回覧板

ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2374-2377

2021年09月30日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2374
行ったことがない街の通りで
見たことのない
食べ物の匂いを嗅いでいる



2375
聞いたことがないリズムの
楽隊が
通りを揺らして過ぎて行く



2376
まるでぼくがここにいない
かのように
街の通りは自足している



2377
この古い時間の街に
飛び交っている
言葉たちは太古の衣裳みたい

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2370-2373

2021年09月29日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2370
色んな小道に分かれている
言葉よ
日に照らされたひとつの大道を行けよ



2371
世界を呼び寄せ対話する
太古は詩
リズムを付けて足踏みならす詩よ



2372
しっし どの小道通ってもいいんだよ
そこに詩が
深層海流みたいに流れていれば



2373
その時詩はこの全世界と対話する
言葉 あらゆるものを
追い求める手ぶらの言葉の探索船だ

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2366-2369

2021年09月28日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2366
「飲み過ぎたのはあなたのせいよ」
と言われても
上るに上れぬ言葉坂



2367
あらゆる参照は閉ざされていて
ただ ただ
ぼくの言葉が急(せ)かされている?



2368
ほんとうの言葉の場所は
お互いに
違ったレイヤーですれ違っているような



2369
言葉では不可能に感じられる
山がある
それでも言葉は力入れて登攀(とうはん)する

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2362-2365

2021年09月27日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2362
どんなことでも記号論理の圏外の
降り積もった現在だから
イエスかノーかすぐに答えられない



2363
問い詰められて沈黙する
言葉は 言葉よ
はっきりと申し開きしたいのに



2364
どんなゼンにも閉じた小道があり
どんなアクにも
裏返ったゼンの匂いがある



2365
ゼンアクは時代と事情
の波にのまれ
波にあらわれ相対性の岸辺に黙立する

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2358-2361

2021年09月26日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2358
言葉の街のくたびれた川を
一枚の言葉が
上下しながら流れていく



2359
使われなくなった言葉は
辞書のドアを押して
言葉の街から消えていく



2360
一部の通りでは言葉がお金になる
コマーシャル時代
言葉のからだは素肌がカサついている



2361
カサつきを隠すためには
くり返されるコマーシャルの
イメージのクリームを言葉の肌に塗る

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2355-2357

2021年09月25日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2355
今日は発声練習です
どうぞ
「あああああ ああ」(其其其其れ 其れかなあ)



2356
今日も発声練習です
どうぞ
「ははははは はは」(母大蛇母オモニ 母)



2357
今日も発声練習です
無心にね
「おおおおお おお」(・・お・翁アリケリ・・)

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2351-2354

2021年09月24日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2351
我田引水ガッデンインスイ
具体の現場から
遙か遠くまで離れ来てしまった。



2352
イメージの田の畔(あぜ)から
静かな夜を足踏みするが
水は勢いよく流れ出す



2353
五里霧中ゴリムチュウ
宵闇に
ひとひとひと人の気配が濃い



2354
真剣シンケンと言えば
イメージの
田にもキラリ血のにおいに戦(おのの)く

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2347-2350

2021年09月23日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2347
侃々諤々かんかんがくがく
次々に
言葉がからだからあふれ出る



2348
四角四面しかくしめんで
笑われても
ぼくはこれしかできないんだ



2349
時に七転八倒しちてんばっとうしても
決して
言葉を抜刀したくはないんだ



2350
沈思黙考ちんしもっこうすることもあるさ
それから
外にベクトルを向ける言葉よ

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2343-2346

2021年09月22日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2343
言葉もまたこの大気
を呼吸している
長らくの背骨のゆがみで屈折する



2344
言葉のからだに出入りする
場のドラマは不明だが
赤いブツブツが言葉のからだに出ている



2345
言葉がふとよろけることがある
あるってあるって
年とらなくても確かにあるんだ



2346
言葉道を歩いていると
やっぱり時々
気になる気になる気になるんだよ

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 2339-2342

2021年09月21日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



2339
夏空から秋空へぐらり
移り変わる
恋ばなみたいなドラマが観たいな



2340
子どもの勘のように
〈秋空だ〉
見分けて心に落ちてゆく



2341
秋空がわかるという時
言葉のからだは
黙したままじっと風に触れている



2342
今年の秋は縄文海進か?
あやしい予感の
高波の風を身に受けている