ☆

横殴り

目潰しなんの

雪男

 ☆


降りしきる雪の中を歩いていると
雪に掻き消されて
視界ゼロということがよくある
そんなとき雪男に出遭った
全身雪まみれ
吐く息も白く
蒸気機関車のようだった
男は坂道を登り
自分は下っていた
吹き荒ぶ大雪の
同じ条件の中で擦違ったのだから
自分も雪男だったのだ
雪男と雪男が無言で擦違ったのだ
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跳ぶウサギ

2012-01-23 12:47:47 | 俳句


 ☆

ウサギ跳ぶ

群舞の雪に

喜悦して
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花ススキ

2012-01-22 17:19:20 | 俳句+ポエム
 ☆

花ススキ

ひげの顔にも

しなやかに

 ☆



[花薄]


花薄の感触は
乙女のやう
無骨な男のひげ面にも
しなやかだ
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秋刀魚

2012-01-22 14:34:14 | 俳句+ポエム
 ☆

しろがねの

秋刀魚は焼かず

皿におき

 ☆



[秋刀魚]


画家なら
旬の秋刀魚の肌色を
どう表現したものかと
苦心惨憺すると思うが
ここに
画家とは
縁もゆかりもない男がいて
しろがねの秋刀魚を
皿に置き
腕組みして眺めている
いったい
どう料理してやろうか
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