続・知青の丘

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蚊嫌草から蚊の俳句へ

2020-04-25 17:05:37 | 俳句
恋をしにゆく道に蚊の柱なす    西原天気 (We5号)
火の前のとてもきらきらしている蚊  田島健一 (We4号)
蚊は秋へそしてたゆたう如来かな  竹本 仰 (We3号)
秋の蚊と張り合うもまた人となり   石田真稀子(We9号)


蚊嫌草(ローズゼラニュウム)
花束か何かにあったのを
狭庭の植木鉢に挿したら
はびこってきました。
冬も簡単に越えましたー。
まだ手には、
この草の香が結構強く残っています。

ついでに、ぼうふらの真面目で面白くない拙句も
いつのまに湧く孑孒や戦争や 加藤知子

今を盛りの燕子花(かきつばた)

橋姫のうすくにほへり燕子花  森さかえ (We6号)
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地獄とは

2020-04-22 19:26:05 | 俳句
「その火の柱を前にして、凝り固まつたやうに立つてゐる良秀は、――何と云ふ不思議な事でございませう。あのさつきまで地獄の責苦に悩んでゐたやうな良秀は、今は云ひやうのない輝きを、さながら恍惚とした法悦の輝きを、皺だらけな満面に浮べながら、大殿様の御前も忘れたのか、両腕をしつかり胸に組んで、佇たゝずんでゐるではございませんか。それがどうもあの男の眼の中には、娘の悶え死ぬ有様が映つてゐないやうなのでございます。唯美しい火焔の色と、その中に苦しむ女人の姿とが、限りなく心を悦ばせる――さう云ふ景色に見えました。
 しかも不思議なのは、何もあの男が一人娘の断末魔を嬉しさうに眺めてゐた、そればかりではございません。その時の良秀には、何故か人間とは思はれない、夢に見る獅子王の怒りに似た、怪しげな厳かさがございました。でございますから不意の火の手に驚いて、啼き騒ぎながら飛びまはる数の知れない夜鳥でさへ、気のせゐか良秀の揉烏帽子のまはりへは、近づかなかつたやうでございます。恐らくは無心の鳥の眼にも、あの男の頭の上に、円光の如く懸つてゐる、不可思議な威厳が見えたのでございませう」

芥川龍之介著「地獄変」(青空文庫)より一部を引用しました。
この作品は、簡単にいえば、
良秀というその右に出るものは一人もあるまいと言われるほどの高名な絵師が、
愛娘の一人娘が牛車の中で炎に焼かれるという地獄を
眼前で見たのと引き換えに、そして自分の命をも絶って
念願の地獄図という永遠の作品を得た話です。

そこで、思うのは、
良秀が描いたような俳句を、
今までにだれか書いたかということ。
こういう真に迫ってくる俳句作品があるとすれば、
戦場経験者のものでしょうか。
あるいは、それに近いような経験をした人のか。


(えびねが咲き始めました)

私などは、人生色々あったとはいえ、
真の地獄を味わったとは思えない。
もし、今回のコロナで死ぬ目にあった、そして死んだ、
としても。
これは、拙作品の言い訳になりますかね。



逢わざるも逢うも地獄の桜貝   神野紗希
ツイッターによれば、神野氏が、
新型コロナウィルス蔓延による「緊急事態宣言から一週間を詠みました」
ということです。
が、
不謹慎にも、実感を伴った不倫の句とも思えますね。

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俳句鼎 妙 2020・3発行 vol.47

2020-04-17 14:24:10 | 俳句


俳句鼎 妙 47号より知青選
コンビニへ行く右肩は雪に濡れ  泉屋健一
諸行無常包み隠さず日脚伸ぶ   銀河徹朗
段落のかたまり鷹の樹のたわみ  斎藤秀雄
母の手を払ひて向かう北風へ   千 一尋
親心痛みて年酒浴びにけり    水輝将女
母ふたり傍らに酌む年酒かな   小田桐妙女

We同人の小田桐妙女さんが
2009年から発行してあります。

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昨日は、懸案の免許更新に行ってきました。
3月生まれなのでだいぶ期日が迫っていて、
ホッとしました。
ゴールドなので講習は30分で済んだのですが
結局2時間は建物内にいました。
しかし、換気とか人と人の間隔とか
とても気を付けてありました。


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短歌俳句誌「We」より<4月15日>の一首(第4号)

2020-04-15 21:25:45 | 短歌
釘箱の釘に紛れて花びらは
驚くほどの鈍色になる  斎藤秀雄

桜の花びらが散る季節になると
この斎藤さんの歌を思い出す。
ツイッターで
この短歌を知って、
小誌「We」にお声掛けしたからだ。

正直に言って、
彼の俳句より短歌が好きだった。
他に次のような歌も寄せてくれた。

無調整豆乳といふ破裂せる
乳房のごときもののうたかた
   
銀色のバトンが飛んで輪を
つくり金色の鍵たくさんこぼす
     
淋しいとラジオが沈む海があり
胎内が星くずで満開
     
西風が火照つた頬へ猥褻に
ジャブ喰らはせてくる猥褻に
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短歌俳句誌「We」より<4月13日>の一句(第8号)

2020-04-13 22:09:40 | 俳句
花冷えや独白めいた飛蚊症  江良 修

もうこちら熊本ではソメイヨシノは殆ど散り、
八重桜はそろそろ満開に近いのですが、
やはりまだまだ時々寒の戻りがありますね。
一昨日まであんなに春の陽気でぽかぽかしていたのに
きょうは一転、おーさむいさむい。
自然現象も生理現象も
ぶつぶつ言いながら
受け入れるしかない。


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