回覧板

ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5276-5279

2023年09月30日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5276
ことばの人は自由自在
に言葉を生み出す
ように見えるのは無理もない



5277
建物を建てるのとは違って
言葉はあっという間に
出来上がるように見える



5278
でも建物も言葉も同じだ
初めに現在に促され
意志の物語によって建物も言葉も立つ



5279
不自由通りを進みながら
言葉たちは
微小な自由片をきらきらと振りまいていく


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5272-5275

2023年09月29日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5272
(もうきみは ただの葉揺れではない
言葉の舟に乗って
人間界を旅していくのだ)



5273
例えば自然からの変位は
自動的だから
引き込み線や若見え化粧は見えない



5274
ことばの人の手によって
瞬時に
〈葉揺れ〉は〈人の不安〉にも変位するし



5275
小さな家の内の喜びに満ちた
出来事に
伴奏する〈喜びの歌〉ともなる


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5268-5271

2023年09月28日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5268
風が出だした
大きな木の葉たちが
揺れている 盛んに揺れている



5269
ことばの人が揺れの中に
揺れの渦に
引き寄せられていく



5270
みどりの波が手招いている
流れている
空気感に少しずつ染まっていく



5271
ただの〈揺れ〉が虹色のスペクトルを下り
明暗のある別の世界へ
意味はつながっていく


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5264-5267

2023年09月27日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5264
滴が落ちている
ぽつ ぽつ ぽつ
(しずくがおちている)



5265
気づく前から落ちていた
のだろう
割と規則的に落ちている



5266
なぜか なにか
はわからない
ただ滴が落ちている を目にしている



5267
ことばの触手を伸ばすと
たくさんの複雑な事情を振り切って
どんよりとにじり寄ってくるものがある


※9/25の作品番号が、9/24の作品番号と同じになっていたため、番号が乱れてしまいました。以前の分はそのままですが、本日の分を正しく修正しました。



詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5256-5259

2023年09月26日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5256
ぼくが意識しないと
ぼくの立ち上がる〈今〉はない
誰もが立ち上がる〈今〉を持つ



5257
〈今〉が言葉の舟に乗って
進み巡る
小さな詩や物語の断片を放つ



5258
現在の中に舞う それら
〈喜〉〈怒〉〈哀〉〈楽〉の流線は
深みで無意識的な志向性を帯びている



5259
沈黙の内で鏡の前に立つ
ことばの人は
そんな時間を持ってしまった


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5252-5255

2023年09月25日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5252
ふと目を向けていることを意識する
鏡には
ぼくに彩られた〈もの〉が見えている



5253
振り返る〈今〉はいつも遅れて来る
それ以外は
絶えず流れる〈今〉に埋もれている



5254
ことばの人となってしまったから
時にはふと
〈今ここに〉を意識する



5255
そうして後は生きものたちと同じく
不付随運動のように
この世界内に生きている


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5252-5255

2023年09月24日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5252
「みんなうすうす気づいていた」
(ミンナ ウスウス 気ヅイテ イタ)
今ことばの人が次々に堰(せき)を切っている



5253
薄暗い奥の窓が開いて ウスウス
がらんどうの部屋の ウスウス
時間は止まっている ウスウス



5254
薄々の空気がふるえていた
当事者たち以外は閉ざされた部屋の外
で過呼吸したり息を詰めたりしていた



5255
「みんなうすうす気づいていた」
人間悪の近傍で
こんなことがあちこちで起こっているような


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5248-5251

2023年09月23日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5248
そこに飛び石があれば
〈あ〉〈い〉〈た〉〈い〉
と飛んでいくのかどうか



5249
そこに花びらがあれば
好き 嫌い 好き 嫌い
と花びら占いをしてしまうのかどうか



5250
そこに飛び石がなければ
まぼろしの飛び石
を現前させて飛んでいくのかどうか



5251
わからない
わかるわからない以前に
すでに踏み出してしまっている


最近のツイートや覚書など2023年8月

2023年09月22日 | 覚書
 最近のツイートや覚書など2023年8月


2023/08/04
農事メモ2023.8.4
暑い晴天続きなので、五日ぶりに畑へ出た。
・ブルーベリーの5回目の収穫。暑い中1個ずつとか2、3個ずつ手摘みした。
・晩白柚がソフトボール大くらいになった。今年は五個なっている。



ジャニーズには、まったく関心がなく今まで縁がなかったけど、今回知った長期にわたる性犯罪はタチが悪いと思う。それは、芸能プロダクションの営業ということと性犯罪ということが別々のものではなく緊密に関係しているように感じられる点である。それゆえ、逆に批判も忖度させてきたのだろうか。



2023/08/07
労働団体や経済団体や宗教団体などが、理想の社会を思い描くのは良いとして、極端にはオーム真理教や統一教会のように稚拙な社会革命や政治革命を目指して政治に関わり圧力をかけるのは害悪。労働団体、経済団体、宗教団体は、その本来の初発の動機や目的(人々の幸を目指す)に大人しく帰るべきだと思う



2023/08/08
地形や地理が政治や戦争と無縁ではなかろうが、いま流行の「地政学」が人間世界を捉える本質的な概念とは思えない。問題は、主に先進国で近代以降〈個(個人)〉というものが析出され尖鋭化している世界的状況で、「ユーラシア主義」などのアジア的遺制や感性がなぜ生きつづけているかということだと思う。

そうして、アフガニスタンやイスラム諸国などの古い感性や遺制を引きずっている国でも、自由さを欲求する〈個(個人)〉が次々に現れ出てくるだろう。その世界的趨勢は押し止めようもない。ある時期に形成されたその古い感性や遺制をいつかは脱ぎ捨てざるを得ないだろう。ロシアもまた。



2023/08/14
 小泉悠『ロシア点描―まちかどから見るプーチン帝国の素顔』は、以前読んだことがある。小泉悠は単なる「軍事研究家」ではなく、その言葉に日常の生活感覚をきちんと携えていることだと思う。今連載中の以下もおもしろい。「この戦争は、私たちの日常とつながっていて。」小泉悠×糸井重里も
https://www.1101.com/n/s/yu_koizumi2



2023/08/19
『暴れん坊将軍』もそうだし、韓国の時代劇もそのようだが、悪役はだいたい決まっているようなのだ。悪役専門なら、顔の化粧などを含めて役作りでやりやすいということがあるからかもしれない。

ところで、つい先頃まで、NHKのBSで『大富豪同心3』をやっていて見ていた。これは、ドラマが終わったらドラマに出て来た主人公等も敵役たちも、主題歌が流れる中いっしょに仲良く踊り出すということがあった。観客の私としては少し異和感があった。

確かに、ドラマは主人公も悪人たちも全てが織り成す物語が生命(いのち)であり、モチーフである。現実の世界の出来事や関係とは違って、ドラマが終われば、ドラマの外では、それぞれの役者たちは、物語から解放された自由で平等な存在である。しかし、その私の異和感は、どうしてもドラマを見る視線で

それを見てしまうからだろうか。
それは、歌手や俳優のファン心理についても言えることで、舞台を下りても舞台上のイメージを抱いてお気に入りの歌手や俳優を追っかける人々の視線や心理も、わたしの場合と同じなのではないだろうか。



2023/08/20
日曜劇場『VIVANT』、前回に続いて今回も見てしまった。だいたい物語の大枠がわかったような気がする。それにしても、大げさすぎる、悪い意味でアニメ的(空想的)なドラマだと思う。現在で言えば、ちょうど陰謀論と対応するような水準のドラマに過ぎないと思った。このドラマはスピード感と意外性が命か。



2023/08/23
fast(副詞 しっかりと)→fasten(動詞 (シートベルトなどを)締める)は、知っていたが、fast(自動詞 断食する)は知らなかったから、「ファスティング」(fasting)に出会って何だろうと思って、調べてみた。断食のことか。ま、断食は少々古臭いから、現在であれば何だろう、「ファスティング」で済ませているのかな。

ところで、カフカに「断食芸人」という作品がある。英語への自動翻訳によると「Fasting Entertainer」。

日本語もそういうところがありそうだけど、英語で思わぬ意外な意味に出会うことがある。昔windows付属のゲームに、地雷原から地雷を取り除くマインスイーパー(Minesweeper)というゲームがあった。この「mine」には、「鉱山・地雷・採掘する」などの意外な意味があった。最近では、Bitcoin miningもある。



詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5244-5247

2023年09月22日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5244
〈撃ちてし止まん〉にもいくつかの層があり
どこにどう置かれるか
生け花のように見え方が違ってくる



5245
ひとつの言葉自体には
意味も価値もあり
そこに別の言葉が連結されてぶるっと揺れる



5246
選択し連結された文脈の中で
言葉たちは
仕事を終えた人々のようにくつろいでいる



5247
読者は言葉たちをたどりながら
振り返る振り返る
自分をめくる現在をめくる