【ソウル】韓国で1日、モバイル分野に強みを持つ企業とパソコン分野に強みを持つ企業とが経営統合し、新
たな巨大IT企業が誕生した。無料通話・チャットアプリの「カカオトーク」を手掛ける韓国のカカオ(株式非公
開)が、同国の検索サイト大手ダウムコミュニケーションズと統合したのだ。
カカオが正式にダウムを買収した1日の株式市場では、ダウムの株価が前日比で最大9.9%上昇し、5.6%高で
取引を終えた。投資家らは今回の経営統合を通じて両社が「モバイル・ライフスタイル・プラットホーム」の主
導者として競争力を高めると期待している。ダウムの株価は新会社「ダウムカカオ」の設立が発表された5月以
降、2倍に上昇。ダウムカカオは今月、カカオの株主に新株4300万株を市場価格で発行する。
ダウムカカオは誕生初日から韓国の巨大企業となった。韓国のスマートフォンの93%にインストールされてい
るカカオトークの独占的地位があるためだ。直近株価で計算すると、ダウムカカオの新株が10月半ばに上場され
れば時価総額は約100億ドル(約1兆円)に到達することになる。
ただ、韓国以外で事業を拡張する能力があるのかという投資家の不安に対し、新会社は簡単に答えを出すこと
はできないだろう。韓国では独占的地位を保っているが、国外での知名度はほとんどないからだ。ただ、韓国市
場が飽和状態になるなか、カカオは最近になって国外にユーザー層を広げようと奮闘している。
カカオの共同代表理事で、新会社の共同代表を務める李碩祐(イ・ソクウ)氏は1日、ソウルでの記者会見で
、「共同でどのサービスを最初に立ち上げるか分からない」と話した。また、「たくさんの選択肢を試せること
は幸運だ」と述べている。
アナリストらは、国外戦略の不透明感が新株上場後の売り要因になるかもしれないと指摘。韓国のウェブ検索
最大手ネイバー傘下のチャットアプリ「LINE」は、韓国以外のアジア市場でもプレゼンスを高めている。
仏金融大手BNPパリバのアナリスト、ジャスティン・リー氏(ソウル勤務)は、新会社の国際展開について「
簡単そうには見えない」とし、ダウムカカオの目標株価を13万ウォンに設定。これは韓国市場で1日に付けた16万
6500ウォンを大幅に下回る。投資判断は「ホールド」としている。
リー氏は「メッセージアプリにとって市場シェアの確保が第一に重要になる」と指摘、カカオが目指す国外で
は中国の微信(ウィーチャット)やLINEがすでに市場を独占していると話した。
リー氏はまた、カカオが最近導入したモバイル決済サービスが市場シェアや売り上げ拡大に貢献するか疑わし
いとも述べている。
カカオは9月、新サービス「カカオペイ」を発表。ここではユーザーがクレジットカードをカカオのアカウン
トと結びつけ、買い物のたびにパスワードを入力することでモバイル決済が使えるようになる。カカオによると
、このシステムは既存の方法よりも単純で安全だという。
ダウムカカオのもう一人の共同代表、崔世勲(チェ・セフン)氏は「これまで当社はカカオトークを中心に国
外進出を図ってきたが、今は別のアプローチを模索しており、提携先を探している」と語った。提携パートナー
についての詳細は明らかにしていない。
-0-
Copyright (c) 2014 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.