【3丁目の夕日】の第一話(その頃その様には呼ばれて無かったが)か、その後の【怪人二十面相伝】
の撮影で東宝の撮影所に時々行っていたが、ある日美術のTさんが撮影所内に在る別の美術の事務
所に案内してくれその時に頂いたのが今回の T14-R7A で、多分その際既に前面のエスカッションの
一部やツマミ類、ブラウン管、裏蓋等は無かったのだろうと想うが記憶は定かで無い。 ズット前面部
分を外したままだったのでメインのキャビネットは可成り変形していた。 この種のテレビの修理のご
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一部の真空管が抜けていたが販売店向けのサービス・マニュアルは持っているので調べてみよう。
サテ欠品が多くレストアするのは得策では無さそうだがどうするか?
調べた結果欠落していたのは高周波増幅の 7DJ8、同期分離/増幅の 6AB8、AFC/水平発振の 9A8
だった。 他に回路図上は 12AT7 となっていた局発/混合には 9AQ8 が使われていた。 またファイン
チューニングは機械的に容量を変えるタイプでは無くバリキャップが使われていた。
9月22日 レストアするかどうか迷っていたが真空管が揃ったならやってみるかと考えていた。
偶々本棚の上に在ったブラウン管が気になり下ろしてみた。 松下の AW36-80 でこの機種の本来の
14AHP4A と同一か確認はしていないが、試験を行ったのが2006年11月12日で怪人二十面相伝の時
期と一致していたので多分今回の機種から外し他の物のテストに使った物の様だった。 レベルは3-
と記されていたので輝度は可成り低かったことが想像出来る。 ところで【三丁目の夕日】の公開日を
確かめようとして2005年公開のことを知ったが、ドラマの舞台は夕日町3丁目と今になって知った!
一応欠落していた 12AT7, 6AB8, 9A8 を探し出し、7DJ8 の代わりに 9AQ8 を使った。
徐々に1次側の電圧を上げて行ったが 100V で約 1.4A が流れた。
ところが回路図に謳われていた局発/混合用の 12AT7 のヒーターが煌々と点灯し慌てて電源を切っ
た。 回路図でこの機種のチューナーは NR-244 と謳われていたが型番は確認していないが他には
無い FM 用の4P ソケットも付いており間違い無さそうだったがどうもヒーター回路の接続が違ってい
る様だった。 (12AT7では4-5番ピン間に12.6V、0.15Aを流す)
局発/混合用にはこの機種に刺さっていた 9AQ8 に換え、高周波増幅の 7DJ8 を探した結果欧州球
を入れてあるところで PCC88/7DJ8 を見付けることが出来た。 (もう少しで購入するところだった)
暫くランニングを続けてみたが一応高圧は低いながらも出ており、音声は機能したがラスターが出る
ところまでには至らなかった。 多分半世紀振り位に電源が入った訳で無理も無いが。
何度かパチパチと云う音が聴こえていたが近々電源回路を診てみよう。
チューナーの端に 242F のスタンプが在ったがこれが型番か?(この型番の物は見付からなかった)
9月24日 電源のセレンにシリコン・ダイオードを加え、電源入力の電解コンデンサを交換した。
一応ラスターが出たが予想通り垂直振幅が小さく、水平偏向は同期していなかった。
一応画像が出るまでやってみるか?
9月25日 垂直/水平偏向と同期分離関連のペーパー・コンデンサを交換した。
垂直振幅は大きくなったが水平同期が取れない。
水平の発振周波数を診てみたが最大で 14.75KHz 程度までしか上がらなかった。
先ず水平の発振と AFC を担っている 9A8 を未使用の物に換えてみたが発振が止まって仕舞った。
9月26日 水平発振のスチコン 400pF を交換したことは無かったが念の為 330pF に交換してみた。
発振周波数は 15.23KHz まで上がる様にはなったが未だ低く可笑しい! そうこうする内に破裂音
がして電源のヒューズ (2A) が飛んで仕舞った。 帰路久し振りにテレビジョン技術教科書を引っ張
り出し目を通したが、AFC 側に問題が有るのかも知れない?
9月29日 基本に立ち返って AFC/水平発振の 9A8 の gm を確認した。 何とこれまで使っていた
一番左の物の5極管部は全く動作していなかった。 ここを音声IF/低周波増幅に使われていた 9A8
に交換した結果、水平の発振周波数は一挙に25KHz程に上がった。 コアを調整しても18KHz程度
にしか下げられなかった。
一応 18KHzに下がったが上の波形の様にピークの高さが一つ置きに異なっていた。
更に 9A8 を未使用の物に換えた結果周波数は約16KHzまで下がり周波数も安定していた。 ならば
と先日交換した発振回路の 330pF を元々の 400pF に戻した結果水平同期も取れる様になった。
ただ安定度に欠けていたので次は映像回路と AGC 回路のコンデンサ類を交換してみよう。
9月30日 AGC と電子同調関連のペーパー・コンデンサと電解コンデンサを交換した。 結果動作
は可成り安定してきた。 (今日は快晴で窓際でやっていると外来光で画面は見難い)
午後外が少し暗くなったので見易くなった。
暫く連続運転を行ってみた結果可成り良好だったが、一度受信周波数を故意にズラして同期を
外すと元の状態に戻らず水平同期を調整し直す必要が有った。