◇枯野の風景
枯野に月が照って
幽冥界のように
ぼんやり明るんでいる
そこを獣たちの霊が
一列になって行進していく
かさりとも音はなく
びゅうびゅうと風ばかりが
視野の中を吹き抜けている
彼ら霊たちは
連帯しているようでいて
一つにまとまっているのでもなく
ばらばらかというと
ある連携の中に
身をおいている
語らうでもなく
従うでもなく
統率するものがいるのでもない
私が見ているこの風景は
一体何の原形であろうか
それすら不分明のままに
霞みに霞んで
一列になって通り過ぎていく
◇
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