[短歌味体 Ⅲ] おわりはシリーズ・続
2699
あれほどのピンと張った
はじまりも
解けて流れて夕暮れに入る
2700
終わりあるさびしさは
しんししん
終わりの夜に青く倒れ込む
2701
振り返る時間はずずずん
濃縮の
海の底ただ深いふかあい
[短歌味体 Ⅲ] おわりはシリーズ・続
2699
あれほどのピンと張った
はじまりも
解けて流れて夕暮れに入る
2700
終わりあるさびしさは
しんししん
終わりの夜に青く倒れ込む
2701
振り返る時間はずずずん
濃縮の
海の底ただ深いふかあい
[短歌味体 Ⅲ] おわりはシリーズ
2696
氷河はがれ落ちて
ゆっくり
流れ 漂い 旅のはじまり・・・
2697
道中に出会うものとは
次々別れ
語り難い道中記
2698
旅の終点 溶けてしまう
ひとかけら
後には晴れ渡った青空
[短歌味体 Ⅲ] はじまりはシリーズ・続
2693
本番の舞台に上る
前 静かな
きみの胸にはその歌の流れる
2694
緊張の水中で
ふっ 身を解く
はじまりの舞台につながる
2695
はじまりとアクセント置く
と 無縁に
始まりの川は流れはじめている
[短歌味体 Ⅲ] はじまりはシリーズ・続
2690
あと一歩踏み込んでいたら
新しい
風を肌に受けていた?
2691
その一言を沈黙の深みに
沈めなくても
はじまりははじまりゆく
2692
ああ失敗と退くきみにも
はじまりの
その風は肌触れているよ
[短歌味体 Ⅲ] はじまりはシリーズ・続
2686
晴れがましい、否定はしない
ただ普段着の
朝に始まり夜に帰る
2687
たとえば玄関先の
小石を
裏返す、小さなはじまりの朝
2688
うーん、どれにしようかな?
突き抜けて
無条件に〈いし〉でありさえすればいい
2689
大石小石黒石青石
見た目ではなく
時にさらされた石であるならば
[短歌味体 Ⅲ] はじまりはシリーズ・続
2682
はじまりはスーツにネクタイ
で踏み迷う
一見主流の朝が流れている
2683
一見を軽く否定
はしないさ
近代からの重みがありあり
2684
なぜ黒なのという疑問
沈めて
葬式に向かう日もある
2685
歴史の重しがあっても
(それは服ですよ)
のかるーい気持ちがいいな
[短歌味体 Ⅲ] はじまりはシリーズ
2678
木の葉散る黄色がかった葉
枯れ葉青葉
散るそれぞれの事情で散る
2679
どんな色違う事情でも
この大気の中
等しく木の葉散る
2680
ネトウヨもリベラルも
溶け出して
ねとねとうようよりらべるする
2681
等身大の少し生臭い
ただの人
緊張して舞台の袖に立っている
[短歌味体 Ⅲ] 接続シリーズ・続
2675
「そうですね」と返答はする
けれど ああ
言葉の舟は先の方を進んでいるさ
2676
ざっくりと問い詰められても
霧の中
こもよみこもよ籠もり居る
2677
きみは何つながりか
と聞かれたら
ただ無言で〈理想のイメージ〉つながりさと答える
[短歌味体 Ⅲ] 番外・戯れ詩
!イーェイ
あなだやい
かり終うも
ないいれそ
うよ来たま
ないしびさ
?いかたれ揺
?るいかれら
えねもてっゆ
るるりらじわ
んぜいせろり
[短歌味体 Ⅲ] 接続シリーズ・続
2672
峠道下ってゆくと
言葉なく
微笑むか顰(しか)めるかしかない
2673
誰もが出会う言葉みち
うっそうと
茂った木々やツタに足取られ
2674
言葉の峠には
下の方から
言葉以前のアイマイミーが吹き上がる