3150
顔立ちも表情も
見えない
ブラインドのすき間から触れる
3151
顔がないせいだろうか
もじもじと
くり出す言葉は少ないなあ
3152
ヤナギタの「正視」かき分け
語り出す
青い種族の伏し目がちはも
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3144
菜の花の列を過ぎると
誰かな?
ふいと微かに匂い流れる
3145
春。色鮮やかなのに
しっとりと
生の香りがしない ネット海。
3146
イメージの水に浸かった
目を上げる
やっぱり春だねえ 新春(シンシュン)。
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3141
いつでも瞬時にネット
海に入り
淡い間のあわいを流れる
3142
色色のいろんなものが
小さな
泡吹きながら流れてゆくよ
3143
見知らぬ顔の言葉にも
時には
ああいいねと手を振る
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3138
走法がむずかしくても
ただただ
いい感じに流れに乗ることさ
3139
イメージがすずずんと肌を
流れる
もうそれだけで言葉は要らないのさ
3140
あれこれと操りながら
心内(こころうち)に
未来の種も小さくつぶやく
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3135
酔っ払った書体が
あちこちに
ぶつかっては身を立て直し
3136
流れ出す意味は無意味に
さ迷って
ちぎりちぎられ流れにのる
3137
どこかに流れ着くか
なんてこと
思い浮かべちゃいけない
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3132
せんどうの顔は見えぬが
見知らぬ
古びた国に棹を差している
3133
端正な書体なのに
濁った
泥水ばかりが流れて来る
3134
同じ文字の形して
新旧の
異装にぎわうネット海はも
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3129
新しい古いの向こう
地層の
全体が浮き上がっている
3130
対立は不毛の昨日から
怨怨怨
背後からふうっと怨嗟が来る
3131
文字となったバーチャルの
血は見えぬか
くるくるくると墜落するぞ
[短歌味体 Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3126
デラシネも死語となった
古書店
ばかりは名にし負いさらばえているか
3127
始まりは新しいぞ!
ばかりでない
デラシネの影終終(シュウシュウ)してる
3128
確かに父母(ちちはは)から
生まれたが
死語中空に終終終(シュウシュウシュウ)