さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】星の国のアリア

2024-03-05 22:51:00 | 読書録
 


ひのまどか/講談社
フィクションではあるが、音楽家の高い見識を以って書かれた本だ。
 
リムスキー=コルサコフが作曲した最後のオペラ「金鶏」は帝政ロシア末期において、独裁者への風刺性が強すぎる為、彼の生前は上演されなかった。ロシア革命が起き、彼の死後に上演されるが、スターリン独裁色が強くなると、また上演できなくなってしまう。
 
劇中のコロラトゥーラソプラノの役であるシェマハの女王のアリアは大変な難曲であり、このオペラの目玉であるが、女王役のアンダーキャストに名を連ねながらも、嫉妬渦巻くロシアオペラ界の中で、舞台に立つ機会を得られなかった女性が、その後日本に亡命し、孫娘をソプラノ育て上げる。孫娘はロシアに留学し、ペレストロイカの中で再び上演できるようになった「金鶏」のシェマハの女王役を射とめ、プリマドンナへの道を歩み始める。最後に張られた罠もクリアし、自分の悲願を孫娘が叶えるのを見守る…
 
大筋はこんな感じだが、音楽家である著者ならではの知見や深い話が散りばめられたお話だった。最後にかけられた罠もなかなかのものでスリル満点・・・私自身はロシアのオペラには不案内なので、これから勉強しなければ・・と思った。

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