ランボー・永井荷風訳
そぞろあるき
蒼き夏の夜(よ)や
麦の香に酔(ゑ)ひ野草(のぐさ)をふみて
小みちを行かば
心はゆめみ、我足(わがあし)さはやかに
わがあらはなる額、
吹く風に浴(ゆあ)みすべし。
われ語らず、われ思はず。
われただ限りなき愛
魂の底に湧出(わきいづ)るを覚ゆべし。
宿なき人の如く
いよ遠くわれは歩まん。
恋人と行く如く心うれしく
「自然」と共にわれは歩まん。
半紙
黒文字楊枝
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高校時代、この詩は国語の教科書に載っていました。
それ以来、忘れられない詩となっています。
ランボーの詩は、これ以外にはほとんど読んだことないというのも
お恥ずかしい次第です。