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落葉やむ瞬時の下を駆け抜けり
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風のあるなしによるのか、もっと別の条件によるのかは知らない。
落葉が突如、堰を切るように繁く落下することがある。
まだ枯れきっていない、水分を含んで重たい葉柄を下にして、垂直に落ちてくる。
木の下を通り抜けるのにも恐怖を感じる。
人間が生き埋めにされてしまうというほど大げさではない。しかし落葉に打たれるのが怖いのである。きっと人間を自分たちと同じ運命に引きずり込んでやろうとする、落葉のまとまった意志のようなものが伝わってくるのだ。落葉のぶつかってきかたに、さり気ない行きずりの軽さがないのである。
だから私は、そういう現場にさしかかったとき、落ち葉の落下が静まるのを待ち、その木の下を駆け抜けるようにしている。
逆に、落ち葉に洗われるのが気持ちいい、という人もいるので、人さまざまである。
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