波乱の海をぶじ目的地へ

現世は激しく変動しています。何があるか判りませんが、どうあろうと、そんな日々を貧しい言葉でなりと綴っていけたらと思います

落ち葉

2014-12-04 17:19:06 | 俳句+ポエム





  ☆


落葉やむ瞬時の下を駆け抜けり


  ◇


風のあるなしによるのか、もっと別の条件によるのかは知らない。
落葉が突如、堰を切るように繁く落下することがある。
まだ枯れきっていない、水分を含んで重たい葉柄を下にして、垂直に落ちてくる。
木の下を通り抜けるのにも恐怖を感じる。
人間が生き埋めにされてしまうというほど大げさではない。しかし落葉に打たれるのが怖いのである。きっと人間を自分たちと同じ運命に引きずり込んでやろうとする、落葉のまとまった意志のようなものが伝わってくるのだ。落葉のぶつかってきかたに、さり気ない行きずりの軽さがないのである。
だから私は、そういう現場にさしかかったとき、落ち葉の落下が静まるのを待ち、その木の下を駆け抜けるようにしている。
逆に、落ち葉に洗われるのが気持ちいい、という人もいるので、人さまざまである。


  ☆
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2012-01-30 23:23:01 | 俳句+ポエム
 ☆

音高く

雀落葉に

紛れけり

 ☆



[落葉の中に]



落葉に紛れ込んだ雀は
鼠と見分けるのが難しい
落葉の大仰な音の中では
チュンチュンも
チュウチュウも
あったものではない

また
こんなときに限って
鼠と雀は
存在を互いになすりつけて
声も立てないものだ
進んで行く
落葉の動く下に
雀か鼠
どちらかがいる
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啼く鴉

2012-01-27 09:02:32 | 俳句+ポエム
 ☆

凍結し

足場奪はれ

啼く鴉

 ☆




[路地の鴉]


路面の雪が融けて凍結した
ゴミをあさろうにも
足場が悪くて
降りて行けない
滑って尻餅をついてはならないし
いざ人に追われて逃げるとき
足が滑っては
安定を欠いて飛び立てない

そんな鴉が
電柱のてっぺんで啼いている
体を上下に揺すって
啼くと言うより
悪態をついて吠えている
ビニール袋の肉片を
犬猫に掠め取られてはならないと
威嚇しているのかもしれない
なんとも浅ましい光景だ
早く太陽が顔を出して
凍てつく路面を融かしてくれればいいが
せめて風のない日和であることがなによりだ
もし風でも出てくると
上句を下のように書き換えなければならない

老鴉ぼろ傘のごと宙を舞ふ
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雪を掻く

2012-01-26 15:01:01 | 俳句+ポエム
 ☆

一軒家

人恋しさに

雪を掻く

 ☆




[一軒家]


雪に降り込められた

一軒家

人が恋しいのだろうか

一心に雪掻きをしている

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キギス

2012-01-26 14:37:07 | 俳句+ポエム
 ☆

ひつそりと

山駈け抜ける

キギスかな

 ☆



[雉]


枯れ尽くした山里を

雉が落葉を鳴らして

駆けてゆく

怖い貌の

紅さだけ残して
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木枯らし

2012-01-26 14:12:02 | 俳句+ポエム
 ☆

バス停に

立ち木枯らしを

やり過ごす



[木枯らし]


木枯らしが、身体にきつい
しばらくバス停に立ち
人群れに入って
木枯らしをやり過ごす

おや 隣にもそんな男がいる
お互い 気まずそうに
もじもじしていたが
あっ と相手のほうが先に
忘れ物を思い出した仕草で
通行人となっていく

間もなくこちらも
男が去ったのとは逆の方角へ
道を歩き出す
バスが来たので
離れざるを得なかったのである


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大枯れ木

2012-01-25 20:17:16 | 俳句+ポエム
 ☆

大枯れ木

全裸さらして

丘に立つ

 ☆




[白い木]


冬ざれの丘には
多くの木々があるのに
どうして
あの一本の枯れ木ばかりが
日に照り映えて
白く耀いているのだろう

たぶん枯れ木はもう
日を必要としないから
全裸の幹に
陽光を撥ね返して
周りの木々に与えているのだ

日を照り返す大枯れ木は
麓の町からも見えて
その耀きを一目見ようと
ここまで足を運んでくる者が
後を絶たない

人後に落ちたくないから
自分もやって来た
近く見る大枯れ木には
落雷による古い傷痕が
深く裂けていた

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降る雪

2012-01-24 10:10:40 | 俳句+ポエム
 ☆

降る雪や

ふるさと封鎖

されてゆく

 ☆



雪に閉じ込められると
周囲がまったく消えてしまう
見えるのは電線くらいのもの
そこからの脱出は容易ではない
積もった雪に体当たりして
路をつけていく
ふと電線に鴉が来て留まる
ああ と鳴く優越感が憎らしい
こちらの心が通じたのか
鴉は物憂そうに
180度の回転をして後ろ向きになる
その動きで、電線に積もった雪が
舞い落ち 首筋に飛び込む
冷たい!
人の声に鴉は逃げて行く
鴉は無言だが、
頭を冷やせ
と言われたようで、穏やかでない
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雪男

2012-01-23 19:42:29 | 俳句+ポエム
 ☆

横殴り

目潰しなんの

雪男

 ☆


降りしきる雪の中を歩いていると
雪に掻き消されて
視界ゼロということがよくある
そんなとき雪男に出遭った
全身雪まみれ
吐く息も白く
蒸気機関車のようだった
男は坂道を登り
自分は下っていた
吹き荒ぶ大雪の
同じ条件の中で擦違ったのだから
自分も雪男だったのだ
雪男と雪男が無言で擦違ったのだ
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花ススキ

2012-01-22 17:19:20 | 俳句+ポエム
 ☆

花ススキ

ひげの顔にも

しなやかに

 ☆



[花薄]


花薄の感触は
乙女のやう
無骨な男のひげ面にも
しなやかだ
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秋刀魚

2012-01-22 14:34:14 | 俳句+ポエム
 ☆

しろがねの

秋刀魚は焼かず

皿におき

 ☆



[秋刀魚]


画家なら
旬の秋刀魚の肌色を
どう表現したものかと
苦心惨憺すると思うが
ここに
画家とは
縁もゆかりもない男がいて
しろがねの秋刀魚を
皿に置き
腕組みして眺めている
いったい
どう料理してやろうか
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稲光

2012-01-22 13:31:27 | 俳句+ポエム
 ☆

何事か

告げなむとして

稲光

 ☆




★稲光

いましがた
稲光が走つたけれど
音はなく
ひそまつた
 ………
いつたい
自分に
何を
告げようとしたのだらう
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