浅田次郎/講談社
本巻は、西太后没後、宣統帝が即位し、退位するまでを描く。
著者は孫文に対しては、ほとんど重きを置いてないように見られる。
清朝の支配地域は極めて限定され、国内に革命勢力、諸外国、満州の張作霖と群雄割拠。呼び戻された袁世凱はより大きなポストを要求するが、幼帝である宣統帝は、その歳からは考えられないほどのしっかりした口ぶりと皇帝に相応しい語彙を持って、それを認めるのである。
その影には、死んだはずの西太后の声があり、その声に従って、宣統帝は喋っただけなのである。
清朝を滅亡させ、その後に、諸外国の支配を防ぐために中国人による自立的な国ができることを望んだ西太后の筋書き通りにことは進んでいく。そういう意味で中華民国ができるのであるが、それはまだまだ脆弱であった。