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ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ27~29

2019年01月31日 | 詩『言葉の街から』

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ

 


27
(ガタンゴトン) 空耳か しっ
ししししっ
詩の言葉が流れているよ

 


28
元気もらい顔達のドドドに
蹴散らかされ
踏まれても 詩は 奥底から湧く

 


29
世界の心音近く
しずかに
そおっとそおっと詩は巡る


「データベース・吉本隆明を読む」2019.1月の更新情報

2019年01月31日 | データベース「吉本隆明を読む」

データベース・吉本隆明を読む」1月の更新情報
 


データベース・吉本隆明を読む
http://dbyoshimoto.web.fc2.com/


 
「言葉の吉本隆明②」に、

2019.01.02 新規項目560 「埋まらない空隙」を新たに追加。
2019.01.06 新規項目561 「人間という概念の輪郭」を新たに追加。
2019.01.10 新規項目562 「吉本さんのこと ③」を新たに追加。
2019.01.14 新規項目563 「庶民感覚」を新たに追加。
2019.01.18 新規項目564 「吉本さんのこと ④」を新たに追加。
2019.01.21 新規項目565 「晩年の言葉 ③」を新たに追加。
2019.01.22 新規項目566 「吉本さんのこと ⑤」を新たに追加。 ★身内や他者の視線★
2019.01.25 新規項目567 「吉本さんのこと ⑥」を新たに追加。 ★身内や他者の視線★
2019.01.28 新規項目568 「吉本さんのこと ⑦」を新たに追加。 ★自分の内省の視線★
2019.01.31 新規項目569 「晩年の言葉 ④」を新たに追加。★身内や他者の視線★


詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ24~26

2019年01月30日 | 詩『言葉の街から』

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ

 


24
その人いいなあの人いいな
元気もらい
顔たちが駅を駆け下りていく

 


25
(別に どうでもいいけど)
とぼくは
ひとり電車に乗り続けている

 


26
誰もが乗り込んでいる
世界列車
時間の底を無音でガタンゴトン


詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ 21~23

2019年01月29日 | 詩『言葉の街から』

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ

 


21
言葉の駅から乗り込んだ
乗客たち
都市の賑わいも流れ来る

 


22
ボタン押し一群の人
さわやか顔して
自然純度100%の駅を出ていく

 


23
同じ言葉の〈自然〉でも
降りる駅
純度と組成が微妙に違う


詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ 17~20

2019年01月28日 | 詩『言葉の街から』

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ

 


17
沈黙の部屋に伝わる
騒音は
人人人(じんじんじん)と人の匂いする

 


18
しかすがに風雨草木
虫魚
訓のそよぎで交響する

 


19
ふれる世界は膜隔て
のっぺりん
空目空耳物の怪もこの人ゆえにこそ

 


20
知らぬ間に世界変換
遂げており
ぼくらもまた変換されてる


覚書2018.1.27

2019年01月27日 | 覚書

覚書2018.1.27

 


 SNSによって、老若男女誰でもが、私たちの内面に黙ってしまっておくことなく、善意も悪意も可視化できるようになった。以前のリアルの近距離世界では、言わずに黙っておこうとか今回は我慢しておこうとかで一般には対処していた。

  それが、大げさに言えば世界中がバーチャルな近距離世界として結びつけられてしまい、パンドラの箱のように悪意を含む内面がバーチャル世界にさらけ出されやすくなってしまった。それはバーチャルだけど、人は言葉によって傷つくことがあり得るように、人の身心に刺さる。

 リアルの近距離世界ならこれ言ったらマズいかななどの抑止力も働くが、匿名性のSNS、すなわちバーチャルな近距離世界では、そんな抑止力の鍵が解除されてしまった。同様にリアルの近距離世界でなら、古い言葉を用いれば「長幼の序」のように自分より年長の人には敬意を払うということが、 今でも一般的だと思うが、匿名性という事情もあり解除されてしまった。

  何が問題なんだろうか?SNSは、私たちに従来なら不可能だった新たなバーチャル次元の人と人との出会いや付き合いや情報との接触を可能にしたが、同時に人間の持つ濁りや悪意も放出したり、組織化したりすることを可能にした。

 こうした事情は何度か触れてきたが、結論は月並みだ。人間というものを濁りや悪意の方に引きずって行こうとするのではなく、パンドラの箱にちなんで言えば、なけなしの「希望」の方へ新しい倫理を形作っていくしかない。先ずは、そんな自覚をひとりひとりが芽生えさせることが大事だと思う。

  この社会の欠陥と対応した「オレオレ詐欺」のような悪は簡単にはなくならないだろうけど、そして長い時間で見れば、たくさんの人々のそれらの意志や言葉、すなわち新しい倫理が、少数の人間的な濁りや悪意の放出を包み込んでしまえるようになることが大事だと思う。それは社会も変える。

 現在では、社会や行政や政治などあらゆるものが意識的か無意識的かは問わずに閉ざされていたものが知らぬ間にオープンになってきている。政治家でも社長でも―当事者の自己イメージと大多数の人々が彼らに対して持つイメージとでは差異があるのかもしれないが―ずいぶん普通の人間化したイメージになってきていると思う。したがって、それに対応するように、いろんな問題が表面化しやすくなっている。

  付け加えると、政治家や文化人、専門家と呼ばれる知識層も、SNSなどで自己の内面を平等にさらけ出すようになった。わたしたちと同様のバカさ加減も持っているんだとわかるようになった。こうした社会のフラット化は好ましいことだと思う。

  社会のフラット化と言えば、現実条件からはまだまだ空想になるけれどわたしの素人考えでは、今までは差異(逆に言えば、共通を志向する意識)をもとに経済も思想も文化も、為替相場も金融もあったように思う。これが社会や様々な分野、最終的には国家間などがフラットに均質化、共通化されてしまう段階に至ると、また別様の世界の地平に出会うような気がする。


詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ 14~16

2019年01月27日 | 詩『言葉の街から』

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ 14~16

 


14
静けさが退(しりぞ)いてしまった
現代は
微音武音と昼夜走行する

 


15
まぼろしの道路を抜けて
大空へ
突っ走ってゆくゲームのような夜

 


16
何度も何度もくり返す
ゲームのように
迫って来てゲームオーバーする一日


詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ 7~10

2019年01月25日 | 詩『言葉の街から』

詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ

 



不意の来客覆い被さり
真っ暗ななか
赤ちゃん喉の奥から叫び出す

 



赤ちゃんが泣き出すと
凪の海
波立ち泡立つ小さな世界

 



世界には薄い膜が
かかっていて
ちらっと見える顔の異世界

 


10
ふるえる世界はゆっくりと
修復され
しずかに元の椅子に戻る