限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

沂風詠録:(第22回目)『漢文の連語は六字』

2009-09-21 11:22:26 | 日記
以前、『麻生川流・漢文学習のポイント』で、文節はせいぜい6字前後である、ということを述べた。それを資治通鑑の文で検証してみよう。

先日、(9/15日)に取り上げた、 通鑑聚銘:(第6回目)『内通した将の手紙を読まずに焼く』の注を除いた原文は下記にようになっている。

『秀急攻之,二十餘日。五月,甲辰,郎少傅李立開門内漢兵,遂拔邯鄲。郎夜亡走,王霸追斬之。秀收郎文書,得吏民與郎交關謗毀者數千章。秀不省,會諸將軍燒之,曰:「令反側子自安!」』

これを連語に区切っていくと次のようになる。

【連語】
秀急攻之
二十餘日
五月
甲辰
郎少傅李立開門内漢兵
遂拔邯鄲
郎夜亡走
王霸追斬之
秀收郎文書
得吏民與郎交關謗毀者數千章
秀不省
會諸將軍燒之

令反側子自安

この連語の発生頻度をカウントすると次のようになる。



さて、このような操作を資治通鑑の全文(約300万文字、50万句)について行うと、結果は下記のようになる。
(資治通鑑原文は:http://angelibrary.com/oldies/zztj/)



これから分かることは:
1.一番多い連語の数は四字である。その割合は全体の 約1/4である。
2.連語が六字以内が全体の約3/4を占める。
3.連語が十字以内が全体の約95%を占める。

結局、漢文というのは、突き詰めていえば六字から十字程度の句の読み方が分かれば読めるということだ。つまり、返り点や一、二、程度で読めるのである。それ以上の込み入った読み方(上中下、甲乙丙、天地人など)は、英語式に、that 節などと理解すると、ほぼ不要になる。この点を理解せず、わざわざ難しい読み方をしていたのが従来(そして今もなお!)の漢文教育なのだ。
コメント
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